こんにちわぎょうざです。
前回の記事では確定申告の基礎について書きましたが、今回は所得の種類について分かりやすく解説していきたいと思います。
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確定申告の基礎知識を学ぼう!申告のメリットと注意点を分かりやすく解説!
給与所得についてはなじみがあるとおもいますが、他の所得についても今日は学んでいきたいと思います。
それではいきましょー

そんなに種類があるの?

所得は、実は10種類もあるんだよ。ニクマンちゃんは何種類分かるかな?

僕をなめないでもらえるかな。
肉まん!中華まん!ビザまん!カレーまん!あんまん!角煮まん!チーズカレーまん!五目肉まん!エビチリまん!フカヒレまん!
どうだーまいったか!

肉まんから離れようか。肉まんの種類ではなく、所得の種類ね。

・・・・。
本記事を読むとわかること
収入と所得の違いが分かる
各所得の種類を理解できる
各所得の計算方法が理解できる
確定申告の理解度が深まる
本記事の信頼性

ぎょうざ (@gyouza_maney)
この記事を書いている僕は、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーの資格を保有しており、現在は複数の会社を経営しております。
収入と所得の違い

所得は必要経費を引いたあとの金額
みなさんは収入と所得の違いは分かりますか?
よくテレビとかで、「社長に年収はいくらですか?」や「会社の売上は1年間でどれくらいですか?」など、聞いているシーンがあると思います。
これは収入と所得のどっちになるかというと収入になります。
では、所得はどういったものなのかと言いますと、先に結論を言うと
収入から必要経費を引いたものを所得と言います。
今回は所得についての種類を解説しますので、年収や売上ではないと今の時点では覚えておいて下さい。
この必要経費ですが、これから説明する所得によってさまざまな取り扱いがあります。
そもそも所得税とは、簡単にいうと利益に対して税金が発生するのが通常です。
この利益というのを分かりやすく例で表してみます
たとえば八百屋さんを経営していて200円の野菜を年間で1万本売れたとします。
そうすると売上は200万円になりますね。
仮にこの売上に対して税率をかけて所得税を払ってしまいますと何かおかしいですよね?
そうです。野菜を調達する(仕入れ)のにもお金がかかっており、売上すべてのお金が自分自身に入るわけではありません。
ですので、税率をかける数字は売上から仕入れ等の必要経費を引いたあとの金額になります。
仮に仕入額が1個100円なら利益は100万円(売上200万-仕入100万)になります。
ですので、100万円の利益に対して税金がかかり、この利益がこれから説明する所得になるとイメージしておいて下さい。

所得は収入ではなく利益だと理解できたよ
各所得の種類について
❶給与所得:会社からの給料による所得

それでは、所得の種類について一つずつ解説していきます。
まず1つ目がみなさんの中でも馴染みのある給与所得について説明します。
これは会社員やアルバイトなどが会社から給与や賞与としてもらう所得のこといいます。
会社からもらう額面の金額は給与収入といい、給与収入をもらっている人は給与所得控除という一定の必要経費が認められています。

さっきは八百屋さんだから野菜を仕入れる必要があるから経費として認められるのは分かるんだけど、なぜ給与も必要経費があるの?

給与収入をもらっている人も、もらった金額をそのまま使うことができないよね。生活する上で食費や住居費などは必ず支出するよね。ただ、個人によってその金額はバラバラだから給与収入の額によって給与所得控除という経費を国が定めているんだよ。
給与所得控除は給与収入によって、段階的に決められています。具体的には以下の通りになります。
例えば、給与収入が300万円の場合は上の表にあてはめると給与所得控除は98万円(300万円×30%+8万円)になります。
給与所得を求める計算式は以下のようになります。
給与所得の計算
給与所得=給与収入-給与所得控除額
ですので、給与収入300万円の場合には給与所得は202万円(300万円-98万円)になります。
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❷退職所得:会社からの退職金による所得

2つ目は退職所得です。言葉の通り、会社からもらう退職金等があてはまります。
退職所得の計算式は以下のとおりです。
退職所得の計算
退職所得=(退職収入-退職所得控除額)×1/2
になります。退職所得控除額は以下のとおりになります。
では具体的に退職所得を計算してしましょう。
仮に会社に25年と1ヵ月勤務して退職金を2000万円もらいました。
その場合、退職所得控除が1220万円(800万円+70万円×(26年-20年))になります。

