
お給料が上がらないんだけど、手取りを増やす方法ってあるの?
こんなお悩みを解決いたします!
本記事を読むとわかること
給料から引かれる項目について理解できる
標準報酬月額について分かる
社会保険料の計算方法が分かり、手取りを増やす仕組みが分かる
標準報酬月額を下げるメリット・デメリットについて分かる
本記事の信頼性

ぎょうざ (@gyouza_maney)
この記事を書いている僕は、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーの資格や社会保険の専門家の社会保険労務士の資格を保有しており、現在は複数の会社を経営しております。
働いても働いても給料が増えない。
そんなお悩みの方は多いのではないでしょうか?
今回は少し、過激なタイトルで給料を100円減らすだけで手取りを3万円増やす方法をお教えします。

そんなうまい話なんてあるの?
何か怪しいのね、、、。

だ、大丈夫だよ。
ちゃんと理由を今から説明するから最後まで聞いてね
読者の皆様を騙すつもりはありませんのでご安心して下さい。
しかし、この方法は全員が使える方法ではありませんのであらかじめご了承下さい。
今回の内容は仕組みを理解するだけでも勉強になると思いますので、社会人の方は是非とも知ってほしい内容になります。
最後までお読みいただくと今後、使える機会があるかもしれません。
それではいきましょー
給料の仕組みを理解しよう

給料と手取り金額の違いを理解
今回は、給料は増やさずに、手取りを増やす方法を伝授いたしますので、ますは給料と手取りについてしっかりと理解する必要があります。
お給料は、会社から支給されるものですが、このお給料に対して様々なものが差し引かれます。
具体的には以下の項目です。
給料から引かれるもの
❶健康保険料(75歳未満)
❷介護保険料(40歳以上65歳未満)
❸厚生年金保険料(70歳未満)
❹雇用保険料
❺所得税
❻住民税

こうやって見るとたくさんのものが引かれているんだね
❶から❹は社会保険の項目で、❺と❻は税金の項目になります。
これらの項目が給料から差し引かれることになり、上記の項目が差し引かれたあとに手元に残るのが手取りの金額になります。
実際に自由に使えるお金というのは、この手取りの金額になり、言い換えるとこの手取りの金額が増えれば使えるお金が増えるということです。
給料から引かれる社会保険と税金の計算について理解
手取り金額を増やすためには、差し引かれる項目の社会保険と税金の計算方法についてある程度、理解する必要があります。
すべての項目においてお給料の大きさに応じて、社会保険料や税金の金額も大きくなっていきますが細かいことを言うと、毎月のお給料の額で計算しているわけではないのです。
特に❶の健康保険料、❷の介護保険料、❸の厚生年金保険料は標準報酬月額というものから計算します。
標準報酬月額は入社した時は、入社時のお給料から決定され、それ以降は基本的に毎年4月~6月のお給料の平均によって決まります。
詳しくは下記の記事で解説していますので、標準報酬月額について詳しく知りたい方は是非ご覧下さい。
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4月から6月の残業は損してしまうかも、、、。社会保険料の計算をマスターしよう
この標準報酬月額に健康保険料は約10%、介護保険料は約1.8%、厚生年金保険料は18.3%の保険料が徴収され合計で約30%になります。
実際に給料から差し引かれるのは半額を会社が負担してくれているので約15%になります。
❹の雇用保険料は、毎月のお給料に対して約0.3%が徴収されます。
❺の所得税は、1年間のお給料から一定の控除額を差し引いたものに対して5%から45%の所得税がかかってきます。
毎月のお給料から徴収されるのは、年間の概算所得税の1ヶ月分を徴収し、年末調整で清算します。
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【年末調整も安心】給与所得者の所得税の計算の手順と計算方法について徹底解説!
❻の住民税は前年1年間のお給料から一定の控除額を差し引いたものに対して約10%の税金がかかりお給料から差し引かれます。
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こうして見てみるとお給料から社会保険料や税金が徴収され、その金額はかなりの額であることが分かると思います。
仮に独身の方で300万円のお給料の方はざっくりですが、給料に対して社会保険料で15.3%と税金で5.4%の合計の約20.7%ぐらいがお給料から差し引かれることになります。
つまり年間で約62万1千円(300万円×20.7%)が徴収されていることになります。

税金の5.4%の計算は300万円の給料の場合、給与所得控除98万円、基礎控除48万円、社会保険料控除約46万円を差し引くと課税所得が108万円になるので、それに所得税が5%、住民税が10%かけると金額は16万2千円になります。
そして16万2千円を給料の300万円で割ると5.4%になります。
詳しくは所得税や住民税の記事でご確認下さい。
手取りを増やすには標準報酬月額が鍵

