税金

相続時の不動産の評価ってどうするの?知っておきたい基礎知識と特例についても解説!

2021年9月22日

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ニクマン

相続の時の不動産の評価ってどうやってするの?

こんなお悩みを解決いたします!

本記事を読むとわかること

3種類の家屋の評価方法が分かる

路線価方式と倍率方式について分かる

4種類の宅地の評価方法が分かる

宅地の評価の特例について分かる

本記事の信頼性

ぎょうざ(@gyouza_maney)

この記事を書いている僕は、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーの資格を保有しており、現在は複数の会社を経営しております。

相続や贈与で、不動産を引き継ぐ方もいるかもしれません。

今回の記事では、基本的な不動産の評価方法や相続税の節税に役立つ特例についても解説していきます。

過去の記事でも相続税や贈与税についての基礎知識を解説してきましたので、そちらの記事を読むと更に理解が深まると思いますので一度ご覧になってから、この記事を読むことをおすすめします。

相続税の記事はこちら
相続税の計算ってどうするの?誰でも分かるように優しく解説します!
贈与税の記事はこちら
人に財産をあげると税金がかかるってほんと?贈与税についてわかりやすく解説

不動産の評価は大きく2つに分かれます。

それは建物(家屋)の部分と土地(宅地)の部分になりますので、1つずつ解説していきたいと思います。

それではいきましょー

建物(家屋)の評価

建物を評価する時は、建物のことを家屋【かおく】と言います。

そしてこの家屋は、自分達で使用しているものなのか、誰かに貸しているものなのかで評価が変わってきます。

建物の評価は、主に下記の3つに分かれます。

家屋の3つの評価

自用家屋の評価
貸家の評価
建設途中の家屋の評価

❶自用家屋の評価

自用家屋とは自分のために使用している家屋のことをいい、分かりやすい例だと自分の住んでいる家などが該当します。

そして自用家屋の評価は以下のとおりになります。

自用家屋の評価額=固定資産税評価額×倍率(1.0)

ニクマン

固定資産税評価額って何?

固定資産税評価額とは、固定資産税のもととなる金額のことです。

固定資産税は家に対する税金のことで、家を所有している人はおなじみだと思うのですが、毎年、自宅に納税通知書が届き、固定資産税を払っていると思います。

ぎょうざ

ちなみに固定資産税は原則、固定資産税評価額に1.4%をかけたものになります。

固定資産税評価額は各市町村が個別に決める価格になります。

毎年1月1日現在で所有権を登記している人に対して課税されます。

そして所有者に対して納税通知書が送られてくるので、そこに課税明細書というものがついているので、そこを見れば固定資産税評価額が分かります。

また、自用家屋には倍率方式というものが適用され、名前のとおり一定の倍率をかけて評価額を出します

自用家屋の倍率は1.0なので、例えば、ある自用家屋の固定資産評価額が1000万円の場合は、1000万円に倍率の1.0をかけるので、この場合の評価額は1000万円になるということです。

家屋上にある権利の評価

次に貸家の評価を見ていきましょう。

自用家屋と違うところは、誰かに家屋を貸しているので自分は住んでいません

イメージで行くと、誰かに家を貸して、不動産収入を得ている感じです。

この貸家の評価は以下のとおりです。

貸家の評価=固定資産税評価額 × ( 1 − 借家権割合 × 賃貸割合 )

ニクマン

むむむ。。
借家権割合?賃貸割合?
また難しい言葉が出てきたぞ。

借家権割合とは、家屋を借りている借家権の割合のことです。

借家権とは、家屋の借主が何らかの理由で貸主から「この家から退去して下さい。」といった、いわゆる立ち退きを要求をされた場合に貸主に対して請求できる権利金のことだと思うとわかりやすいと思います。

この借家権割合は国税局管内で定められており、例えば兵庫県の借家権割合(令和3年)は30%になっています。

そして賃貸割合とは、例えば、被相続人がアパートを保有しており、5世帯の部屋があるとします。

しかし、このアパートでは1世帯が空室になっており、相続開始後も空室の場合は、5世帯中4世帯のみの入居と考えられ、賃貸割合は80%(4世帯÷5世帯)になります。

では、例題で仮に5000万円のアパートを保有しており、借家権割合30%、賃貸割合80%とした場合で上記の計算式に当てはめてみましょう。

計算すると3800万円【5000万円×(1ー30%×80%)】の評価額になります。

ぎょうざ

空室がない場合は賃貸割合が100%になるので、上記の場合、貸家の評価額は3500万円になります。
ということは、空室が少ない方が評価額が下がるので、結果相続税が安くなるということです。

