経済

物価指数の計算を学ぼう!ラスパイレス式とパーシェ式についてわかりやすく解説!

2021年9月5日

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ニクマン

物価が上がったり下がったりってどうやって判断しているの?

こんなお悩みを解決いたします!

本記事を読むとわかること

物価指数について理解できる

加重平均について理解できる

ラスパイレス式とパーシェ式の計算方法が分かる

ラスパイレス式とパーシェ式の長所と短所が分かる

本記事の信頼性

GYOUZA (@gyouza_maney)

この記事を書いている僕は、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーの資格を保有しており、現在は複数の会社を経営しております。

たびたびニュースなどで今年は物価が上がった、物価下がったなどを聞くことがあると思います。

しかし、実際どのように判断しているかがいまいちわからないと思われている方も多いのではないでしょうか?

先に結論を申し上げますと物価指数というものを使って判断をします。

今回の記事ではこの物価指数の計算や使い方について見ていきたいと思います。

物価指数を導き出すにはラスパイレス式パーシェ式という方式があり、計算方法や使い方についてわかりやすく解説していきますので最後までお付き合い下さい。

それではいきましょー

物価指数とは

需要と供給で物価が決まる

物価指数の説明の前に先に物価とはそもそも何なのかを簡単に見ていきましょう。

物価とは、私達が生活している社会の中の商品やサービスの値段を表したものです。

つまり簡単にいうとモノの価格です。

そして、モノの価格は時期によって変動します。

例えば、野菜の価格の場合は季節によって値段が変わります。

ガソリンの値段だって日々変化します。

ではどのようにして価格が変わるのか?

それは需要と供給のバランスです。

需要の面から見ると、買いたい人が多ければ価格は上がります。逆に買いたい人が少なければ価格は下がります。

供給の面から見ると、モノをなかなか作ることができなければ価格が上がります。逆にモノを大量に作ることができれば価格は下がります。

つまり、需要の量と供給の量のバランスで物価は決まるということです。

ニクマン

肉まんを欲しい人がいっぱいいれば、価格が上がるってことだね。

さらに物価についてついて詳しく知りたい方はインフレとデフレの記事をご覧下さい。

参考記事
お金の価値って一体何?インフレとデフレについて正しく理解しよう!

物価指数は2つの時点の価格と数量を加重平均したもの

物価について理解できたと思いますので、物価指数について見ていきましょう。

物価指数は、基準となる年と比べて、対象になる年の物価がどれくらい上昇したなのか、若しくは下落したのかを比率で表したものになります。

そして2つの時点のモノの価格と売れた数量をもとにして、加重平均して数字で表します。

ニクマン

どうゆうこと?

ぎょうざ

例えば、基準となる年を10年前として、対象となる年を2年前とした場合に、10年前の物価及び数量と2年前の物価及び数量を比較して上昇しているのか、下落しているのかを見るってことだよ。
簡単にいうと、10年前の肉まんの価格は100円で100個売れ、2年前は110円で95個売れたので、この2つを見て物価がどうなったかを判断するってことだよ。

ニクマン

なるほどね。もう1つ質問するのね。
加重平均ってなに?

加重平均の計算方法をわかりやすく

加重平均とは、重さを加味した平均のことで、実態に近い平均の出し方です。

どうゆうことかと言うと、例えばあるお店で3種類の肉まんがあり値段が以下の通りだとします。

A肉まん=100円
B肉まん=150円
C肉まん=200円

上記の価格の平均を出すと150円【(100円+150円+200円)÷3】になります。

しかし、このお店の1日の売り上げた個数を見ると、A肉まんは40個売れ、B肉まんは5個売れ、C肉まんも5個売れたとした場合に、このお店の肉まんの平均売上価格はいくらと聞かれた場合に、先ほどの平均と同じように150円と答えてしまうと実態とかけ離れてしまいます。