勤続年数で1年未満の端数がでた場合は切り上げることができるので、25年1ヵ月の場合は26年になります。
退職所得は計算式にあてはめると、390万円【(2000万-1220万)×1/2】になります。
❸利子所得:債権の利子等による所得

3つ目は利子所得です。預貯金や国債や地方債などの債権の利子などによる所得のことです。
利子所得は以下のとおりです。
利子所得の計算
利子所得=利子による収入
利子所得は必要経費はありません。

利子所得として、他に公社債投資信託の分配金があります。公社債投資信託とは、債券などで運用する投信信託(ファンド)のことです。投資信託とは、簡単にいうと投資家からお金を集めて投資のプロがそのお金を運用し、運用成果を投資額に応じて分配する金融商品です。
❹配当所得:配当金による所得

4つめ配当所得です。株式からの配当金などがこれに該当します。
配当所得の計算は以下のとおりです。
配当所得の計算
配当所得=配当収入-株式等を取得するための負債利子
株式等を取得するための負債利子とは、例えば1000万の株式があり配当金が50万円支払われるとします。
この株式を購入するために1000万円を銀行から借りて、借りたお金には利息を銀行に支払わないといけません。
仮に残高に対して2%の支払利息を払わないといけない場合、20万円〈借入金1000万×2%)になります。
この20万円が株式等を取得するための負債利子になりますので、この例だと配当所得は30万円(配当収入50万−負債利子20万)になります。

利子所得で説明した公社債投信信託以外の投資信託の分配金は配当所得になります。株式投資信託が該当します。
❺不動産所得:不動産からの家賃等の所得

5つ目は不動産所得になります。不動産を誰かに貸して、それに対しての家賃収入などが該当します。
不動産所得の計算は以下のとおりです。
不動産所得の計算
不動産所得=不動産収入-必要経費-青色申告特別控除
まず不動産所得で認められる必要経費ですが、代表的なものとして不動産にかかる税、保険料、減価償却費、修繕費、銀行から借りたお金に対する利子などがあります。

減価償却費(げんかしょうきゃくひ)ってなぁに?

たとえば、5000万円の不動産用の建物を購入した時に5000万をその年の必要経費にしてしまうとおかしいことが起こるんだ。例えばこの不動産で家賃収入が年間500万円の収入をもらえたとしても5000万円が必要経費になるとどうなる?

4500万円の赤字になるね(500万−5000万)

そう!それだとおかしいよね。そもそも建物などは長期間に渡って、住んだり、使用したりするものだから、減価償却費というのはイメージとしてその建物が50年間使用できる場合には、1年あたりの必要経費を求めて50年に渡って、毎年一定の経費として算出していくものだと思ってくれたらいいよ。

ということは、50年だと100万円(5000万÷50年)ぐらいが必要経費になるということだね。

そうゆうことだね。減価償却費に関しては、建物の種類や構造によってさまざまなルールがあるのでまた別の機会で説明するよ。
青色申告特別控除は、確定申告の記事で少し説明しましたが、帳簿(複式簿記)を作り、税務署に申請書を提出した場合に最大65万円の特別の控除を受けられる制度です。
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また不動産貸付業の規模が事業に該当する規模(原則として、貸家であれば5棟、アパート・マンションであれば10室、駐車場であれば50台程度)に満たないと、最大65万円の青色申告特別控除の適用を受けることはできません。

規模が満たない場合の不動産貸付業の場合は10万円の控除になります。
仮に不動産の家賃収入が500万円で、固定資産税が30万、損害保険料15万、減価償却費100万、修繕費50万、銀行への利子20万円、青色申告特別控除65万円だとします。
不動所得は計算式にあてはめると、220万円【(500万-215万(必要経費計)-65万)】になります。
❻事業所得:個人事業主による所得

