こんにちわ!ぎょうざです。
今回も相続に関する記事ですが、税金に絞ったお話をしていきたいと思います。
これまでは相続の基礎的なルール、財産の分け方や遺言について解説してきました。
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遺言で相続財産が他人の元へ!それを阻止する必殺技の遺留分減殺請求をマスターしよう!
そして、分けられた相続財産は、当然に税金がかかってくるのです。
この相続財産にかかる税金について解説し、実際に計算までしていきたいと思います。
難しそうだと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、分かりやすく解説していきますので最後までお付き合い下さい。
それではいきましょー

相続税って高いの?

財産の金額が高ければ、当然相続税もそれに合わせて高くなるよ。
でも、相続税の計算のルールを理解することで、節税にも活用できることがあるからしっかり勉強しようね。

分かったのね!
頑張ってみるよ
この記事を読むと分かること
相続税の概要と課税価格について分かる
4つの加算される相続財産と2つの差し引く相続財産について分かる
相続税の総額の計算と各人の相続税の計算方法が分かる
相続税の加算と税額控除について分かる
本記事の信頼性
・現役の経営者で複数の会社を経営
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相続税

相続税とは相続財産にかかる税金
相続税とは、名前のとおり、相続財産を取得した時にかかる税金になります。
相続財産とは簡単におさらいをしておくと、相続や遺言などで取得(遺贈)した財産になります。
この相続財産に対して、一定のルールをあてはめて税金を算出するのが相続税になります。
この一定のルールについて順番に解説していきたいと思います。
先に相続税の計算の手順を記載しておきます。
相続税の計算の手順
step
1相続財産の課税価格を計算
step
2相続税の総額を計算
step
3各相続人の納付額を計算
ステップ① 相続財産の課税価格を計算する
計算のステップ①は相続財産の課税価格を計算します。
課税価格とは相続税がかかるもの価格のことで式で表すと以下のようになります。
課税価格
課税価格=相続財産として加算されるもの-相続財産から差し引くもの
相続財産として加算されるものとして以下の4つがあります。
❶本来の相続財産
❷みなし相続財産
❸相続時精算課税による贈与財産
❹3年以内の贈与財産
相続財産として差し引くものは以下の2つがあります。
❶非課税財産
❷債務控除
上記の項目だけ見ても、よくわからないと思いますので、これから1つずつ解説していきます。
加算されるもの❶ 本来の相続財産

本来の相続財産とは、亡くなった人(被相続人)の財産で、金銭的に評価できるもので経済的な価値があるものになります。
具体的には預貯金、不動産、株式などがあります。
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相続時の不動産の評価ってどうするの?知っておきたい基礎知識と特例についても解説!
例えば、預貯金が1000万円、不動産が2000万円、株式が500万円の場合は、本来の相続財産は3500万円になるということです。
加算されるもの❷ みなし相続財産

みなし相続財産は、被相続人が生前に保有している財産ではなく、亡くなったことで発生する相続財産のことをいいます。
具体的には、生命保険の保険金や死亡退職金などがあげられます。
どちらも死亡したことで発生することなので、みなし相続財産と言われています。
例えば、被相続人が亡くなったことで死亡保険金が3000万円支給されることになった場合は、みなし相続財産は3000万円になります。

死亡退職金は死後3年以内に支給額が決定したものじゃないと、みなし相続財産とはなりません。
加算されるもの❸ 相続時精算課税による贈与財産

次は相続時精算課税による贈与財産について説明します。

相続時精算課税(そうぞくじせいさんかぜい)?
贈与財産?
何それ?
言葉だけを聞くと、難しそうだなと思うかもしれませんが、できるだけ分かりやすいように順番に解説していきます。
相続により、相続財産を取得する時に相続税がかかるということは何となく分かると思います。
相続財産はあくまでも亡くなったあとに財産を引き継ぐものです。
しかし、生きている間に財産を親族などに渡したいと考える人もいます。
その時には、渡した財産に贈与税という税金がかかってきます。
財産を渡した年の翌年の2月1日から3月15日までに、財産をもらった人がこの贈与税を支払います。
しかし、希望すれば、この税金の支払いを相続の時に延ばすことができるのです。
つまり生前に渡した財産は、その時には税金はとらないけれど、相続が発生した時には、通常の相続財産に税金をとっていない贈与の財産を加えて、合計したもので税金を算出しますよ。ということです。
ですので、相続時に税金を精算するといった意味で相続時精算課税と言われます。
たとえば、生前に2000万円の贈与された財産があって、贈与税をこの時に払うことを選択せずに、相続時精算課税を選択した場合は、この2000万円が相続時精算時課税に贈与財産として加算されます。

