
雇用保険に加入するとどんな給付を受けることができるの?
こんなお悩みを解決いたします!
本記事を読むとわかること
雇用保険の目的や給付の種類について分かる
各給付金や手当の金額について分かる
本記事の信頼性

ぎょうざ (@gyouza_maney)
この記事を書いている僕は、社会保険の専門家である社会保険労務士の資格やお金の専門家のFPの資格を保有しており、現在は複数の会社を経営しております。
会社にお勤め方はほとんどの方が雇用保険に加入していると思います。
しかし、雇用保険に加入することでもらえる手当や給付金についてどんなものかがあるか全てを把握している人は少ないと思います。
この記事では雇用保険で受けられる手当や給付金について網羅的に解説していきますので、最後までお付き合い下さい。
以外に知らない制度があるかもしれません。
それではいきましょー
雇用保険で受けられる給付とは

雇用保険に加入する目的とは
まず雇用保険になぜ加入するのかを考えてみましょう。
目的は大きく2つあります。
❶雇用の安定
❷生活の安定
会社で雇用されるということはその会社で働くということです。
しかし、労働者には多くの不安があると思います。
継続して働くことができるのか?子供の養育や親の介護が発生した場合に生活できるのか?退職してしまうと生活ができなくなるのではないか?など様々な不安があると思います。

確かに働いていても多くの心配事があるのねん。
つまり、こうした不安を解消するためにも雇用の安定と生活の安定を求めるわけです。
その手助けをしてくれるのが雇用保険になります。
そして、手助けとはと加入している被保険者に対して雇用の安定や生活の安定を図るために給付金を支給します。
給付金があることである程度の不安を解消することができると思います。雇用保険には本当に多くの給付金や手当があるのでそれを順番に見ていきましょう。
雇用保険の給付は大きく5つ
雇用保険の給付は以下の5つに大きく分かれます。
雇用保険の5つの給付
❶求職者給付
❷就職促進給付
❸教育訓練給付
❹雇用継続給付
❺育児休業給付
これらの各給付の中に様々な給付金や手当がありますので、それを1つずつ解説していきます。

❶から❹の求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付はまとめて失業等給付と言われます。
1つ目の給付:求職者給付

求職者給付ですが、この給付は 被保険者が退職や失業状態である時に生活の安定を確保しつつ、求職活動を支える給付になります。
求職者給付には以下の7つがあります。
❶基本手当(失業手当)
❷技能習得手当
❸寄宿手当
❹傷病手当
❺高年齢求職者給付金
❻特例一時金
❼日雇労働求職者給付金
基本手当(失業手当):失業中の給付
基本手当は、多くの方がご存知だと思いますがいわゆる失業手当のことです。
会社を離職し、失業している時に生活を支える給付金として支給されるものです。
あくまでも失業している日に対して支給されるので、就職等をした場合には、その日までの支給になります。
支給額は以下の通りです。
基本手当の支給額
60歳未満
賃金日額×給付率(50%~80%)×所定給付日数
60歳以上65歳未満
賃金日額×給付率(45%~80%)×所定給付日数
賃金日額とは離職前最後の6ヶ月間の賃金の総額を180で割ったものです。
そして所定給付日数は、離職した理由等で変わります。
自己都合で辞めた場合は、雇用保険の加入間に応じて90日~150日、会社都合の場合は90日~330日、障害者等の就職困難者は150日から360日の範囲で支給されます。
また基本手当を受給できる人は64歳以下の一般の被保険者になります。
65歳以上の被保険者は高年齢被保険者といい基本手当をもらうことはできません。
基本手当の詳しい内容は以下の記事で解説していますのでもう少し深く知りたい人は是非ご覧ください。
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失業手当を多くもらう方法やもらえない場合ってあるの!?仕組みを理解して失敗しないようにしよう!

給付率は賃金日額に応じて決められています。
基本的に賃金日額が大きくなるほど給付率も低くなります。
技能習得手当(受講手当・通所手当):職業訓練中の給付
技能習得手当は、公共職業安定所長(ハローワーク)が指示した公共職業訓練等を受ける場合にその訓練を受ける期間中に支給されるものです。
技能習得手当は2種類の手当があり、受講手当と通所手当があります。
受講手当とは、訓練を受けた日に支給されるもので、通所手当は訓練を受けるために、その施設に通うために電車やバスなどの交通機関や自動車等を利用した人に支給するものです。
受講手当と通所手当の支給額は以下の通りです。
技能習得手当の支給額
受講手当
1日500円(上限40日分)
通所手当
月額42,500円を限度

通所手当の支給を受けるには原則片道が2Km以上があるが条件です。
そしてあくまでもかかった交通費に対して支給されます
寄宿手当:宿泊による支給
寄宿手当は訓練を受けるために生計を維持されている同居の親族と別居して寄宿する場合に月ごとに支給されます。

寄宿って何?

