こんにちわ!GYOUZAです。
みなさんはお仕事を探す時に何を重視しますか?
お給料の金額、仕事のやりがい、労働時間、休日の数、福利厚生が充実しているなど、さまざまな理由があると思います。
特に多いのがお給料の金額なのではないでしょうか?
「仕事はお金ではない!仕事はおもしろいかどうかだ!」
という声も聞こえてきそうですが、少なからずお給料に対して目がいってしまうのではないでしょうか。
今回はお給料を支給する上での最低限のルールである最低賃金について解説させていただきます。
働く上で大事なルールでありますので、覚えておいて損はないと思います。
それではいきましょー
お給料が少ないと肉まんを買えないから、やっぱり気にしてしまうのね。
ところでお給料って会社が自由に決めれるのんじゃないの?


最低賃金法という法律があって、最低限支払わなければならない金額があって守っていないと罰則もあるんだよ。
へー。
お給料を払うにも、ちゃんとルールがあるんだね。
肉まんをいっぱい食べるためにも教えてほしいのね。


よし!しっかり勉強して、自分の給与明細を見て賃金がちゃんと支払われているか分かるようになろうね。
この記事を読むと分かること
最低賃金の制度の概要や目的が分かる
3つの賃金形態ごとに、どの場合が違反になるかが分かる
最低賃金で定められている特別なルールについて分かる
最低賃金とは

最低賃金の目的
最低賃金とは名前の通り、最低限支払わなければならない賃金のことをいい、これが最低賃金法という法律で定められています。
まずは、賃金とはどうゆうものなのか考えてみましょう。
賃金、すなわちお給料とは、会社(事業主)が働いてもらっている労働者に対して、労働してくれた対価として支払うものです。
この対価としてもらうお金が少ない場合は、労働者は生活をすることが困難になります。
たとえば、10時間も働いていたのにお給料が1000円だった場合、とてもじゃないですが生活をすることができません。
10時間働いて1000円ってひどすぎだよ

こんな給料で働く人なんていないよと考える人がいるかもしれませんが、例えば弱みを握られ低賃金で働かせられるかもしれません。
しかし、最低賃金法という法律によりこういった問題から守ることができます。
また多くの会社があり、賃金を自由にしてしまうと、不当に賃金を減らさせれたり、賃金を減らして、浮いたお金で販売している商品の値段を極端に下げるなどして、公正な会社間の競争が生まれなくなる可能性もあります。
最低限の賃金を確保することにより、労働者の生活を安定させ、労働環境も改善していく。
そうすると生産性も向上し、事業も発展していくという流れになります。
実際に最低賃金法では、目的として以下のように書かれています。
最低賃金法第1条
この法律は、賃金の低廉な労働者について、事業若しくは職業の種類又は地域に応じ、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
時間で判断する
では、最低賃金はどのようにして、最低限の賃金を払っているか確認するのでしょうか?
それは時間になります。
最低賃金は毎年、〇〇円という感じで発表されます。
この〇〇円というのは、1時間働くあたりの金額になります。
たとえば、今年の最低賃金が900円と発表された場合には、1時間あたり900円以上支払わないと違反になります。
では、ここからどういった場合が違反になるのかを複数の賃金形態で見ていきましょう。
賃金形態別の違反例

賃金形態として、大きく分けて、以下の3つの形態があてはまると思います。
❶時給
❷日給
❸月給
❶の時給は、1時間あたりの給料のことなので、例えばパートやアルバイトなどの求人で時給〇〇円みたいな感じで求人募集をしているケースを見かけると思います。
この〇〇円が毎年発表されている最低賃金の金額以上でなければいけません。
以下の場合は違反になります。
時給の違反例
今年の最低賃金が900円で時給850円で雇用されている場合
時給850円で雇用<最低賃金900円
時給の場合は単純に最低賃金と比較するだけです。
❷の日給は、1日あたりの給料のことなので、給料以外に労働時間を見なければいけません。
例えば、日給5000円と募集されいてる場合に労働時間を見なければ違反しているかどうかの判断ができません。
ですので、日給から労働時間を割り算して、1時間あたりの賃金に直す必要があります。
以下の場合は違反になります。
日給の違反例
今年の最低賃金が900円で日給5000円で雇用され、労働時間が6時間の場合
1時間あたりの賃金に直す
5000÷6時間=833.333・・・
833.333円<最低賃金900円
❸の月給の場合は、基本的な考え方は日給と同じで、1時間あたりの金額を計算して、それが最低賃金以上なのかを見ていきます。
しかし、月給の場合はお給料は固定でも、月によって30日の月もあれば31日の月もあるので、月々の労働時間は違う場合が多いと思います。
ですので、1ヵ月の平均的な労働時間を用いて計算するようにします。

この労働時間のことを月平均所定労働時間と言います。
計算式は以下のやり方で算出できます。
月平均所定労働時間=(365日-1年の休日日数)×1日の所定労働時間÷12ヶ月
たとえば、1日の所定労働時間が8時間で年間で120日の休日がある場合だと上記の式にあてはめると月平均所定労働時間は
163時間20分【(365日-120日)×8時間÷12ヶ月】になります。