贈与税と相続税の税金の計算方法は違うので、この相続時精算課税を使うことで税金が安くなる場合もあるので、こういった制度を使う人がいます。
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人に財産をあげると税金がかかるってほんと?贈与税についてわかりやすく解説
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加算されるもの❹ 3年以内の贈与財産

3年以内の贈与財産についてですが、これは先ほどの相続時精算課税による贈与財産によく似ています。
違いは、贈与される時期によって扱いが変わることです。
3年以内の贈与財産とは、相続が開始する前、つまり被相続人が亡くなった日から遡って3年以内に贈与されたものは強制的に相続財産に加算されるということです。

相続時精算課税と何が違うの?

相続時精算課税は贈与税を支払うか、相続財産に加算するかを選択することができますが、相続開始前3年以内の贈与財産は強制的に相続財産に加算されるってことだよ。

でもさ贈与財産をもらった時に、3年以内にその人が亡くなるかなんてわからなくない?

とてもいい質問だね!
仮に贈与財産をもらった時に、贈与税を支払うことを選択して、贈与税を支払った時は、相続税を計算する時に贈与税額控除といった項目で相続税から贈与の時に支払った税金を差し引くことができるんだ。
簡単にいうとあとから返ってくるってことだね。
例えば、生前3年以内に現金を300万円贈与された時は、この300万円は相続財産にとして加算されるということです。
差し引くもの❶ 非課税財産

ここまでは加算するものの説明をしてきましたが、次は差し引くものを見ていきましょう。
まずは非課税財産です。
非課税財産は以下の2つになります。
❶墓地、墓石、仏具など
❷生命保険金、死亡退職金のなかで一定の金額
❶に関しては、被相続人が生前に、墓地や墓石、仏具を保有していた場合はこれは非課税の財産になりますので差し引くものになります。
注意することは、亡くなった後に被相続人のお金を使って、墓石等を購入した場合には差し引きひくことはできないので覚えておきましょう。
❷の生命保険金、死亡退職金のなかで一定の金額というのは、被相続人が亡くなったことにより生命保険金や死亡退職金を相続人が受け取った時は一定の金額(非課税限度額)を非課税財産として差し引くことができます。
それは以下の通りです。
生命保険金・死亡退職金の非課税限度額
差し引くことができる一定の額=500万円×法定相続人の数
例えば、亡くなった人に配偶者と子供が2人がいた場合は、法定相続人の数は3人になるので、この場合の非課税限度額は1500万円(500万
円×3人)になります。
具体的にみなし相続財産として死亡保険金が2000万円あった場合は、このケースだと非課税限度額の1500万円を差し引くことができるので、500万円に対してのみ課税の対象になるということになります。

仮に上記の例で子供の1人が相続放棄をした場合であっても、法定相続人としての数は3人のままにするルールがあるので、1500万円が非課税限度額になります。
但し、相続放棄をした人が死亡保険金を受け取った場合はその人だけは非課税の適用はありません。
また会社などから弔慰金が支給されることがあります
この弔慰金に関しても非課税の枠が定めれられています。
非課税の枠は業務上の死亡と業務外の死亡で以下のようになっています。
弔慰金の非課税限度額
業務上の死亡
非課税限度額=死亡時の給与の3年分
業務外の死亡
非課税限度額=死亡時の給与の6ヶ月分
上記の金額を超える弔慰金の場合は死亡退職金として取り扱われることになり、相続財産に含まれるので、その場合は先ほどの死亡退職金の非課税限度額の枠を使うことができます。
差し引くもの❷ 債務控除

差し引くものの2つ目は債務控除になります。
債務控除とは、本来は貯金や不動産などを相続するのですが、被相続人に借金がある場合があります。
つまりはマイナスの財産のことです。