給料の幅で標準報酬月額が決定
ではここからが本題です。
先に結論を言いますと、手取りを増やすためには給料から差し引かれるものを減らすことでそれが可能になります。
何を当たり前のことを言ってるんだと言われそうですが、これが答えです。
そして差し引かれる項目のうち社会保険料に焦点をあてます。
所得税と住民税は1年間の給料の大きさで変わり、また社会保険料のうち雇用保険料も毎月の給料の金額に応じて変化します。
しかし健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料は毎月のお給料が変更されても、実は保険料の金額は基本的に同じなのです。
理由は標準報酬月額で保険料が決まるからです。

どうゆうこと?

標準報酬月額と毎月のお給料の金額は一致するとは限らないんだ。
もう少し、分かりやすく説明すると標準報酬月額は給料の金額の大きさに応じて、等級というのが決められています。
等級は給料の大きさにあわせて1等級から50等級(厚生年金は32等級)まで決められており、等級に応じて標準報酬月額が決められます。
標準報酬月額は標準報酬月額等級表というもので確認でき、以下のような表になります。
更に赤枠の部分を拡大します。
表の見方は報酬月額と書いてある列が給料の金額になり、例えば給料が27万円の人は21等級(厚生年金は18等級)に該当し、標準報酬月額は28万円になり、給料が26万円の人は20等級(厚生年金は17等級)に該当し、標準報酬月額は26万円になります。
つまり給料が27万円なら標準報酬月額が28万円になるように、給料の額と標準報酬月額の金額が合わない場合があるのです。
標準報酬月額を100円下げるだけで等級が変わり手取りが増える
この標準報酬月額の仕組みについて理解するとあることに気づきます。
それはお給料を100円下げると等級が1等級下がるケースがありえるということです。
例えば、お給料が27万円なら標準報酬月額が28万円ですが、お給料が26万9千9百円の場合は標準報酬月額は26万円になります。
毎月2万円の標準報酬月額の差が生まれるので、年間になおすと24万円(2万円×12ヶ月)になり、それに健康保険、介護保険、厚生年金の保険料率の合計の約15%をかけると36,000円の社会保険料が安くなることになります。
しかし、お給料自体が100円減っているので年間にすると1200円の減収になります。
つまり、年収は1200円分減りますが、保険料が36000円安くなり、その分手取りが増えるので、実質は34800円分の手取りが増えるということになります。
もう少し細かい所までお話しすると、所得税や住民税の金額は社会保険料が安くなった部分の社会保険料控除約36000円分が受けられなくなり支払う税金が増えます。
しかし、お給料が年間で1200円減っているので、その部分は税金がかからないので、実質は34800円分に所得税5%と住民税10%をかけた5220円の税金が増えることになります。
そして雇用保険料率の0.3%の部分も考慮しますと、1200円分の給料が減少するのでその0.3%の4円分(小数点四捨五入)が安くなります。

雇用保険料まで考えると、細かすぎるのねん。
つまりお給料を100円下げて標準報酬月額が1等級下がった場合には約3万円(36,000円−1200円−5,220円)程度の手取りが増えるということです。
標準報酬月額を下げるデメリットとメリット

標準報酬月額を下げることの3つのデメリット
標準報酬月額が下げることで手取りが増える仕組みは分かったと思います。
しかし、ここで標準報酬月額が下がることでデメリットはないのかという疑問が生まれると思います。
具体的には、以下のようなデメリットがあります。
❶将来の厚生年金が減少する
❷傷病手当金が減少する
❸有給手当が減少する可能性がある
❶の将来の厚生年金が減少するについてですが、厚生年金は原則65歳になると支給されるのですが、計算式はざっくりいうと、標準報酬月額に1000分の5.481をかけたものになります。
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先ほどの例を使うと年間で24万円の標準報酬月額が下がったことになるので、年金で換算すると約1,315円分(24万×5481÷1000)の減少にになります。

私は削減できたお金を自分でインデックス投資などに回すことで、減少した部分の年金はカバーできると思っています。
次に❷の傷病手当金が減少するについてですが、傷病手当金は業務外でケガや病気をして4日以上お休みした場合に、生活の所得補償として健康保険から支給されるものなのですが、計算式は標準報酬月額の1年間の平均額の3分の2の金額なので、標準報酬月額が下がった分だけ傷病手当金が減少することになります。
先ほどの例でいくと月に2万円分の標準報酬月額が減少した場合には、1日あたり約444円(2万円÷30日×3分の2)が減少することになります。
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3つ目のデメリットは❸の有給手当が減少する可能性があることです。
有給手当は、会社に入社して一定期間経過した場合に、労働日に心身のリフレッシュなどの目的で休暇をした場合に、会社から手当として支給されるものです。
そして、有給手当の計算は、通常支払われている賃金を1日あたりになおして支給するのが通常なのですが、会社によっては労使協定を結び、標準報酬日額で計算している会社もあります。

標準報酬日額って何?

