こんにちわGYOUZAです!
みなさんは入社した時のことを覚えていますか?
その時に、会社からたくさんの書類をもらい、その中で何かの書類にサインをしたと思います。
おそらく、その中には労働条件通知書や雇用契約書というものがあったと思われます。
そしてこれらの違いは分かりますか?
おそらくこれらの違いを正確に説明できる人は少ないと思います。
今日は、この労働条件通知書と雇用契約書の違いを解説していきます。
それではいきましょー
コヨウケイヤクショ?ロウドウジョウケンツウチショ?なにそれ?


どちらも労働者と事業主が雇用契約を結ぶときに必要なものだよ
この記事を読むと分かること
雇用契約書と労働契約書の違いについて分かる
運用する上での注意点や運用方法が分かる
最新の改正情報が分かる
本記事の信頼性
・労務専門の社会保険労務士の資格を保有
・現役経営者で労務の実務に精通している
・Twitterのフォロワー1,000人超
労働条件通知書とは?

労働条件を明示するための書類
労働条件通知書とは、使用者(事業主)が労働者に対して、お給料や労働時間などの労働条件に関することを書面を使って明示するものです。
実は、これは労働基準法第15条の「労働条件の明示」の義務を根拠にしているのです。実際に見てみましょう。
労働基準法第15条(労働条件の明示)
1.使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
ZZZZZ….。

上記の条文だけを読むと眠たくなりますよね。
もう少しわかりやすく説明しますので上記の黄色のアンダーラインに着目して下さい。
何となく、労働契約を結ぶ時に労働条件に関する事項が会社から説明されることは分かったと思います。
黄色のアンダーラインの意味は、いわゆる労働条件の説明には、お偉いさん(厚生労働省)の決めたルールがあって、そのルールの中できちんと説明しなさいということです。
そしてそのルールの中で、法律上絶対に説明しなければならないものや会社の中でルールがある場合に限って説明が必要なもの、さらにその中で書面での説明が必要なものと口頭での説明でよいものがあります。
では、そのルール具体的に見ていきましょう。
ルールが多すぎたら混乱するのね


できるだけ分かりやすく説明するからもう少し頑張って聞いてね
絶対的明示事項
まず、法律上必ず説明しなければならない事項について説明します。
それを絶対的明示事項(ぜったいてきめいじじこう)といい以下のとおりになります。
絶対的明示事項
❶労働契約の期間に関する事項
❷期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
❸就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
❹始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
❺賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項
❻退職に関する事項(解雇の事由を含む)

②は有期労働契約(期間の定めのある労働契約)の場合に、更新する場合としない場合の基準を決める必要があるということです。
あとは、残業があるかないかや、給料の計算方法や支払い方法、何日に給料を支払うかなどの説明が必要です。
また労働者を2組以上に分けて就業させる場合というのは、シフト制や交代勤務制のことです。
相対的明示事項
次に、会社の中でルールがある場合に限って説明が必要なものについて説明します。
それを相対的明示事項(そうたいてきめいじじこう)といい以下のとおりになります。
相対的明示事項
❶退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
❷臨時に支払われる賃金等(退職手当を除く)及び賞与その他これに準ずるもの並びに最低賃金額に関する事項
❸労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
❹安全及び衛生に関する事項
❺職業訓練に関する事項
❻災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
❼表彰及び制裁に関する事項
❽休職に関する事項

逆に上記以外のことを会社で定めている場合にはその項目については明示する必要はありません。
書面での説明が必要なものと書面でなくてもいいもの
では、今度は上記の説明しないといけない項目の中で書面での説明が必要なものを説明します。
口頭での説明の方が楽でいいのにな

それは、絶対的明示事項の中で昇給を除く項目は書面での説明が必要になってきます。
つまり言い方を変えると相対的明示事項と昇給に関することは説明は必要だけど、書面で説明する必要はないってことになります。
覚えられないからもう全部書面での説明にしてもいいの?


それはとてもいい考えだよ。口頭での説明でもいいものもありますが、その場合には言った言わないのトラブルになりやすいので、すべて書面に残すことでトラブルの予防になります。
雇用契約書とは?