❸建設途中の家屋の評価

3つ目は建設途中の家屋の評価です。

言葉のとおり、建設が途中である家屋のことで、場合によっては家屋の建設中に亡くなるケースも考えられます。

その場合は以下のような計算で評価します。

建設途中の家屋の評価=費用原価×70%

建設途中なので、固定資産税評価額も算出できません

そこで相続が開始する前までに、建設会社などに支払われた金額を費用原価として、その70%が評価額になります。

ぎょうざ

費用の金額は、建築請負契約書や領収証などを確認して算定します。

土地(宅地)の評価

路線価方式と倍率方式

家屋の評価方法を理解できたと思いますので、ここからは宅地の評価方法を見ていきましょう。

宅地とは建物の敷地として使用される土地のことを言います。

そして、宅地の場合は以下の2つの評価方法があります。

宅地の2つの評価方法

路線価方式
倍率方式

❶の路線価方式とは、路線価が定められている市街地の宅地の評価方法のことを言います。

路線価とは道路に面する土地の価格のことを言い、1平方メートルあたりの宅地の価格のことを言います。

路線価は国税庁のHPで地域ごとに路線価図が公開しており、簡単に調べることができます。

例えば、兵庫県神戸市中央区磯上通2で調べると以下のように出てきます。

国税庁HP:令和3年兵庫県路線価図

上記の路線価図だとわかりづらいと思いますので、シンプルで簡単にしたもので説明します。

例えば、以下のような場合で路線価を見ていきましょう。

上記の路線価は200Cと出ていますが、数字の最後のアルファベットのCの部分は借地権の割合を示すものなのですが、後ほど宅地の借地権のところで解説しますので今は無視して下さい。

ですので、Cの部分は今は読み飛ばしてもらって200という数字に着目して下さい。

これは1平方メートルあたりの価格になり200千円と読み変えることができます

ですので、上の図は1平方メートルあたりの宅地の価格は200,000円になります。

そして地積が600㎡ですので20万円に600㎡を掛け算します。

するとこの宅地の価格は1億2000万円になります。

ぎょうざ

路線価は毎年7月1日に発表されます

続いて、❷の倍率方式ですが、先ほどの自用家屋で説明したときと同じで一定の倍率をかけて評価する方式です。

倍率方式は路線価が定められてない地域の場合に、固定資産評価額に国税局長が定めた倍率をかけたものが倍率方式の評価になります。

ここまでをまとめると

路線価方式=路線価×地積

倍率方式=固定資産評価額×倍率

になるということです。

4種類の宅地と評価

ではここからは、実際の種類に応じた宅地の評価を見ていきましょう。

宅地の評価は主に以下の4つに分かれます。

宅地の4つの評価

自用地の評価
借地権の評価
貸宅地の評価
貸家建付地の評価

それでは、4種類の宅地の評価について順番に解説していきます。

❶自用地の評価

自用地の評価

自用地宅地の所有者本人が、自分のために使用する宅地のことです。

評価方法(路線価方式の場合)は以下の通りです。

自用地の評価=路線価×奥行価格補正率×地積

奥行価格補正率とは、土地の奥行の長さが一般的な土地と比べて長かったり、逆に短かったりした場合には一定の調整した率を掛け算することで、通常の土地の評価よりも低くできるものです。

ニクマン

通常の土地に比べて使いずらいから、安くなるってことだね。

奥行価格の補正についてはここでは詳しくは解説しませんが、地区の区分、奥行の長さなどを加味して決められます。

奥行価格補正率表というものがあり、国税局のHPで確認できます。

例えば、ある自用地の路線価が10万円で奥行価格補正率が0.99、地積が300㎡の場合の評価額は2970万円(路線価【10万円×奥行価格補正率0.99×300㎡)になるということになります。

ぎょうざ

実際の自用地の評価では、土地によっては2つの道路に面している場合や角地など様々な土地のケースがあります。
その場合は、もう少し細かい調整率を加味して計算しますが、とりあえず今回の内容を基本として覚えておいて下さい。

❷借地権(借地人が借りている土地)の評価

借地権とは宅地の所有者ではない第3者が宅地の上に家屋を建てたりして、使用している場合にその宅地部分の借りている権利の部分を指します。

宅地を借りている人に相続が発生した場合に、この借地権も評価されます。

計算式は以下のとおりです。

借地権の評価=自用地の評価×借地権割合

計算はシンプルで先ほどの自用地の評価に借地権割合を掛け算するだけで求められます。

この借地権割合も国税局で定められており、割合はAからGまでの7段階で定められています。

先ほどの路線価の説明で、価格の後ろにアルファベットがあったのを覚えているでしょうか?

