
失業保険をいっぱいもらうためにはどうすればいいの?
失業保険に加入しているけれど、もらえない場合ってあるの?
こんなお悩みを解決いたします!
本記事を読むとわかること
失業保険をもらうための条件について分かる
失業手当のもらえる日数ともらえる期間について分かる
失業手当の計算方法について分かる
失業手当を多くもらう方法や注意点について分かる
本記事の信頼性

ぎょうざ (@gyouza_maney)
この記事を書いている僕は、社会保険の専門家である社会保険労務士の資格を保有しており、現在は複数の会社を経営しております。
現在、会社で働いており会社を辞めようと考えている人や転職を考えている人もいると思います。
そこでやっぱり気になるのが失業手当についてだと思います。
失業手当とは、会社を退職(失業)した後にその人が次の就職まで安心して生活できるように支給される給付金のことです。
しかし失業手当はどのくらいの金額を受給することができるのか?どうやったら受給することができるのか?など細かい内容まで知らない人も意外に多いのではないでしょうか?
この記事では失業手当についての仕組みや計算方法についてわかりやすく解説していきます。
それではいきましょー
失業手当をもらうための条件

雇用保険には多くの給付がある
多くの方が認識している失業保険の正式名称は雇用保険といいます。
雇用保険は、会社で働いている人のほとんどが加入していると思います。
この雇用保険に加入することで、退職や解雇などで失業した場合に、失業中の生活などを支える給付金などを受けることができます。
雇用保険には失業中の給付以外にも、教育支援に対する給付、再就職した際にもらえる給付、介護中にもらえる給付などもあります。
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雇用保険にはどんな給付があるの?雇用保険の手当や給付金について全て解説します!
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今回はその中でも失業中にもらえる給付金の失業手当について解説していきたいと思います。

失業手当の正式名称は基本手当といいます。
どうやったら失業手当がもらえるの?
では、この失業手当はどういった条件を満たすことで受給できるのでしょうか?
それは65歳未満で一定期間の間、雇用保険に加入して賃金の支払いを受けることです。
補足事項
65歳以上で雇用保険に加入している人は失業手当ではなく高年齢求職者給付金という一時金が貰えます。

一定の期間ってどれくらい雇用保険に加入すればいいの?

実は辞めた理由で期間が変わるんだ。
失業手当を受給するには一定の加入期間(被保険者期間)が必要なのですが、会社を辞めた理由によりこの加入期間が変わります。
3つの離職者種類と2つの被保険者期間
辞めた理由は大きく次の3つに分かれます。
❶自己都合で辞める場合
❷会社都合で辞める場合
❸自分の意思と反する理由で辞める場合
会社を退職する場合を想像してもらうと分かるのですが、会社を辞める理由として大抵の場合はこの3つに該当するはずです。
雇用保険では❶の自己都合、いわゆる自分の意思で会社を辞めたケースは一般の離職者と言われます。
❷の会社都合は、解雇や会社の倒産などにより失業してしまったケースで倒産・解雇等離職者と言われます。
❸の自分の意思と反する理由で辞める場合というのは、❶の自分の意思で辞めた場合とは違い、自分の意思ではどうすることもできない状態で辞めたケースです。
例えば、有期の雇用契約を結んでいて、契約更新を本人が望んでいたにも関わらず契約の更新がされななかった場合や父母の介護や死亡などにより家庭の事情が急変してしまって離職を余儀なくされた場合などが該当します。
こういった理由で辞めた場合の離職者を特定理由離職者といいます。
この3つの離職者によって、雇用保険の被保険者期間の要件が変わってきます。
被保険者期間の要件は2種類になり、以下の通りです。
【一般の離職者の被保険者期間の要件】
離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること
【倒産・解雇等離職者及び特定理由離職者の被保険者期間の要件】
離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上あること
一般の離職者は辞める日からさかのぼって2年間の間に1年以上の被保険者期間が必要であり、倒産・解雇等離職者と特定理由離職者は辞める日からさかのぼって1年間の間に半年以上の被保険者期間が必要になります。
実は被保険者期間というのは勘違いされやすいのですが、雇用保険に加入している期間と解釈すると少し問題がありますので、雇用保険でいう被保険者期間について解説していきます。
被保険者期間=加入期間ではない
被保険者期間とは実際に雇用保険に加入している期間のうち離職日からさかのぼって区切った1ヶ月において賃金支払基礎日数(賃金の支払いの基礎となった日)が11日以上になった月の合計になります。