理由は販売価格のみで平均を取り、売り上げた数量を加味せずに計算しているからです。

ぎょうざ

通常であれば、一番販売個数の多い100円に近い数字にならないといけません。

これを解消するのが、加重平均です。

同じ事例で加重平均すると以下の計算式になります。

加重平均の計算

100円×40個÷50個+150円×5個÷50個+200円×5個÷50個=115円

つまり、加重平均とは、全体の個数の中でどれくらいの割合を占めているかを出して、その割合が大きい部分は考慮して計算する平均の出し方のこと言います。

上記の例では100円のA肉まんが50個のうち40個を占めているので割合は80%になります。

この割合を重みといい、販売価格にこの重みを加味して計算すると100円×80%で80円になります。

B肉まんとC肉まんの重みは50個のうちどちらも販売は5個なので10%になり、重みを加味して計算するとB肉まんは15円、C肉まんは20円になり、全て肉まんの計算を合計すると115円になり、一番売れている100円に近い数字になります。

これが、加重平均と言われる由来になります。

物価指数の計算式は2種類

では加重平均で計算する物価指数なのですが、実は出し方が2種類あります。

種類の名前は

ラスパイレス式
パーシェ式

になります。

どちらも加重平均の計算で算出するのですが、基準となる数字が両者に違いがありますのでそれを見ていきたいと思います。

ラスパイレス式とは

基準時点の数量を基準として物価を計算

ラスパイレス式とは、基準時点(年や月)の数量を基準として物価を計算して、物価が上がったのか若しくは下がったのかを見る計算方法です。

先に計算式を見て見ましょう。

ラスパイレス式の計算方法

ラスパイレス式=比較時点の価格×基準時点の数量÷基準時点の価格×基準時点の数量

ニクマン

うーん。見てもよくわからない。

では、例を出して一つ一つ分解して見ていきましょう。

例えば、2019年の肉まんの価格が100円で100個売れ、2021年は価格は120円で80個売れたとします。

ここで2019年を基準として2021年と比較し、肉まんの物価がどうなったかを知りたいとしましょう。

そこでこのラスパイレス式の計算を使います。

まず比較時点の価格に基準時点の数量をかけるので、2021年の120円が比較時点の価格になります。

そして、2019年の販売数量である100個が基準時点の数量になります。

これを単純に掛け算するので12000という数字になります。

今後は基準時点の価格に基準時点の数量をかけるので、2019年の価格の100円が基準時点の価格になります。

そして、先ほどと同じように2019年の販売数量である100個が基準時点の数量になります。

これを掛け算すると10000という数字になります。

そして、最後に12000という数字と10000という数字を割り算するすると1.2という数字が出ます。

物価が変わらなければ1という計算結果になるのですが、上記の例だと1.2なので物価が20%上がったと判断されるということです。

モノの対象が複数でもやり方は一緒

肉まんの例では肉まんという1つのモノで判断したので分かりやすかったと思うのですが、実際の経済で物価を見る時は多くのモノの価格で判断することになります。

その場合でもやり方は同じです。

例えば、肉まん以外に餃子と映画鑑賞券の物価がどうなったかをみたいとしましょう。

肉まんの価格と数量は先ほどの価格を使い、餃子と映画鑑賞券の価格と数量を加えてみて見ましょう。

  肉まん 餃子 映画鑑賞券
価格 数量 価格 数量 価格 数量
2019(基準年) 100円 100個 200円 90個 1500円 10枚
2020(比較年) 120円 80個 210円 100個 1400円 9枚