この借金のことを債務といい、債務を引き継いだ場合には相続財産から差し引くことができます。
債務控除として差し引けるものとして以下のようなものがあります。
債務控除の対象になるもの
●借入金
●未払いの税金や医療費
●遺言作成費用
●葬式の費用(香典返戻費用や初七日法会費用などは除く)
などがあります。
課税価格を計算してみよう
ひと通り、説明したので一度、例を出して計算してみましょう。
仮にある夫婦の夫が亡くなり、相続人が妻と子供2人だとして見ていきましょう。
課税価格の計算例
相続財産として加算されるもの
❶現金5000万
❷不動産3000万
❸株式2000万
❹死亡保険金3000万
❺相続時精算課税の贈与財産4000万
❻3年以内の贈与財産2000万
加算されるもの合計=1億9000万
相続財産として差し引かれるもの
❶加算の❷の死亡保険金に伴う非課税限度額1500万(500万×相続人3名)
❷葬式費用500万
❸借入金2000万
差し引かれるもの合計=4000万
課税価格1億5000万=加算計1億9000万−差引計4000万
上記の例をみると、加算されるものの合計が1億9000万円と差し引かれるものの合計が4000万円となり、課税価格が1億5000万円になります。
イメージは下記の図のようになります。
ステップ② 相続税の総額を計算
相続財産の課税価格についてはわかりました。
続いて、ステップ2の相続税の総額を計算していきましょう。
先に流れを説明すると
- 課税価格から遺産に係る基礎控除を差し引く。
- 1の金額を各法定相続分に按分して各相続人に割りあてる
- 2の金額を、相続税の税率表にあてはめて計算
- 各相続人ごとの3の計算金額を合計して総額を算出
誰でも使える遺産に係る基礎控除
まず課税価格から遺産に係る基礎控除というものを差し引きます。
遺産に係る基礎控除額とは誰でも使える控除のことで、次のように計算されます。
遺産に係る基礎控除
遺産に係る基礎控除額=3000万円+(600万円×法定相続人の数)
先ほどの課税価格の例で、妻と子供2人の場合は法定相続人の数は3人になるので、上記の式にあてはめると遺産に係る基礎控除額は4800万円になります。
ここでポイントなのが、相続財産が遺産に係る基礎控除額より小さい場合は相続税は0円になるということです。

最低人数の法定相続人が1人だったとしても3600万円以下なら相続税はかからないってことだね。
そして、課税価格から遺産に係る基礎控除額を差し引いたものを課税遺産総額と言います。
課税価格の計算例で使った数字で計算すると、課税価格が1億5000万円で法定相続人が3人の場合の遺産に係る基礎控除は4800万円になるので、課税遺産総額は1億200万円になるということです。
課税遺産総額を各相続人に割りあてる

課税遺産総額を計算したら、この金額を法定相続分で按分します。

法定相続分で按分ってどうゆうこと?

法定相続分は覚えている?相続の基礎の記事で解説したやつだよ。
簡単にいうと法律で決められた相続人の財産の取り分のことだね。
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亡くなった場合の財産はどうなる?相続が争族にならないように基礎知識を学ぼう!
妻と子供2人が相続人の場合は、妻の法定相続分は1/2で子供が1/4ずつになります。
つまり課税遺産総額を各相続人の法定相続分で割って、各相続人に財産を分けるということです。
課税遺産総額1億200万円で相続人が妻と子が2人(長男と次男)の場合は以下のようになります。
妻
6100万円【1億200万円×1/2】
長男
3050万円【1億200万円×1/4】
次男
3050万円【1億200万円×1/4】
この手順が課税遺産総額を各相続人に割りあてるということです。
各相続人に割りあてた金額に税率をかける
次の手順は、課税遺産総額を各相続人が法定相続分で取得したと考えて、1人1人の仮の相続税額を計算します。

仮の相続税額?

実際に相続する時は、法定相続分どおりにならないケースがあるんだ。
例えば、長男が相続放棄する場合も考えられるんだけど、その場合の実際の相続は妻が1/2、次男が1/2になるんだ。
でも相続税の計算のルールでは、とりあえず法定相続分とおりに長男も相続したとして一旦計算するんだ。
相続税額の計算は下記の速算表を使います。
平成27年1月1日以後の相続税の税率速算表
法定相続人の取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | - |
1,000万円超 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円超 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円超 1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
2億円超 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
3億円超 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
先ほど計算した妻と長男と次男に割りあてた金額を上記の表にあてはめて各人の仮の相続税を計算します
妻の仮の相続税
1130万円【6100万円×30%−700万円】
長男の仮の相続税
410万円【3050万円×20%−200万円】
次男の仮の相続税
410万円【3050万円×20%−200万円】
仮の相続税を合計する
最後の手順は、各人の仮の相続税を合計して、相続税の総額を計算します。
上記の例でいくと、相続税の総額は1950万円【妻1130万円+長男410万円+次男410万円】になるということです。

最後の手順は足し算するだけだから簡単なのね♪
ステップ③ 各相続人の納付額を計算

相続税の総額から按分割合をかけて各人の税額を計算
では最後のステップとして、各相続人の納付額を計算して見ましょう。
各相続人の納付額は以下の計算式で求めることができます。
各人の算出税額の計算
各人の算出税額=相続税の総額×按分割合