よくわかんないよ。

できるだけわかりやすく説明するから頑張ってついてきてね。
雇用保険の場合、まず離職日から1ヶ月ごとにさかのぼっていきます。
例えば10月20日に退職した場合には1ヶ月さかのぼるので9月21日が1ヶ月さかのぼった日になります。
そしてこの1ヶ月の期間である9月21日から10月20日までの間で賃金の支払いの基礎になった日を数えます。
例えば、月給制で1ヶ月拘束する意味で給料を支払っている場合には30日(9月21日〜10月20日の期間)が賃金支払基礎日数になりますし、土日などを除いた期間に対する給料であればその日を除いた日が賃金支払基礎日数になります。

仮に1ヶ月で8日間の休日があり、それを除いた期間に対する給料の場合で、1ヶ月の期間が30日の場合だった場合には22日(30日から8日を差し引いた日)が賃金支払基礎日数になります。
アルバイトやパートの人で雇用保険に加入している日給制の場合は、原則その1ヶ月の期間で働いた日数が賃金支払基礎日数になります。
そしてこの賃金支払基礎日数がさかのぼって1ヶ月の期間ごとに11日以上あれば、その期間は被保険者期間が1ヶ月あったと判断されます。
実際に数字を使って見てみましょう。
入社日が1月1日で退社日が8月20日のAさん
7月21日ー8月20日
【賃金支払基礎日数:22日】
6月21日ー7月20日
【賃金支払基礎日数:22日】
5月21日ー6月20日
【賃金支払基礎日数:11日】
4月21日ー5月20日
【賃金支払基礎日数:22日】
3月21日ー4月20日
【賃金支払基礎日数:20日】
2月21日ー3月20日
【賃金支払基礎日数:10日】
1月21日ー2月20日
【賃金支払基礎日数:22日】
1月1日ー1月20日
【賃金支払基礎日数:12日】
上記のAさんの場合、賃金支払基礎日数が11日を超えている月が7ヶ月あります。
しかし、この7ヶ月のうち1月1日から1月20日の期間だけ1ヶ月の期間ではく20日間しかありません。
雇用保険のルールで1ヶ月ごとに区切った場合に、上記のように1ヶ月に満たない期間があった場合には、特別のルールが適用されます。
それは賃金支払基礎日数が11日以上あった場合であっても被保険者期間は1ヶ月とせずに0.5ヶ月とするルールがあります。
ですので、1月1日から1月20日の期間は0.5ヶ月とされます。
そうするとAさんの被保険者期間の合計は6.5ヶ月になります。
先ほど説明した3つの理由の離職者によって被保険者期間の要件が2種類に分かれたと思います。
自己都合だと被保険者期間が12ヶ月必要だし、会社都合や特定理由離職者の場合だと6ヶ月の被保険者期間が必要になると説明させていただきました。
つまりAさんの場合は被保険者期間が6.5ヶ月なので自己都合の場合だと失業手当を受給できなくなくなり、会社都合や特定理由離職者で会社を退職した場合には失業手当がもらえるということになります。
こういった違いがありますので被保険者期間の数え方を覚えておきましょう。
【改正】11日未満の月も被保険者期間1ヶ月とカウントされる!
被保険者期間についてもう一つ補足事項があります。
それは最近の改正で11日未満の月も条件を満たせば1ヶ月としてカウントしてくれるようになりました。
それは、次の通りです。
❶失業手当の受給要件である被保険者期間が12ヶ月(会社都合・特定理由離職者の場合は6ヶ月)に満たない人
❷11日未満の月があった場合に、その月の労働時間が80時間以上である場合
この特別のルールは前提として、失業手当をもらうために必要な被保険者期間が足りない人が対象になります。
例えば、会社都合の退職で被保険者期間を数えると5ヶ月しかない場合などです。
そして、各月の支払い期間を見て11日未満の月があった場合、通常であれば1ヶ月としてカウントされませんが、その1ヶ月の期間を見て労働時間が80時間以上あれば1ヶ月としてカウントしてくれるというわけです。