まず、比較時点の価格×基準時点の数量を求めます。

この場合は全てを足し算するだけになります。肉まんは先ほど計算したので結果は12000になります。

餃子は210円×90個で18900、映画鑑賞券は1400円×10枚で14000になります。

そしてこれを合計すると44900になります。

続いて、基準時点の価格×基準時点の数量を求めます。

これも同じで、肉まんは先ほどと同じで結果は10000になり、餃子は200円×90個で18000、映画鑑賞券は15000になります。

そしてこれを合計すると43000になります。

最後に44900を43000で割ると1.044(小数点第4を四捨五入)という数字が出るので、全体で見たら4.4%の物価が上がったと判断されます。

ぎょうざ

計算方法はそれほど難しくないと思います。
実際は多くのモノの価格と数量を加味して計算しますが計算方法は同じです。

消費者物価指数や企業物価指数でラスパイレス式が使われている

ここまででラスパイレス式について理解できたと思います。

では、実際の経済でこのラスパイレス式と同じやり方で計算されている指標について解説します。

代表的なものとして以下の2つです。

ラスパイレス式の物価指数

消費者物価指数
企業物価指数

❶の消費者物価指数ですが、これは全国の世帯が購入する各種の財やサービスの価格の物価水準を表す指標です。

つまり僕達を含めた全国の一般消費者の買い物のデータによって導き出された物価の変動をみるものです。

ぎょうざ

消費者物価指数は経済の体温計とも呼ばれかなり重要な経済指標です。

❷の企業物価指数ですが、こちらは企業間で売買される財やサービスの物価水準を表す指標で日本銀行が発表しています。

消費者物価指数は一般消費者を対象にしたデータですが、企業物価指数は会社を対象したデータになりますので、こちらも重要な指標になります。

この代表的な指標は、ラスパイレス式で計算されているということです。

パーシェ式とは

比較時点の数量を基準として物価を計算

ではもう一つの計算方式のパーシェ式を見ていきましょう。

パーシェ式は、比較時点の数量を基準として物価を計算して、物価が上がったのか若しくは下がったのかを見る計算方法です。

ラスパイレス式は基準時点の数量に対してパーシェ式は比較時点の数量になります。

計算式も基準時点が比較時点に変わるので、式で表すと以下のとおりです。

パーシェ式の計算方法

パーシェ式=比較時点の価格×比較時点の数量÷基準時点の価格×比較時点の数量

ラスパイレス式との違いを計算して確かめよう

先ほど使った肉まん、餃子、映画鑑賞券の価格と数量のデータでパーシェ式を使うとどうなるか見ると違いが分かりやすいので同じ数字で計算して見ましょう。

  肉まん 餃子 映画鑑賞券
価格 数量 価格 数量 価格 数量
2019(基準年) 100円 100個 200円 90個 1500円 10枚
2020(比較年) 120円 80個 210円 100個 1400円 9枚

まず、比較時点の価格×比較時点の数量を求めます。

肉まんは比較年の2021年の価格は120円で数量は80個になるので掛け算すると9600になります。

餃子は210円×100個で21000、映画鑑賞券は1400円×9枚で12600になります。

そしてこれを合計すると43200になります。

続いて、基準時点の価格×比較時点の数量を求めます。

肉まんは基準年の2019年の価格は100円で数量は80個になるので掛け算すると8000になります。

餃子は200円×100個で20000、映画鑑賞券は1500円×9枚で13500になります。

そしてこれを合計すると41500になります。

最後に44900を43000で割ると1.041(小数点第4を四捨五入)という数字が出るので、全体で見たら4.1%の物価が上がったと判断されます。

先ほどのラスパイレス式の場合は4.4%だったので、パーシェ式で見ると若干、物価の上昇率が低いということになります。

パーシェ式はGDP デフレーターで使われている

では、このパーシェ式を実際に使っている経済指標はあるのかというと、GDPデフレーターという経済指標がまさにこのパーシェ式を使っております。

GDPデフレーターも重要な指標で、簡単いうと国の経済力を見るGDPを使ってある時点から経済成長がどうなっているかを見る指標になります。

GDPデフレーターについては下記の記事で詳しく書いていますので、気になる方は是非ご覧ください。

GDPデフレーターの記事はこちら
経済を読み解こう!名目GDP・実質GDP・GDPデフレーターについてわかりやすく解説!