按分割合は各人の課税価格を全体の課税価格の総額で割ると算出できます。
たとえばAさんは1000万円の課税価格で全体の課税価格の総額が1億円の場合は按分割合は10%になるということです。
では数字を使って計算して見ましょう。
先ほどまでの例と同じ数字と条件で計算します。
課税価格の総額が1億5000万(遺産に係る基礎控除を引く前の価格)で妻が7500万円、長男が3250万円、次男も3250万円の課税価格で、相続税の総額が1950万円の場合の各人の算出税額は以下のとおりです。
妻の算出相続税額
975万円
計算式=相続税の総額1950万円×按分割合50%※
※妻の課税価格7500万÷課税価格の総額1億5000万
長男の算出相続税額
487.5万円
計算式=相続税の総額1950万円×按分割合25%※
※長男の課税価格3250万÷課税価格の総額1億5000万
次男の算出相続税額
487.5万円
計算式=相続税の総額1950万円×按分割合25%※
※次男の課税価格3250万÷課税価格の総額1億5000万
もう一つ例として、上記の例で長男が相続を放棄したと考えて、妻が7500万円、次男も7500万円の課税価格になった場合のケースでも見ていきましょう。

相続税の総額は、長男が相続放棄した場合でも、相続したとして計算されるのでそのままになります。
ですので、相続税の総額は1950万円のままです。
妻の算出相続税額
975万円
計算式=相続税の総額1950万円×按分割合50%※
※妻の課税価格7500万÷課税価格の総額1億5000万
次男の算出相続税額
975万円
計算式=相続税の総額1950万円×按分割合50%※
※次男の課税価格7500万÷課税価格の総額1億5000万
になります。
見ていただいたら分かるのですが、自分が引き継いだ相続財産の課税価格の割合が大きいほど、相続税額も他の相続人より大きくなります。
配偶者や1親等の血族以外の人は相続税が2割増える
例では、配偶者や子供が相続人として計算しましたが、相続税を計算する上でひとつ注意しなければならないことがあります。
それは、配偶者、子(養子を含む)、父母以外の相続人が財産を引き継いだ場合は先ほど計算した相続税の算出額が2割加算されます。

えー。2割も増えるなんて負担が大きいのねん。
つまり、1親等以外の孫や兄弟姉妹、また遺言で遺贈された友人などの第三者は相続税が20%余分に払うということです。
例えば、兄弟が相続財産を引き継ぎ、相続税の算出税額が1000万円の場合は2割が加算されて1200万円になるということです。
もう一つ注意点が、孫が養子の場合であっても2割加算の対象になりますので覚えておきましょう。

少しややこしいですが、代襲相続で孫が相続人になった場合は、本来の子の代わりに相続することになったと考えられるので2割加算の対象になりません。
代襲相続について詳しく知りたいかたはこちらの記事を参考にして下さい。
6つの税額控除で税金が安くなる
最後に税額控除について説明します。
税額控除とは、税金を算出した後に控除(差し引く)できる項目のことです。
この税額控除は以下の6つがあるので、1つずつ解説していきます。
6つの税額控除
❶贈与税額控除
❷配偶者の税額軽減
❸未成年者控除
❹障害者控除
❺相次相続控除
❻外国税額控除
税額控除❶ 贈与税額控除
贈与税額控除は加算される相続財産のところで説明させてもらった3年以内の贈与財産で贈与税を支払った時に、控除項目として精算されるものです。
例えば、妻が贈与税を10万円払っていたのに、3年以内の贈与財産に該当し、相続財産に加算されるケースなどが考えられます。
仮に相続税を100万円支払うことなった場合に本来なら支払わなくてよい贈与税10万円を贈与税額控除として相続税から差し引きます。
この場合は妻の相続税が100万円から90万円になるということです。
税額控除❷ 配偶者の税額軽減
2つは配偶者の税額軽減です。
これは、配偶者だけが受けられる特権で、次の2つのうち金額が大きいものが適用されます。
①1億6000万円
②配偶者の法定相続分
この税額控除はかなり、メリットが大きいと思います。
大きい方なので、最低でも1億6000万円までは配偶者は相続税はかからないとも言えます。
また、配偶者の法定相続分を計算して、それが仮に3億だった場合は、あくまでも大きいものが適用になるので3億が配偶者の税額控除になるということです。
先ほどの算出税額の計算例で妻は945万円が相続税の支払いの対象になっていましたが、最低でも1億6000万円の控除があるので配偶者である妻は税金はかからないということになります。