路線価の計算例で200Cと表現されていたと思います。

このCのアルファベット部分が借地権の割合になります。

借地権の割合はAの90%から始まり、Gまで10%刻みで表されます

もう一度、兵庫県の路線価図を見てみましょう。

国税庁HP:令和3年兵庫県路線価図

路線価図の上の方に借地権割合が記載されているのがわかります。

つまり、200Cの場合は借地権割合は70%となり、仮に宅地の地積が600㎡、奥行補正率が1.0の場合は8400万円(20万×1.0×600㎡×70%)が借地権の評価になるということになります。

❸貸宅地(地主の土地)の評価

貸宅地は簡単で、借地権の評価と逆になります。

つまり、借地権が設定されている宅地の評価で、宅地を貸している人(地主)に相続が発生した場合に評価する方法です。

計算式は以下のとおりです。

貸宅地の評価=自用地の評価×(1ー借地権割合)

さっきの借地権割合の反対になるので、単純に1から借地権割合を引き算したものを自用地の評価と掛け算します。

同じ計算例を使うと、路線価が200C、地積が600㎡、奥行補正率が1.0の貸宅地の場合の評価は3600万円(20万×1.0×600㎡×【1−70%】)になります。

ぎょうざ

借地権の評価8400万円と貸宅地の評価の3600万円を足すと自用地の評価の1億2000万円になりますね。

❹貸家建付地の評価

貸家建付地とは宅地の所有者がアパートなどを建て、そのアパートに第3者が住んでいる場合の宅地になります。

計算式は以下のとおりです。

貸家建付地の評価=自用地の評価×(1ー借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

ぎょうざ

家屋の評価で説明した貸家の評価と貸宅地の評価を合わせた感じですね。

借家権割合賃貸割合は貸家の評価で説明した通りになります。

例えば、路線価が200C、地積が600㎡、奥行補正率が1.0、借家権割合が30%、賃貸割合が80%の場合の貸家建付地の評価は9984万円(20万×1.0×600㎡×【1−70%×30%×80%】)になります。

評価の特例について

ここまでで、家屋と宅地の評価についてある程度ご理解いただけたと思います。

最後に、ある一定の条件に該当する宅地等に関しては、通常の評価よりも割安な評価をしてくれるお得な制度がありますのでそれについて解説していきたいと思います。

小規模宅地等の場合は評価額が下がる

これまで説明した宅地等で、一定の条件を満たす宅地等の場合は通常の評価よりも減額してくれる制度があるのですが、その制度のことを小規模宅地等の評価減の特例と言います。

小規模宅地等の評価減の特例は、相続や遺贈により取得した宅地等が、亡くなった人(被相続人)等の居住用や事業用で使われていた場合には、一定の部分を通常の評価よりも減額してくれます。

遺贈の記事はこちら
遺言で相続財産が他人の元へ!それを阻止する必殺技の遺留分減殺請求をマスターしよう!

つまり、評価を減額してくれることで相続税が安く抑えられることになります。

そして減額割合は50%又は80%になります。

ニクマン

えっ!?そんなに減額してくれるの!?
じゃあ1億の宅地が5000万円以下になるってこと?

ぎょうざ

宅地のすべてを減額するわけではないんだ。あくまでも一定の部分だから、それについてはこれから説明していくね。

減額される宅地は大きく居住用事業用の2つに分かれ事業用に関しては更に2つに分かれます。

減額される宅地

居住用
特定居住用宅地等

減額割合80%(限度面積330㎡)
事業用
特定事業用宅地等
減額割合80%(限度面積400㎡)
貸付事業用宅地等
減額割合50%(限度面積200㎡)

【居住用】特定居住用宅地等の要件と計算

居住用の特定居住用宅地等とは、次のどちらかに該当する宅地等になります。

①亡くなった人(被相続人)が住んでいた場合
②亡くなった人(被相続人)が保有する物件に、生計を一にする親族が住んでいた場合

ぎょうざ

生計を一にするとは、簡単にいうと、日常生活の生活費などをその人(ここでは被相続人)から工面されており生活させてもらっている状態のことを言います。

①と②の宅地等を一定の要件を満たす人が取得した場合には小規模宅地等の特例の対象になります。

①の要件を満たす人は以下のとおりです。

1.配偶者
2.同居親族(相続税申告期限までに対象の土地を所有し、住み続けることが要件)
3.同居していない親族で一定の要件を満たした者

1の配偶者は2の同居親族とは違い、要件が緩和されており、相続税申告期限までに対象の土地を所有し、住み続けることが要件になっていません。

また3の同居していない親族が取得した場合の一定の要件とは、亡くなった人に配偶者や同居親族がいないことや相続税申告期限まで対象の土地を所有するなど複数の要件を全て満たすことが必要になります。