使用者と労働者との間に成立した雇用契約の内容を記したもの
今までの説明で何となく、労働条件通知書のことは分かったと思います。次は雇用契約書について解説します。
雇用契約書とは使用者(事業主)と労働者の間で雇用について交わす契約書のことです。
一般的には2部作成し、使用者と労働者がそれぞれ保管するのが多いと思います。

イメージとして、まず労働条件通知書を明示して労働条件について事業主が説明し、それを聞いた労働者が理解し、その上で納得したら雇用契約書で働くことを合意するといった感じです。
ひとつ知っていただきたいことがあって、実は雇用契約書というものは書面の作成が義務づけられていないのです。
なんでなの?契約書だから書面は絶対に必要でしょ?

日本の民法において契約というのは口約束だけで契約は正式に成立してしまうのです。
意思表示を重みにおいた考え方なので書面といった形式を必要としないのです。そのため、口約束で雇用契約は成立してしまうのです。
それでは、労働者にとっては不利益になる可能性が出てきますよね。
そのため、先ほど説明した労働条件通知書が役にたってきます。
労働基準法では、労働者の保護を観点にしているので労働条件の一定事項には必ず書面での通知が求められています。
実際に労働条件通知書の交付を怠った企業は、30万以下の罰金が科さられることになります。

書面の交付をしてない社長は覚悟しーや
雇用契約書と労働条件通知書の活用方法と注意点
ここまで説明を聞いて、じゃあ結局のところ雇用契約書は義務ではないから労働条件通知書だけでいいんじゃないの?とか、もうややこしいからこのブログを閉じようと考えている方もいると思います。

あと少しだけ聞いて下さい
先ほど、相対的明示事項と昇給は書面での説明はいらないけどトラブルになるのを防ぐため書面の交付を推奨したと思います。
ですので、雇用契約書も考え方は同じでやはりこれから会社で働いていただく社員さんとも円滑に仕事をするためにもやはり書面でしっかり雇用契約を結ぶ必要があると私は考えます。
社長さんの中には、労働条件通知書と雇用契約書を2つも準備するのはまずらわしいと考えている方も中にはいるかもしれません。
そこで私がおすすめするのが、労働条件通知書と雇用契約書を合体してしまう案です。
これだと各書類を2つ用意する必要がなくなり、1つで完結しトラブルの予防にもなります。
効率化を図りつつ、しっかりと労働条件の確認ができるというわけです。
また様式はweb で検索をかけていただく出てくると思うので、参考にしながら作成するといいと思います。

下の検索BOXに労働条件通知書兼雇用契約書と入力して検索ボタンを押すと、書式が出てくると思います。
最後に

書面は紙でなくてもよい
最後に、少しだけ近年の改正情報をお伝えして終わりにしたいと思います。
書面の形は紙でなくてはならないと思われている方も多いと思います。
しかし、近年は企業のIT化が進み、テレワークの導入も増えてきています。
そのためPDFやメールで労働条件を通知したい企業のニーズが増えてきました。
それに応えるべく、厚生労働省は2019年4月以降は従来の紙に加えて、労働者の同意を条件に電磁的方法による交付も可能とする方針を固めました。
そのため現在では紙と電磁的方法での交付が認めらています。

社員さん本人の意向を確認せずに一方的に電子メール等で交付するのはダメです。
まとめ
それではまとめに入りましょう。
まとめ
労働条件通知書は賃金や労働時間等の労働条件に関する書面
労働条件は必ず説明する絶対的明示事項と会社で規定がある場合に説明する相対的明示事項がある
労働条件は書面が必要なものとそうでないものがある
労働条件通知書と雇用契約書は合体できる
労働者の同意があれば、書面の交付ではなく電磁的方法の交付も可能
雇用契約書も労働条件通知書もどちらも労務管理をする上で重要なものです。
これらをしっかりと把握することでトラブルのリスクを減らし、お互いが安心して会社で働くことができると思います。
今一度、自分の会社の書面を見直してみてはいかがでしょうか
少しでもこの記事が参考になれば嬉しいです。
それではよい1日を!