6つ目は事業所得です。個人事業主にかかわることであり、農業、漁業、卸売業、小売業、サービス業、その他の事業から生じる所得のことです。
事業所得の計算は以下のとおりです。
事業所得の計算
事業所得=事業収入-必要経費-青色申告特別控除
必要経費として、売上原価、給与、減価償却費、水道光熱費、事務所家賃などが該当します。
仮に個人で肉まん屋を経営し、売上が1000万、肉まんの材料代300万円、自分の給与が300万、店の家賃が100万、配達用の車の減価償却費30万、水道光熱費20万円、青色申告特別控除65万円だとします。

建物だけでなく車両も減価償却費の対象になるよ。
事業所得は計算式にあてはめると、185万円【(1000万-750万(必要経費計)-65万)】になります。
❼山林所得:山林を売却した場合等の所得

7つ目は山林所得です。山林を伐採して誰かに売却したり、立木のまま売却することによって生じる所得のことです。

山林を取得してから5年以内に伐採したり、売却した場合は、山林所得ではなくなり、事業所得かこのあとに説明する雑所得になるので注意が必要です
山林所得の計算は以下のとおりです。
山林所得の計算
山林所得=山林収入-必要経費-特別控除額-青色申告特別控除
必要経費として、植林費、山林の育成費、維持管理費、伐採費などが該当します。
また山林所得には、最大50万円の特別控除があります。

最大50万円というのは、例えば山林収入が50万円で必要経費が40万円の場合、差し引きは10万円になりますが、この場合だと特別控除は10万円になるということです。
また青色申告特別控除は、青色申告した場合に最大65万円ではなく最大10万円の控除になるので注意が必要です。

ここまで不動産所得、事業所得、山林所得、で青色申告特別控除が出てきましたが、仮に3つの所得がある場合には、それぞれに青色申告特別控除が使えるわけではありません。
優先順位として、不動産所得➜事業所得➜山林所得になります。優先された所得で控除しきれなかった場合に次の優先順位の所得で控除することになります。
❽譲渡所得:株式等を売却した場合の所得

8つ目は譲渡所得です。土地、建物、株式、公社債、公社債投資信託、ゴルフ会員権、書画、骨董品などの資産を売却したことによって生じる所得のことです。
譲渡所得は少し複雑ですが、頑張ってついて来てください。

ややこしいのは嫌いなのね。
まず、所得税には計算方法が総合課税と分離課税というものがあります。
総合課税とはいくつかの所得と合計して所得計算を行い、税金を算出することです。
たとえば、給与所得が50万で事業所得が50万の場合には、合計で所得が100万となり、この100万の所得で税金を計算することです。
一方分離課税は、他の所得と合算せず、切り離して税金を算出することになります。
ここまで説明した退職所得や山林所得は分離課税になり、たとえば、退職所得が60万円、山林所得30万円の場合には、合算して90万円で計算するのではなく、各所得ごとに決められた税率をかけて税金を計算します。
そして譲渡所得には、売却した資産の種類や所有期間によって総合課税と分離課税に分かれるのです。
まず総合課税の譲渡所得として、ゴルフ会員権や書画、骨董品の売却がこれにあたります。
そしてこの譲渡資産の所有期間が5年を超えるかどうかで総合短期譲渡所得と総合長期譲渡所得に分かれます。
総合短期譲渡所得と総合長期譲渡所得は以下のとおりです。
総合短期と総合長期の計算
・所有期間が5年以内
総合短期譲渡所得=譲渡収入-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
・所有期間が5年超
総合長期譲渡所得=譲渡収入-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
取得費は資産を購入した時の代金と購入時の仲介手数料などがあげられます。また、譲渡費用は売却する時にかかる印紙代や仲介手数料が該当します。
特別控除額は最大50万円になり、例えば短期譲渡所得と長期譲渡所得があった場合には、合計して最大50万円になります。
そして、総合長期譲渡所得は、計算した額を1/2にして他の所得に合算することができます。
次に分離課税の譲渡所得について説明します。
分離課税の譲渡所得は土地、建物の譲渡所得と株式等に係る譲渡所得の2つに分かれます。
また土地、建物の譲渡は所有期間によって分離短期譲渡所得と分離長期譲渡所得に分かれ、株式等の譲渡は所有期間による区分はありません。
分離短期譲渡所得と分離長期譲渡所得、株式等に係る譲渡所得は以下のとおりです。
分離短期と分離長期の計算
・譲渡した年の1月1日時点の所有期間が5年以内
分離短期譲渡所得=譲渡収入-(取得費+譲渡費用)
・譲渡した年の1月1日時点の所有期間が5年超
分離長期譲渡所得=譲渡収入-(取得費+譲渡費用)
株式等の譲渡所得の計算
株式等に係る譲渡所得=譲渡収入-(取得費+譲渡費用+負債の利子)