寄宿とは簡単に言うと、宿を借りて泊まることだよ。
訓練施設に付随する宿泊施設に泊まった場合などに支給されるよ。
寄宿手当の支給額は以下の通りです。
寄宿手当の支給額
月額10,700円
傷病手当:求職後の病気中の給付
傷病手当は離職した後にハローワークに行って、求職の申し込みをした後に病気やケガなどで、連続して15日以上職業につくことができなかった場合に基本手当のかわりに支給されます。
傷病手当の支給額
基本手当の日額
注意点として15日以上継続して職業につくことができない状態が必要になります。
15日未満の場合は基本手当が支給されます。
また求職の申込の前に病気やケガをした場合には支給されませんので注意が必要です。

基本手当は労働の能力があることが必要なのですが、病気やケガの場合には労働の能力がないとみなされて基本手当が支給されなくなります。
それを補うためにできた制度になります。
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病気やケガで働けなくなった時の給付について学ぼう!健康保険、雇用保険、労災保険の給付の違いについて徹底解説!
高年齢求職者給付金:65歳以上の被保険者に対する失業手当
高年齢求職者給付金は65歳以上の被保険者である高年齢被保険者が離職した時に支給される給付金になります。
高年齢被保険者は基本手当をもらうことができませんので、その代わりになる給付金になります。
支給額は以下の通りです。
高年齢求職者給付金の支給額
算定基礎期間1年未満
基本手当の日額相当額の30日分
算定基礎期間1年以上
基本手当の日額相当額の50日分
算定基礎期間とは雇用保険を加入している期間で、1年以上かどうかでもらえる金額が変わります。また、基本手当と違う点は一時金としてもらえる点があります。
基本手当は4週間ごとに失業している日に対して支給しますが、高年齢求職者給付金は一度、失業が認定されると上記の金額が一時金として支給されます。

高年齢求職者給付金を受給するためには、被保険者期間(賃金支払い基礎日数が11日以上ある1ヶ月の期間)が6ヶ月以上必要になります。
特例一時金:季節的に働く被保険者に対する失業手当
特例一時金は季節的に雇用される被保険者である短期雇用特例被保険者が離職した時に支給される給付金になります。

季節的に雇用されるって?

季節的に雇用される人とは季節的な要因で働く人で、わかりやすい例でいくとスキー場や海の家で働く人などが該当するよ。
そして、短期雇用特例被保険者になるには4ヶ月以上の雇用期間を定められて雇用される人でかつ、1週間の所定労働時間が30時間以上が必要になるよ。
短期雇用特例被保険者も基本手当を受給できないので、その代わりになる給付金になります。
支給額は以下の通りです。
特例一時金の支給額
基本手当の日額相当額の40日分
受給期限日は離職から6ヵ月が経過する日なのですが、例えば申請を忘れていてハローワークの失業認定日が遅くなった場合は、その日から受給期限日の期間が40日未満になる場合があります。
その場合は40日分ではなく、その期間の日数分しか出なくなります。
日雇労働求職者給付金:日雇い労働者に対する失業手当
日雇労働求職者給付金は日々雇用される人又は30日以内の期間を定めれられて雇用される日雇労働被保険者が離職した時に支給される給付金になります。
日雇労働被保険者を雇用している事業主は雇用保険印紙保険料というものを納めるのですが、この印紙保険料というものは賃金日額に対して納める金額が変わってきます。
印紙保険料は第1級から第3級までの3段階があり、この収めた保険料や収めた日数に応じてもらえる金額が変わってきます。
さらに給付も普通給付と特例給付の2種類があります。
支給額は以下の通りです。
日雇労働求職者給付金の支給額
普通給付
日雇労働求職者給付金の日額(7,500円or6,200円or4,100円)×13日~17日
特例給付
日雇労働求職者給付金の日額 (7,500円or6,200円or4,100円) を60日まで受給可能
日雇労働求職者給付金の日額 は納めた印紙保険料の種類と日数で7500円、6200円又は4100円のいずれかになります。
普通給付は印紙保険料が26日以上納めた場合に、日数に応じて支給日数(13日~17日)が変わります。