仮に賃金支払基礎日数が10日で労働時間が85時間働いていた場合は、1ヶ月としてみてくれます。
失業手当の日数と受給期間

失業手当をもらうための要件については理解できたと思います。
ではここからは失業手当のもらえる日数や受給期間について解説していきたいと思います。
失業手当のもらえる日数
失業手当のもらえる日数について説明します。
もらえる日数は離職者の区分によって分かれます。
その区分は以下の通りです。
❶一般の受給資格者
❷特定受給資格者
❸就職困難者
❶の一般の受給資格者とは先ほどの自己都合で辞めた場合などの失業者がこちらに該当します。
そして一般の受給資格者のもらえる日数は以下の通りです。
表を見ていただくと新しい言葉で算定基礎期間という言葉が登場していると思います。
これは、雇用保険に加入している期間のことをいいます。

さっきの被保険者期間とどう違うの?

被保険者期間は、雇用保険に加入している期間のうち賃金支払基礎日数が11日以上の月だけど、算定基礎期間は11日以下の月も全て含んだ期間のことを言うんだ。
つまり労働日数に関係なく、雇用保険に加入してから雇用保険を喪失するまでの期間のことだよ。
順番として、失業手当をもらえるかどうかの判断は、まず被保険者期間で判断し、その後にもらえる権利を得た人は算定基礎期間を見てその期間に応じて失業手当をもらえる日数が決まるということです。
表の見方は、算定基礎期間が10年未満は90日の失業手当をもらうことができ、10年以上20年未満の人達は120日、20年以上は150日の失業手当をもらえる権利があるということになります。
次に❷の特定受給資格者について説明します。
特定受給資格者は、会社都合で辞めた人や特定理由離職者が該当します。
特定理由離職者のうち労働契約の更新の希望をしたにも関わらず、更新されなかった人に関しては令和7年3月31日までの暫定措置で特定受給資格者になります。この期間を過ぎると一般の受給資格者になる可能性があります。
特定受給資格者がもらえる日数は以下の通りです。
一般の受給資格者の場合は全年齢が同じ日数であったのに対し、特定受給資格者は年齢や算定基礎期間に応じてもらえる日数が細分化されています。
また算定基礎期間が短いにも関わらず、一般の受給資格者に比べて日数が多いのが特徴です。
理由として、一般の受給資格者の多くは自己都合のため自分の意思で会社を辞めており、あらかじめ次に向けて転職などを考えていらっしゃる方が多いです。
一方で会社都合や特定理由離職者の場合は、突発的な出来事で辞めるケースが多く、自己都合に比べて失業期間が長くなる可能性があります。そういった点が考慮されているのだと思います。
そして年齢によっても細分化されています。
例えば、50歳で15年の算定基礎期間があれば上記の表にあてはめると270日の失業手当をもらえる権利があるということになります。
最後に就職困難者のもらえる日数について説明します。
就職困難者とは、身体的、知的、精神的に障害がある方などが該当します。
就職困難者のもらえる日数は以下のとおりです。
就職困難者に場合は算定基礎期間は1年未満か1年以上で分かれ、年齢も45歳未満か45歳以上65歳未満の2つのパターンしかありません。
そして、就職が困難であると認められるため、期間に対してもらえる日数も多いのが特徴です。

会社都合でやめた人や特定理由離職者は特定受給資格者になるんだよね。
その人が就職困難者だった場合はどうなるの?

その場合は、特定受給資格者ではなく就業困難者になり、就職困難者の日数が適用されるよ。
受給期間は原則1年
もらえる日数について理解できたと思います。
実際に失業手当をもらう際は4週間ごとに、ハローワークで失業しているかの認定を行って、失業していると認められた場合にその日までの失業日に対して失業手当がもらえます。
先ほどのもらえる日数の権利があっても失業の認定がないともらうことができません。
失業手当はあくまでも失業している日に対して支給するものなので、たとえもらえる日数が仮に150日あったとしても一度にもらえるわけではありません。
つまり、時間をかけて4週間ごとに確認して支給するものなのでその点は覚えておきましょう。
そして、失業手当は受給期間、いわゆるもらえる期間も決まっています。
もらえる期間は原則、離職した日の翌日から数えて1年になっています。

2023年1月20日に離職した日場合、その翌日の1月21日から翌年2024年の1月20日までの期間になります。
言い換えると、もらえる権利があったとしてもハローワークに行かず失業の認定を受けずにほったらかしていた場合は1年でもらえる権利が消滅するということです。