続いて②の要件を満たす人は以下のとおりです。

1.配偶者
2.同居親族(相続税申告期限までに対象の土地を所有し、住み続けることが要件)

ぎょうざ

①の要件の3を除いたものが、②の要件になります。

では、実際に要件に該当したと仮定して、計算をしてみましょう。

特定居住用宅地等に該当した場合は地積の上限が330㎡で80%まで減額してもらえるので、仮に300㎡の宅地の場合は上限の330㎡に達していないので、宅地の評価の80%が減額されます。

この宅地の評価が2000万円の場合、この80%が減額されるので実際の評価額は400万円(2000万円−【2000万円×80%】)になります。

地積が500㎡の場合で同じように宅地の評価額が2000万円の場合は、計算式は以下のようになります。

2000万円ー(2000万円×330㎡÷500㎡×80%)=944万円

あくまでも330㎡が上限なので、それを超える地積の場合は按分して求めることになります。

しかし、80%の減額になるので相続税の節税になるのは間違いありません。

【事業用】特定事業用宅地等の要件と計算

事業用の特定事業用宅地等とは、亡くなった人(被相続人)やその人と生計を一にする親族が、事業を行っていた宅地等のことを言います。

ぎょうざ

会社の事務所や工場などに利用している土地などが該当します

上記の宅地等を取得し、小規模宅地等の特例を受けるには以下の要件が必要になります。

①相続税申告期限まで引き続いて事業を継続していること
②相続税申告期限まで対象の土地を所有していること

この2つの要件を満たすと小規模宅地等の特例を受けることができます。

では例を出して計算して見ましょう。

特定事業用宅地等に該当した場合は地積の上限が400㎡で80%まで減額してもらえるので、仮に500㎡の宅地の場合で宅地等の評価が3000万円の場合は以下の計算結果になります。

3000万円ー(3000万円×400㎡÷500㎡×80%)=1080万円

ぎょうざ

特定事業用宅地等に似たような制度で、特定同族会社事業用宅地等というものもあります。
これは亡くなった人の同族会社の事業の敷地にも小規模宅地等の特例が適用できるという制度で計算方法は同じです。

【事業用】貸付事業用宅地等の要件と計算

最後に貸付事業用宅地等についてですが、これは特定事業用宅地等の要件とほとんど同じになります。

違う部分は、宅地等の対象が、誰かに貸しているアパート貸駐車場などになります。

計算は、減額割合が50%になり地積の上限が200㎡になりますので、評価減の効果が一番少ないのが特徴です。

例えば、仮に貸駐車場の地積が400㎡で土地の評価が1000万円の場合は、以下の計算になります。

1000万円ー(1000万円×200㎡÷400㎡×50%)=750万円

小規模宅地等の評価減の特例はお得な制度なので覚えておいて損はないと思います。

ぎょうざ

特例を利用するにあたって相続税がたとえ0円になった場合でも、必ず相続税の申告書を提出する必要があるので注意しましょう。
また、相続開始日前3年に新たに事業の用や貸付事業の用に使用された宅地等は対象外になります

まとめ:評価方法を理解して節税対策に活用

それでは最後にまとめに入ります。

相続時の不動産評価のまとめ

建物(家屋)の評価は自用家屋、貸家、建設途中の家屋の3つの評価がある
宅地の評価方式は路線価方式倍率方式の2つがある
宅地の評価は自用地、借地権、貸宅地、貸家建付地の4つの評価がある
借地権割合はAの90%から始まり、Gまで10%刻みで表される。
路線価(毎年7月1日に発表)や奥行価格補正率国税庁のHPで確認できる
小規模宅地等の評価減の特例(減額割合80%又は50%)を使うことで宅地の評価を下げ相続税が安くなる

将来、不動産を家族に引き継いでもらいたいと考えられている人もいると思います。

また実際の相続が発生した場合には、不動産についての話し合いも行われると思います。

その時に不動産の評価が分からないと困ることがないように、今回の内容を押さえていただけると幸いです。

また、小規模宅地等の特例を理解して申請することで、相続税の節税にも繋がりますので対象者は活用するようにして下さい。

その他にも、わからないことやもっと細かいことを知りたい場合には、税理士などの専門家に頼ることも選択肢の1つだと思います。

少しでもこの記事が参考になれば嬉しいです。

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  • この記事を書いた人

ぎょうざ

餃子を愛する社労士×CFP×経営者【経歴】体操競技一筋で大学卒業▶社会経験なしで経営者▶知識のなさにあせり経営やお金に関する資格を取得▶3社経営&ブロガー 【保有資格】 社労士/CFP/FP1級/簿記1級/ペット葬祭ディレクター1級/体育教諭免許/運行管理者/衛生管理者/損保募集人資格/等

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