よっぽどの金持ちじゃない限り、配偶者の相続税はかからないということだね。
税額控除❸ 未成年者控除
3つ目は未成年者控除です。
これは相続または遺贈により財産を引き継いだ人が法定相続人であり、かつ、未成年者である場合に適用される税額控除です。
控除金額は20歳になるまでの年数に10万円をかけたものになります。
例えば、18歳の子供が相続人になった場合には20歳まで2年なので、2年×10万円の20万円が税額控除の対象になるということです。

例えば、20歳まで1年6ヶ月の場合など、月数に端数がでた場合は1年切り上げて2年として計算します。
税額控除❹ 障害者控除
4つ目は障害者控除です。
これは相続または遺贈により財産を引き継いだ人が法定相続人であり、かつ、障害者である場合に適用される税額控除です。
控除額は以下のとおりです。
85歳に達するまでの年数×10万円(特別障害者※の場合は20万円)
※特別障害者とは身体上の障害等級が1級又は2級など、重度の障害のある方を言います。
例えば、重度でない障害者で75歳の父母が相続人になった場合には85歳までは10年あるので、税額控除額は100万円になるということです。

未成者控除と同じように、月数に端数がでた場合は1年切り上げて計算します。
税額控除❺ 相次相続控除
5つ目は、相次相続控除です。
相次相続控除は、相続が開始される前から10年遡り、その期間の中で相続が発生したしていた場合に適用される税額控除です。
つまり、10年の間に2回以上相続が発生している人は、税金を安くしますよ。という制度になります。
1回目の相続から2回目の相続までの期間が短くなる人ほど、控除額が大きくなり逆に期間が長い人ほど控除額が少なくなります。
控除される割合は1年につき10%の割合で減額するようになっています。
例えば3年の期間の場合は70%(10年−3年)、5年の場合は50%(10年−5年)の割合になります。
この税額控除の計算方法はかなり複雑なので、今回は割愛させていただきますが、もし気になる方は国税庁のHPを参照してください。

相次とはあいついで相続が発生したという意味でこのような名前になっています。
税額控除❻ 外国税額控除
6つ目は外国税額控除です。
外国税額控除は、亡くなった人の財産が外国にあって、外国で相続税を徴収された場合に、一定額を控除することができる制度です。
いわゆる、日本でも税金が取られ外国でも税金が取られてしまうので、二重課税を防止する制度になります。
控除額は次の2つのうち、少ないものが適用されます。
①外国で支払った相続税に相当する税金
②日本の相続税額×外国の相続財産÷相続人の相続財産合計
例えば、相続人である長男が日本の相続財産5000万円と外国の相続財産2000万を引き継いだ場合は、相続財産の合計は7000万円になります。
仮に日本の相続税を700万円支払い、②の計算式にあてはめると200万円(700万×2000万÷7000万)になります。
しかし、外国で支払った相続税に相当する税金が150万円の場合、は外国の税金の方が少ないので150万円が外国税額控除の対象になるということです。

外国の財産を日本円に戻す時は為替が関係してくるので、注意が必要です。
まとめ:1つ1つ分解するとそれほど難しくはない
いかかでしたでしょうか?
今回は相続税の計算方法について解説していきました。
最後にまとめに入ります。
まとめ
課税価格を計算するために加算される相続財産から差引かれる相続財産を引く
加算される相続財産は、本来の相続財産、みなし相続財産、相続時精算課税による贈与財産、3年以内の贈与財産の4つ
差し引かれる相続財産は非課税財産、債務控除の2つ
課税遺産総額(課税価格−遺産に係る基礎控除)から各相続人の相続税を仮に計算して相続税の総額を計算する
相続税の総額から按分割合をかけて、各相続人の相続税を計算する
6つの相続税の税額控除があり、配偶者は最低でも1億6000万円までは相続税がかからない
覚えることが多くて大変だなと感じた人もいるかもしれません。
しかし、1つ1つ分解して見ていくと、そこまで難しくはないのではないでしょうか。
相続税の計算は、他にも細かい規定はありますし、色々なケースの相続があって計算が複雑になる場合もあります。
その場合などは税理士などの専門化に頼むといいでしょう。
しかし、今回の内容を把握すると全体像が見えるので、覚えておくと実際に相続税がどれくらいかかるのかがある程度は把握できると思います。
こうゆうふうに計算するのかと分かっていただくだけでもマネーリテラシーの向上に繋がると思います。
少しでもこの記事が参考になれば嬉しいです。