それは大変だね。何もせずに勝手にお金が入ってくるんじゃないんだね。
但し、この1年間ですが一定の条件下であれば受給期間が延長されます。
それは以下のような場合です。
・もらえる日数が330日ある人
30日加算
・もらえる日数が360日ある人
60日加算
・求職の申込をしない60歳以上の定年退職者等
最大1年加算
・妊娠・出産・育児・病気・親族の介護などで継続して30日以上職業に就けない人
最大3年加算
上記の人達は1年間の受給期間に上記の期間が加算されます。
特定受給資格者や就職困難者で失業手当のもらえる日数が330日又は360日ある人は30日か60日が加算され、60歳以上であり定年退職後しばらく求職活動をしないと考えている人はハローワークに申し出ることで最大1年受給期間を延長することができます。
また出産などで就労不能状態が続く場合で引き続き30日以上その状態が続く場合はハローワークに申し出ることで最大3年加算されるので、4年間まで受給期間を延ばすことができます。
2ヶ月又は3ヶ月の給付制限がかかる人がいる
受給期間についてもうひとつ注意していただきことがあり、それは正当な理由のない自己都合退職や懲戒解雇の場合は失業手当がもらえる期間に制限がかけられます。

もらいたくてももらえないってこと?
実は自己都合や自分の責任により懲戒解雇になった人達には給付制限というものをかけられます。
通常であれば、ハローワークに求職の申込みを行い7日間の待機期間(失業の状態)を得ると失業手当をもらえるようになるのですが、自己都合や懲戒解雇の場合はその待機期間のあとにさらに2ヶ月間又は3ヶ月間の制限がかけられます。
つまり、7日間プラス2ヶ月間ないし3ヶ月間の失業状態を経過しないと失業手当がもらえないということになります。
もともとは自己都合や懲戒解雇のどちらも3ヶ月の給付制限でしたが、令和2年10月1日からの改正で自己都合の場合で改正日以降の5年間のうち2回までは2ヶ月の給付制限でいいことになりました。

条件は緩和されたけど、2ヶ月の間、もらえないのはつらいですね。
また懲戒解雇の場合は短縮されず、3ヶ月の給付制限になります。
少し、ややこしいですがこういった制限があることも覚えておいて下さい。
【失業手当の計算方法】最大限もらうためには

最後に実際に失業手当がいくらもらえるか、どうやって計算されているかを見ていきましょう。
失業手当は退職理由や雇用保険の加入期間によってもらえる日数が違うことはわかったと思います。
そして決定した給付日数を上限として失業している日に対して支払われます。
つまり1日あたりの金額を出し、それを日数分支給していきます。
この1日あたりの金額の出し方を今から解説していきますが、以下のような流れで計算していきます。
step
1賃金日額の計算
step
2賃金日額に所定の給付率を掛け算
ステップ1 賃金日額を計算する
ステップ1としてまず、賃金日額というものを計算していきます。
賃金日額とは以下の計算式で求められます。
賃金日額の計算
賃金日額=最後の6ヶ月間の賃金の総額÷180
最後の6ヶ月の賃金総額とは、被保険者期間の賃金を見ます。しかし、離職前からさかのぼって直近の6ヶ月分を賃金の総額を求めます。
被保険者期間の説明で使った日数の例で賃金の額が月給制で1日あたり1万円の場合、以下のように計算されます。
入社日が1月1日で退社日が8月20日のAさん
7月21日ー8月20日
【賃金支払基礎日数22日・賃金22万】
6月21日ー7月20日
【賃金支払基礎日数22日・賃金22万 】
5月21日ー6月20日
【賃金支払基礎日数11日・賃金11万 】
4月21日ー5月20日
【賃金支払基礎日数22日・賃金22万 】
3月21日ー4月20日
【賃金支払基礎日数20日・賃金20万 】
2月21日ー3月20日
【賃金支払基礎日数10日・賃金10万 】
1月21日ー2月20日
【賃金支払基礎日数22日・賃金22万 】
1月1日ー1月20日
【賃金支払基礎日数12日・賃金12万 】
最後の6ヶ月賃金総額=119万円
【22万(7/21-8/20)+22万(6/21-7/20)+11万(5/21-6/20)+22万(4/21-5/20)+20万(3/21-4/20)+22万(1/21-2/20)】
賃金日額=119万円÷180=6,611円
上記の場合、賃金支払基礎日数が11日未満の月は除いて直近の6ヶ月の給料を合計すると119万円になりそれを180で割ります。
すると賃金日額が算出され、この場合だと6,611円が賃金日額になります。