標準報酬日額は標準報酬月額を30で割った金額のことだよ。
つまり、標準報酬月額が下がることで有給手当の金額が下がる可能性があるということになります。
有給手当の計算は会社によって違いがあるので、その辺りは確認する必要があります。
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この3つが、標準報酬月額を下げるデメリットになります。

デメリットを聞くと、嫌な気分になるのねん。

この後は標準報酬月額を下げるメリットについて説明するから良い気分にさせるよ!
標準報酬月額を下げることの4つのメリット
では、続いては標準報酬月額を下げることのメリットについて解説していきます。
下げることによって手取りが増えることはご理解できたと思います。
しかし、それ以外にもメリットがいくつかあります。
それは以下のメリットが考えられます。
❶病院代が安くなる可能性がある
❸会社を退職した後の保険料が安くなる可能性がある
❸年金がカットされるリスクが減る
❹会社の社会保険料の負担が減り、感謝される
❶の病院代が安くなる可能性があるについてですが、標準報酬月額が下がることでケガや病気をした際に支払う医療費が安くなる可能性があります。
具体的に言うと高額療養費の上限額が下がるかもしれません。
高額療養費制度とは一カ月の医療費が高額の場合に、一定以上の医療費がかからなくなる制度のことなのですが、一定以上の医療費の額というのが標準報酬月額で決められています。
例えば、標準報酬月額が28万未満の場合の医療費の上限は1ヶ月で約5万7千円程度ですが、標準報酬月額が28万以上の場合は約8万円、標準報酬月額が53万円円以上で約16万7千円と段階的に医療費の上限が上がってきます。
そのため、標準報酬月額が下がることで医療費が安くなる可能性があるのです。
詳しい内容は他の記事で解説していますので、気になる方はそちらをご覧ください。
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70歳以上で社会保険に加入している場合も病院の負担割合が減る可能性もあります。
標準報酬月額が28万円未満なら病院代の負担割合は原則2割ですが、28万円を超えると3割負担になります。
❷の会社を退職した後の保険料が安くなる可能性があるについてですが、会社に在籍している時は健康保険に加入していますが、基本的には退職した場合には国民健康保険に加入します。
しかし、健康保険の保険料の計算方法も違うため、国民健康保険で加入することで保険料が高くなる可能性があります。
そうなった場合に、元の会社の健康保険に加入できる制度の「任意継続制度」というものがあり、それを利用すると2年間は健康保険に加入できます。
その際の保険料は元の会社の標準報酬月額で計算するようになっているので、標準報酬月額を下げることで保険料が安くなる可能性があります。
❸の年金がカットされるリスクが減るについてですが、年金には在職老齢年金という制度があり、年金をもらっていて会社で働いていた場合に、一定以上の給料をもらっている場合には年金がカットされる制度なのですが、この一定以上の給料というは、標準報酬月額で計算されるようになっているのです。
つまり、実際の毎月のお給料ではなく、標準報酬月額で年金がカットされるかどうかが決まるので、標準報酬月額が小さいほど年金カットの金額が減るということになるので、メリットの1つといえるでしょう。
❹の 会社の社会保険料の負担が減り、感謝されるについてですが、会社で加入している社会保険料というのは会社と労働者で折半負担をしています。
つまり、標準報酬月額が下がることで社会保険料が安くなるので会社の負担が減ります。
先ほどの例を使うと1年間で社会保険料が36,000円が安くなるので、会社はその金額分の経費を削減できたことになります。
さらに100円をお給料を下げたことで1年間で1200円の支払いが減少したことになるので、実質37,200円分の削減になります。
つまり、会社に感謝されるかもしれません(笑)
また、会社と信頼関係が築けているのであれば、例えば、100円のお給料を下げて社会保険料が安くなった部分の一定額を社会保険料がかからない退職金などに上乗せしてもらうか、何か違う形で還元してもらえないかなどの交渉もできるかもしれません。