所有期間の判定ですが、分離課税の譲渡所得では譲渡した年の1月1日を基準に判定することに対し、総合課税の譲渡所得では取得した日を基準に所有期間を判定しますので注意が必要です。
分離短期譲渡所得と分離長期譲渡所得と計算方法は同じですが、税金を計算する際に分離課税なので、各所得に対して税率をかけるのですが、分離短期譲渡所得は約39%(住民税を含む)になり、分離長期譲渡所得は約20%(住民税を含む)になります。

短期と長期で約20%も違うとは。。。
株式等に係る譲渡所得は所有期間による違いはありませんが、借入金によって購入した株式等を売却した場合には借入金の利子を必要経費に含めることができます。
❾一時所得:保険金等の一時的な所得

9つ目は一時所得です。生命保険の満期保険金や損害保険の満期返戻金、懸賞やクイズの賞金、競馬や競輪などの公営ギャンブルの払戻金など、一時的な所得が該当します。
一時所得の計算は以下のとおりです。
一時所得の計算
一時所得=一時的な収入-支出金額-特別控除額
支出金額は、例えば保険の満期保険金を受け取った場合に、その保険の支払保険料などが該当します。
特別控除額は最大で50万円になります。
仮に満期保険金が500万円で今まで払った保険料が300万円の場合は一時所得は150万円(500万-300万-50万)になります。
そして一時所得は総合課税の扱いになり、計算した額を1/2にして他の所得に合算することができます。

一時所得は、計算後に1/2になるので上記の例だと実質75万円(150万÷2)になるということだよ。
また豆知識として、宝くじは一時所得になるけれど、税金は非課税になるんだよ。
理由として、宝くじを買った時点で40%程度が、公共事業や高齢化少子化対策事業などに使われることになっているからなんだよ。
❿雑所得:年金等の所得

最後の10つ目は雑所得です。これは、今まで説明してきた9種類のどの所得にもあてはまらない所得のことをいいます。
具体的には、国民年金や厚生年金等の公的年金、講演料や原稿料などが該当します。
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雑所得の計算は以下のとおりです。
雑所得の計算
雑所得=公的年金等の収入-公的年金等控除額+公的年金等以外の収入-必要経費
公的年金等控除額は給与所得控除と同じように収入に対して段階的に決められています。
公的年金控除額は以下のとおりです。
公的年金控除額の表はあと2つあるのですが、年金以外の所得が年間1,000万円を超えている場合にしか使いませんので今回は割愛します。
仮に65歳以上で年金を350万円をもらい講演会で講演を行い講演料として5万円もらい、講演するために交通費や資料作りで1万円経費がかかった場合の雑所得を計算すると
雑所得は239万円(年金350万円-公的年金等控除額115万円+講演料5万円-必要経費1万円)になります。
まとめ:10種類の所得について理解しよう
いかがでしたでしょうか?
所得の種類が10種類もあり、なかなか覚えるのが大変だったと思います。
しかし、各所得の計算方法についてある程度理解することができたら実務でも役にたち、節税対策にもつながると思います。
また確定申告をする上でも役に立つと思います。
最後に各所得について簡単にまとめて終わりたいと思います。
各所得のまとめ
①給与所得(会社から受けとる給料や賞与)
②退職所得(会社から受けとる退職金)
③利子所得(預貯金や公社債の利子)
④配当所得(株主等が受けとる配当)
⑤不動産所得(土地・建物等の貸し付けによる所得)
⑥事業所得(一般的な事業からの所得)
⑦山林所得(山林の伐採、売却した場合の所得)
⑧譲渡所得(土地・建物・株式等の譲渡による所得)
⑨一時所得(一時的な所得)
⑩雑所得(①~⑨に該当しない所得)
今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。