休日に有給日は含まれません。
では違反例を見ていきましょう。
月給の違反例
今年の最低賃金が900円で月給14万円で雇用され、月平均所定労働時間が163時間20分の場合
1時間あたりの金額に直す
14万円÷163時間20分=857.142・・・
857.142円<最低賃金900円
このようなやり方で、最低賃金を違反しているかどうかを判断することができます。
違反していていると、会社に言って直してもらわないとダメだね

違反したらどうなる?
ここまで、違反しているかどうかの判断方法が理解できたと思います。
でも、実際に違反していてそれを会社に言って改善されなければ意味がありません。
ですので、最低賃金法には罰則のルールがちゃんとあります。
違反した場合には50万以下の罰金に処せられます。
ここで注意していただきたいのが、この罰則は違反している労働者1人に対してです。
つまり、雇用している労働者が10名いて、すべての人が違反している場合は10名分の罰金が課されることになります。
この場合だと500万円になります。(50万円×10人分)
すごい金額だね。
事業主さんは絶対に守らないといけないね

また、違反してた場合に労働者が労働基準監督署に申告し、それを知った事業主が、その後労働者に対して解雇や不利益になることをした場合にも罰則があります。
その場合は6月以下の懲役又は30万以下の罰金に処せられますので、会社は必ず最低賃金を守る必要があります。

そもそも違反していると、その会社で働いてくれる人がいなくなると思います。
最低賃金のルールについて

では、ここからもう少し詳しく最低賃金のルールについて勉強していきましょう。
他にも細かいルールがありますので順番に解説していきます。
最低賃金は2種類ある
実は最低賃金には種類があって、それは以下の2つがあります。
最低賃金の種類
❶地域別最低賃金
❷特定最低賃金
❶の地域別最低賃金ですが、これは住んでいる場所の生活費やその地域の会社の賃金の支払い能力を考慮して決められる最低賃金です。
例えば、都心部の地域では物価や生活費が高いけれど、逆に田舎などでは物価や生活費が安い場合などが考えられます。
また会社の規模も地域によってバラバラです。
そのなかで賃金が同一であった場合には、生活レベルが大きく変わってしまう可能性が出てきます。
そこで、「地域ごとで最低賃金を決めたほうが理にかなっている」
ということでできたのが地域別最低賃金です。
この地域別最低賃金は47都道府県ごとに設定されています。
令和2年度の最低賃金をいくつか紹介します。
東京 | 1,013円 |
大阪 | 964円 |
愛知 | 927円 |
福岡 | 842円 |
沖縄 | 792円 |
地域によって、かなりの差があるのが分かりますね。
最高の金額は東京の1,013円で最低の金額は沖縄・秋田・鳥取・島根・高知・佐賀・大分・沖縄の792円になります。
全国加重平均では902円になっています。
各地域の最低賃金はこちら(厚生労働省のHP)で確認できます。
東京だと生活費がかなりかかりそうなイメージがあるのね。

この最低賃金は原則、毎年1回見直され10月から変更されるケースが多いです。
賃金の決定は地域ごとに最低賃金審議会という所があり、そこで審議され決定されます。
続いて、❷の特定最低賃金ですが、これは名前のとおり特定の産業に対して設定される最低賃金のことをいいます。
例えば鉄鋼業や自動車関連業などがあります。
この特定最低賃金ですが、地域別最低賃金額を上回るものでなければならないとされています。
理由は業務上、地域別最低賃金よりも高い賃金を支払うことが必要だと判断された産業に対する最低賃金だからです。
ですので、労働者の中には地域別最低賃金と特定最低賃金を比較する人達が出てきます。
その場合は当然、高い方が適用されます。
最低賃金から除外する賃金
続いて賃金というのもは、いくつか種類があり、なかには最低賃金のルールに入らない賃金があります。
どうゆうこと?


給料明細を見てみると、色んな賃金が入っていると思います。
例えば、残業手当や通勤手当、皆勤手当などさまざまな賃金があり、そのすべてが最低賃金のルールが適用されるわけじゃないってことだよ。
除外される賃金は最低賃金法で以下の通り定められています。
最低賃金から除外される賃金
❶臨時で支払われる賃金及び 1月を超える期間ごとに支払われる賃金
❷所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金
❸所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金
❹深夜労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分
❺当該最低賃金において算入しないことを定める賃金
ちょっと上の言葉だと分かりづらいですよね。
上記の言葉を分かりやすく変換していきます。
❶は結婚手当や賞与などが該当します。
例えば結婚手当は臨時的なお祝いの気持ちを込めた特別な賃金なので、この賃金に最低賃金のルールを適用するとおかしくなります。
賞与も性質として、一定の期間の評価として特別に支給するものなので除外します。
❷は残業手当のことです。
残業手当というものは、基本の給料に対して法律で決められた一定の割合を加えたものを支給するように決められているので最低賃金のルールからは除外します。
同じように、❸は休日手当、❹は深夜手当のことで、この2つも法律で決められた一定の割合を加えたものを支給するように決められている ので除外します。