臨時的に支払われた賃金や賞与(3ヶ月を超える期間ごとに支払われるもの)などは賃金総額には含めません。
賃金日額の上限額と下限額
雇用保険には賃金日額に上限額と下限額が定められており、以下の通りです。
上限額
13,670円(30歳未満)
15,190円(30歳以上45歳未満)
16,710円(45歳以上60歳未満)
15,950円(60歳以上65歳未満)
下限額
2,657円(全年齢)
※賃金日額の上限及び下限は毎月勤労統計の平均給与額の増減により変更されます。上記の金額は令和4年8月1日からの金額です。
計算した賃金日額が上限を超えている場合は、定められいる上限の金額が賃金日額になります。
仮に45歳で計算した賃金日額が17,000円あった場合、上記を見ると上限額が16,710円なので、上限を超えているため16,710円が賃金日額になるということです。
逆に計算した賃金日額が2,000円だった場合、下限の額に満たないので下限額の2,657円が賃金日額になります。

上限額は年齢ごとに分かれているけど下限額は全年齢共通なんだね。
ステップ2 賃金日額に給付率をかける
そして次のステップが算出した賃金日額に決められた給付率を掛け算します。
賃金日額に給付率を掛けたものが失業手当の1日あたりの金額になります。

この金額のことを基本手当日額といいます。
給付率は賃金日額や年齢に応じて45%~60%で定められており、以下の通りです。
賃金日額が5,030円を超えると給付率が変動するのするので少し難しいですが、例えば25歳で賃金日額が4,500円だった場合は給付率は80%なので3,600円が失業手当の1日あたりの金額になります。
仮に給付日数が150日あった場合は、3,600円に150日を掛けるので最大で54万円の失業手当をもらえる権利があるということです。
50歳で賃金日額が15,000円の場合は給付率が50%なので7,500円が失業手当の1日あたり金額になります。
同じように給付日数が150日あった場合は最大で112万5千円(7,500×150日)の失業手当をもらえる権利があるということです。
そして上記の表を見てもらうと、分かるように失業手当の1日あたりの金額(基本手当日額)も上限額と下限額が定められています。
これは賃金日額に上限額や下限額があるため、失業手当の1日あたりの金額はそれに対して給付率をかけるため必然的に上限額、下限額ができてしまうということです。
会社を辞める直前にいっぱい残業をする
ここまでの説明で失業手当の1日あたりの計算方法についてご理解いただけたと思います。
ではこの失業手当を最大限、多くもらうにはどうすればよいのかと言う疑問が生まれることでしょう。
先に結論を申し上げますとそれは会社を辞める直前にいっぱい残業をすることです。

え!?なんで?
理由は、失業手当の金額を算出する過程にあります。
失業手当の1日あたりの金額は、賃金日額に給付率を掛けたものになりますので、賃金日額が高くなれば当然、それに合わせて失業手当の金額も増えると言うことです。
そして賃金日額は離職前直近6ヶ月の賃金総額を180で割ったものになるわけですから、賃金総額を増やすことをすればいいということになります。
つまり辞める直前に残業が多くなると賃金日額が上がると言うわけです。
残業の計算は通常の賃金に割増率をかけて計算するので、通常よりも多く計算されるので賃金総額が増えます。
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残業する上での5つの注意点
残業する上で注意しなければならないこともあります。
それは以下の通りです。
❶残業を自分でコントロールできない
❷残業することで体に負担をかけることになる
❸社会保険料が上がるリスクがある
❹有休休暇を消化しきれないリスクがある
❺賃金日額の上限を超えてしまう
以上の5つが考えられます。
残業は多くの方が自分でしようと思ってもなかなかできないと思います。
また故意に残業をしようとすると会社から指摘を受けるかもしれません。