交渉できるかは、人それぞれの環境によって左右されますが、標準報酬月額を下げることで労働者と会社がWinWinになる可能性があります。
実行する上での注意点

1つめの注意:給料の幅と標準報酬月額の範囲を確認
ここまでの説明を聞いてデメリットやメリットについてご理解いただけたと思います。
そしてなかには、給料を100円下げて、このやり方をやってみたいと思われた方もいるかもしれません。
しかし、実行する上で気を付けなければいけないこともありますので、そちらについて説明していきます。
1つ目は給料の幅と標準報酬月額の範囲を確認することです。
例えば、現時点でお給料が30万円の場合、標準報酬月額も30万円になります。
この状態で100円の給料をさげると29万9千9百になりますが、標準報酬月額は30万円のままになります。
それだと給料が下がっただけで、社会保険料は安くなりません。
ですので、自分のお給料と標準報酬月額の幅を確認する必要があります。
2つめの注意:標準報酬月額の変更についてのルール
2つ目の注意は、仮にお給料が29万円の場合は、100円さげることで給料が28万9千9百円になり、標準報酬月額は28万円に下がりますが、標準報酬月額の変更には一定のルールがあります。
変更のルールは別の記事で詳しく解説していますので、そちらお読みいただくと理解できると思いますが、押さえてほしいのが1等級下がっても翌月から新しい標準報酬月額にはならないということです。
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標準報酬月額の改定のルールを理解しよう!3つの改定と注意点も解説!
標準報酬月額は随時改定という制度があり、固定的なお給料が変更され、新しい給料の金額が標準報酬月額の等級で2等級以上の差が発生しており、その状態が3ヶ月続かないと新しい標準報酬月額に変更されません。

それだったら意味がないじゃないかー
しかし、毎年1回、4月から6月のお給料を元に新しい標準報酬月額を決定する定時決定というものがありますので、4月からお給料が変更された場合は、1等級の差であっても、新しい標準報酬月額に変更されます。

定時決定は、9月から新しい標準報酬月額になります。
社会保険料は前月分を当月のお給料から徴収しているので、実際は10月からのお給料になります。
ですので、実行する時期を気をつけなければなりません。
また入社した時は、入社した時のお給料を元に標準報酬月額が決まる(資格取得時決定といいます)ので、入社の時期から社会保険料を調整できます。
3つめの注意:会社の理解が必要
3つ目の注意は会社の理解が必要なことです。
いくらこの方法を利用したいからといって、会社が認めてくれなければ実行することができません。
ですので、標準報酬月額を下げる理由をきちんと説明する必要があります。
例えば、入社した時にお給料が29万円と決められていた場合、このままだと30万円の標準報酬月額になりますが、28万9千9百円と100円下げるだけで28万円の標準報酬月額になります。
そこで会社に100円下げてくれませんか?とお願いしても、頭でも打ったのか?と思われるかも知れません。
ですので、下げることで会社の社会保険料も安くなりメリットがあることをきちんと説明する必要があります。

きちんと説明するとこいつはできるやつだと思われるかも知れませんよ!(笑)
まとめ:社会保険料が高くなるので検討余地あり
それではまとめに入りましょう。
この記事のまとめ
❶給料から引かれる項目として健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、 雇用保険料 、 所得税 、 住民税 がある
❷社会保険料は給料に対して約15%程度かかり、給料から徴収されている。
❸給料の幅で標準報酬月額が決まっており、100円下げるだけで等級が1つ下がる可能性がある
❹等級が1つ下がるだけで、年間の保険料が約3万6千円安くなる
❺等級が1つ下がるだけで税金も含めて考えると約3万円の手取りが増える
❻標準報酬月額が下がることで厚生年金、傷病手当金、有給手当が減少するデメリットがある
❼標準報酬月額が下がることで病院代の減少、年金カットのリスク減少、会社から感謝されるメリットがある。
❽給料が下がっても、すぐに標準報酬月額が変更されるわけではない。
❾標準報酬月額を下げるためには標準報酬月額の改定ルールや会社の理解が必要になる
いかがでしたでしょうか?
実際にこの方法が実現できれば、メリットはかなりあると思います。
また現在は、財源不足の影響もあり、社会保険料は昔と比べてかなり高くなっています。
だからこそ、社会保険料の削減は自分のお金を守るために必要なことだと僕は思います。
ですので、今後もこの方法を検討したり、普段から社会保険に関する情報に目を向ける必要があると思います。
少しでもこの記事が参考になれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。