ラスパイレス式とパーシェ式の長所と短所

2つの式を使い分ける理由

ここまででラスパイレス式とパーシェ式の計算方法は分かったと思います。

この2つのやり方で物価が上がったか下がったかの判断をすることができます。

先ほど、紹介した実際に使われている経済指標もラスパイレス式とパーシェ式で分けて計算されています。

しかし、なぜ2つのやり方があるのかそういった疑問が出てきているとおもいます。

その理由は以下のとおりです。

計算の手間が違うため
評価の過大を防ぐため

スピード重視ならラスパイレス式

❶の計算の手間が違う点ですが、ラスパイレス式とパーシェ式とでは、データを出すまでの時間がかなり違います。

結論をいうと、ラスパイレス式の方が計算が早くパーシェ式の方が計算に手間がかかります

ラスパイレス式とパーシェ式の計算式の違いは基準時点の数量を使うか比較時点の数量を使うかの違いですが、基準時点の数量を使う場合は、一度数量を集計したらそれ以降の年の数量を数える必要はありません

つまり、ラスパイレス式の場合は比較年度の価格さえ分かれば、すぐにデータを算出することができるのです。

例えば基準年の肉まんの価格が100円で年間で100万個売れた場合、販売個数の集計は基準年だけでよく、それ以降の年の集計は必要がありません。

つまり、次の年の肉まんの販売価格さえ分かれば、数量は基準年の100万個で固定されるのですぐに物価の変動がどうなったかを判断することができます。

一方、パーシェ式の場合は比較年度の数量を使うので、毎年、販売数量を数える必要があるので、計算に時間がかかってしまいます。

ですので、早く物価のデーターを出したい時はラスパイレス式の方が理にかなっていると言えるのです。

ニクマン

それだったら、ラスパイレス式の方が簡単だから、パーシェ式はいらないんじゃない?

過大評価を防ぐならパーシェ式

ラスパイレス式の方が簡単なので、パーシェ式の必要性が問われるところですが、このラスパイレス式には欠点があります。

それはデーターの評価が過大になりやすい点です。

例えば、基準年の肉まんの価格が100円で100個、餃子が200円で100個売れたが、翌年の肉まんの価格が110円で50個、餃子は価格が200円で150個売れた場合、ラスパイレスだと3100030000で割るので、1.033になります。

パーシェ式だと3550035000で割るので1.014になります。

ラスパイレス式だと物価は3.3%になりパーシェ式の1.4%より過大評価になっています。

先ほど例で出した、映画観賞券を含めたラスパイレス式とパーシェ式との計算比較でも、ラスパイレス式の方が過大評価になっているはずです。

こうした理由により、パーシェ式を使う経済指標があるのです。

ぎょうざ

上記の例は翌年に、肉まんが値上げしたので値段が上がっていない餃子に消費者が流れたという行動とも捉えることができます。
ラスパイレス式の場合はそういった購買行動を考慮せずデーターを出すので過大評価になってしまいます。

まとめ:物価指数に目を向けよう

それではまとめに入りましょう。

まとめ

物価は需要と供給で決まる
物価指数は2つの時点の価格と数量を加重平均したものでラスパイレス式パーシェ式の計算がある
ラスパイレス式は基準時点の数量を基準として物価を計算し、消費者物価指数企業物価指数で使われている
パーシェ式は比較時点の数量を基準として物価を計算し、GDPデフレーターで使われている
計算が早いのはラスパイレス式だが、過大評価を防止するならパーシェ式

今回の記事でラスパイレス式とパーシェ式について理解ができ、物価の変動の判断をどのようにしているかが分かったと思います。

物価指数は重要な経済指標の1つです。

なぜなら、僕達国民の生活に与える影響が大きいからです。

だからこそ、日頃から経済の物価指数に着目する必要があると思っております。

経済と聞くと難しいというイメージがあるかもしれませんが、少しずつでも経済を勉強していくとおもしろいですよ。

少しでもこの記事が参考になれば嬉しいです。

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  • この記事を書いた人

ぎょうざ

餃子を愛する社労士×CFP×経営者【経歴】体操競技一筋で大学卒業▶社会経験なしで経営者▶知識のなさにあせり経営やお金に関する資格を取得▶3社経営&ブロガー 【保有資格】 社労士/CFP/FP1級/簿記1級/ペット葬祭ディレクター1級/体育教諭免許/運行管理者/衛生管理者/損保募集人資格/等

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