経営者の立場からすると業務上、必要な残業は仕方がないと思いますが、業務がなく故意に残業している場合は、指摘してしまうと思います。
しかし、会社の業種や仕事内容によって1年間で繁忙期がある人も多いと思います。
ですので、その繁忙期が終わってから退職すると賃金日額が増えるので、退職の時期を繁忙期に合わせて前もって計画することで失業手当の金額を増やすことができます。
逆に会社が忙しくない時期に退職してしまうと給料が減り、賃金日額が減る可能性もあるので注意しておきましょう。
注意しておきたいこと2つ目は、残業をすることで体を壊してしまうリスクがあるということです。
失業手当を増やすために残業をたくさんして、それで体を壊してしまうと本末転倒になります。
注意しておきたいこと3つ目は賃金の上昇で社会保険料が上がり手取り額が減少してしまう可能性があることです。
社会保険料の計算は毎年4月から6月までの3ヶ月の給料平均を計算し、10月の給料から新しい社会保険料が給料から天引きされるのですが、例えば失業手当のために残業をしたけれど、その分社会保険料が増えて手取りが減ってしまうというケースも考えられます。
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しかし、新しい社会保険料が適用される前(9月まで)に退職した場合は関係ありませんですし、仮に10月以降だとしても社会保険料の上昇額より失業手当の上昇額の方が大きければそこまで気にすることはありません。
そして、4月から6月以外の給料で、給料が上がったことで社会保険料が変更される随時改定と言う制度があるのですが、それも残業による賃金の上昇は対象外になっていますのでこの場合は社会保険料の変更は基本的にありません。
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しかし、社会保険料について意識しておくことは大事だと思います。

会社を退職すると、国民健康保険に加入するか会社の健康保険に引き続き加入できる任意継続の制度を使うかの選択になるのですが、任意継続を使う場合は退職時の標準報酬月額(社会保険料の計算に元になる給料)と30万円の低い方をもとに社会保険料が決まります。
ですので、退職時の標準報酬月額が高くなると退職後の社会保険料に影響が出る人も出てくるので任意継続を選択する人は意識しておきましょう。
4つ目の注意点は、直前の給料を多くするために有給休暇の残数があるにもかかわらず、消化しきれないことに対するリスクです。
あらかじめ退職することを決めている場合には、計画的に有給休暇を消費していくことをおすすめします。
そうしないと、辞める直前になってから有給の残数に気付き、引き継ぎ業務等に追われ、有給が残ったまま退職してしまう可能性もあるので注意しましょう。

有給の残日数は事前に確認しておきましょう。
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5つ目の注意点は残業などで賃金総額が増えたにもかかわらず、賃金日額が上限を超えてしまうことです。
先ほど賃金日額の上限について説明しましたが、その金額を超えてしまっては意味がありません。
30歳以上の賃金日額は約15,000円ですが、仮に6ヶ月の賃金総額が300万円の場合は計算すると16,666円になり上限を超えてしまいます。
このケースは給料がかなり多い人だけの注意点になりますが覚えておきましょう。

6ヶ月で300万円もあったらすごいね。
まとめ:失業手当の知識は必須
それではまとめに入りたいと思います。
失業手当のまとめ
・自己都合の離職者が失業手当を受給するには離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上必要
・倒産・解雇等離職者及び特定理由離職者が失業手当を受給するには離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上必要
・被保険者期間とは雇用保険加入期間のうち離職日からさかのぼって区切った1ヶ月において賃金支払基礎日数が11日以上の月の合計
・失業手当の受給日数は年齢や算定基礎期間で変わり、一般の受給資格者が90日~120日、特定受給資格者が90日~330日、就職困難者が150日~360日
・失業手当の受給期間は原則1年だが、延長制度もある
・ 自己都合や懲戒解雇 の場合、給付制限として待期期間(7日)後2ヶ月又は3ヶ月の制限を受ける
・失業手当の金額は賃金日額に給付率(45%~80%)をかけて求められる
・賃金日額は離職前6ヶ月の賃金総額を180で割ることで求められるのでその期間中に残業をすると失業手当の金額が増える
・残業することでデメリットもあるのでその点に注意する
今回の記事では、失業手当について解説しました。
失業手当は、会社で働いている以上は多くの方がいずれは受給することになると思います。
だからこそ、失業手当の最低限の知識が必要であると僕は思います。
ある程度、計算方法や仕組みを理解することで失業後の生活や就職活動においても計画がつきやすいと思います。
内容を知っておくだけで、ある程度の金額の調整もできるかもしれません。
長くなりましたが少しでもこの記事が参考になれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。