法律で決めた一定の割合とは、残業手当と深夜手当は25%割り増し、休日手当は35%割り増しといったルールがあります。
最後に❺に関しては、精皆勤手当、通勤手当、家族手当が該当します。
この各賃金も労働時間に対して支払われる賃金ではないので、除外します。
例えば、最低賃金が900円、労働時間が月に100時間で給料の総額で10万円が支給されているが、内訳として基本給9万円と通勤手当が1万円の場合には、通勤手当の1万円を除いた基本給9万円のみを労働時間100時間で割り算して最低賃金を見るということになります。
最低賃金の減額
3つ目のルールとして最低賃金には減額という特別なルールがあり、それについて解説していきます。
これは、通常の人達との労働能力を考慮して、都道府県労働局長の許可を受けた場合には一定の減額率をかけたものを最低賃金として適用することを認める制度のことです。
つまり、条件さえ満たせば最低賃金より低い金額で雇用契約を結ぶんでもいいということです。
この場合は、客観的に労働能力が通常の人達よりも低いか、業務内容が特段簡単である必要性があるなどの条件があります。
この特例の対象は以下の人達が対象になります。
最低賃金の減額の対象者
❶精神又は身体の障害により著しく労働能力が低い者
❷試の使用期間中の者
❸認定職業訓練を受ける者であって一定のもの
❹軽易な業務に従事する者及び断続的労働に従事する者
❶は言葉の通り、身体や精神に障害があり労働能力が低くなっている人が対象になります。
❷は本採用をするかどうかを判断するために、一定の期間を試採用期間として定めて働いてもらう場合があります。
その際にその期間中だけ特別に減額が認められています。
❸の認定職業訓練とは、仕事などの基礎的なスキル向上のために受ける訓練のことで、国(厚生労働省)が認めた訓練を受けている人を雇用した者場合には対象になります。
❹は本当に簡単な業務をする人を対象にするもので、例えば簡単な物の片づけや清掃作業、作業が長く継続せず、手待ち時間が長い業務などがあげられ、他の人達と比べて軽易な業務をしていると認められる場合です。
この減額特例は許可がいるため、労働局への申請が必要です。
そのため、職務の内容や労働能力、経験等を総合的に判断し合理的である必要があり、事業主の独断で容易に最低賃金より低くできるわけではありませんので、覚えておきましょう。
令和3年度の最低賃金は?

コロナ禍でありながら過去最高の28円アップ
ここまでで最低賃金についてある程度理解できたと思います。
先ほど、申し上げたとおり、最低賃金は基本的には、毎年見直しが行われ10月に新しい最低賃金が適用されます。
そして、令和3年度も中央最低賃金審議会の小委員会で話し合いが行われました。
そこで驚くべきことが起きました。
今年度は、全国平均で28円を目安に引き上げることが決まりました。
そして、今の最低賃金の決め方の方式になってからからは過去最高の上げ幅になります。
実際、私はこのコロナ禍で多くの中小企業が悲鳴を上げている中、「なぜ?」という疑問が生まれました。
正直、最低賃金を上げることに対しては反対ではありません。
いつまでも低い賃金では、労働者や今後の日本にとってもよくないと思っているからです。
但し、上げるにしても経済が成長している過程での話です。
今はコロナ禍で、多くの企業が未曾有の危機に直面しております。
そんな状態の中、過去最高の上げ幅というのが納得できません。
通常であれば、据え置きか上げるにしても会社の存続に影響を与えない程度にするべきだと思っています。
日本の会社のほとんどが中小企業であり、現状としてコロナの影響で体力的にも限界な企業が多く存在しています。
確かに、最低賃金を上げることで、労働者にとっては短期的にはメリットがあると思います。
しかし、今はコロナの影響で売上の確保が難しい状況です。
売上が確保できない中、賃金の上昇で人件費が上がり経営を圧迫させてしまう恐れがあります。
つまり、最低賃金の上昇で一旦は給料が増える人が出てくるかもしれませんが、それに伴い会社の体力がなくなり、人を雇えなくなくなったり倒産するの可能性も出てきます。
そうなると賃金は一旦上がったが、解雇されてしまうケースだって出てくるかもしれません。
つまり短期的には良くても長期的に悪くなる状況もありえるということです。
実際に韓国では、最低賃金の無理の引き上げにより、廃業や解雇が続出し雇用の悪化を招いています。

賃金の引き上げは大事ですが、やはり現状の経済のバランスを考えて検討する必要性があると思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
後半は少し私の愚痴になってしまいましたが、最低賃金とは私達の生活や経済にも与える影響が大きいことが分かったと思います。
では、最後にまとめにはいりましょう。
最低賃金のまとめ
目的は労働者の生活の安定、労働改善や公平な事業の発展のためである
時給、日給、月給により最低賃金の見る方法が変わる
違反した場合は1人に対して50万以下の罰金
地域別・特定の2種類の最低賃金がある
最低賃金には除外される賃金や減額される特例がある
令和3年度の最低賃金上昇額は全国平均で28円
今後も最低賃金に関するニュースは度々、登場してくると思いますので今回の内容を思い出していただけると幸いです。
少しでもこの記事が参考になれば嬉しいです。
それではよい1日を!