ちなみに日雇労働求職者給付金の日額7500円の場合は第1級印紙保険料を24日以上納める必要があります。
また支給日数が17日になるには印紙保険料を44日以上納める必要があります。
特例給付を受けるためには少しややこしいのですが、継続する6カ月の期間内で各月ごとに11日以上かつ、通算で78日以上の印紙保険料を納めつつ、普通給付を受けていないなどの条件を満たすことで最大60日まで支給を受けることができます。
2つ目の給付:就職促進給付

就職促進給付とは失業してから早く就職できるように支援する給付になります。
就職促進給付は以下の3つです。
❶就業促進手当(再就職手当・就業促進定着手当・常用就職支度手当・ 就業手当 )
❷移転費
❸求職活動支援費
上記を見ると就業促進手当は4つの手当があります。
常用労働者(一般的には正社員)に支給される再就職手当と就業促進定着手当と常用労働者でかつ就職困難者に支給する常用就職支度手当、常用労働者以外に支給される就業手当があります。
それでは各手当について順番に見ていきましょう
就業促進手当:①再就職手当
再就職手当は、基本手当をもらえる受給資格者が1年を超えて新しい就職先に再就職した際に支給されます。
再就職手当は基本手当の残日数に応じて支給額が違い、一時金で支給されます。
支給額は以下の通りです。
再就職手当の支給額
基本手当の支給残日数が全体の3分の1以上3分の2未満
基本手当日額×支給残日数×60%
基本手当の支給残日数が全体の3分の2以上
基本手当日額×支給残日数×70%
例えば、基本手当の支給日数が90日あって、30日分の基本手当をもらった場合には残日数は60日になります。
この場合3分の2以上残日数があるので支給率が70%になります。
仮に基本手当日額が5,000円だった場合は21万円(5,000円×支給残日数60日×70%)が再就職手当の金額になります。

支給残日数が50日の場合は3分の1以上3分の2未満になるので、支給率は60%になり支給額は15万円(5000円×50日×60%)になります。
就業促進手当:②就業促進定着手当
就業促進定着手当は再就職手当の支給を受けた人が、再就職して6ヶ月が経過した場合に、従前の会社の時の給料と比べて再就職先の給料が低い場合に、再就職手当で使用した基本手当の支給残日数の40%若しくは30%を限度に支給されるものです。

どうゆうこと?頭が混乱してきたよ。

再就職手当の場合、支給残日数の60%若しくは70%を支給しているよね。
違う考え方をすると支給残日数の40%若しくは30%が支給されていないということになるんだ。
だから就業促進定着手当は支給されていない部分の40%若しくは30%を限度に支給すると考えるといいよ。
但し、あくまで再就職先の給料が従前の会社よりも低い場合に限るからね。
就業促進定着手当の支給額は以下の通りです。
就業促進定着手当の支給額
(算定基礎日額−みなし賃金日額)×再就職後6ヶ月間の賃金支払基礎日数
算定基礎日額は前の会社の賃金日額でみなし賃金日額は再就職先の賃金日額のことです。
例えば、算定基礎日額が6,000円、みなし賃金日額が5,000円で6ヶ月の賃金支払基礎日数が180日の場合は18万円【(6000円-5000円)×180日】が就業促進定着手当になるということです。
しかし、仮に再就職手当で使用した支給残日数の40%若しくは30%の金額が18万円より小さい場合はその金額が就業促進定着手当になります。
就業促進手当:③常用就職支度手当
常用就職支度手当は基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満の場合であって、身体障害者その他就職が困難である認められる人が1年以上継続して雇用される場合に支給されるものです。
支給額は以下の通りです。
常用就職支度手当の支給額
原則
基本手当日額等×90×40%
所定給付日数が270日未満でかつ支給残日数が90日未満(45日未満の場合は45で計算)の場合
基本手当日額×支給残日数(最低45)×40%

原則は90×40%なので36に基本手当日額をかけると支給額が出ます。
就業促進手当:④就業手当
就業手当は再就職手当の支給に対象にならなかった人で基本手当の支給残日数が3分の1以上かつ所定給付日数の45日以上の人が就職した場合に支給されるものです。
支給額は以下の通りです。
就業手当の支給額
基本手当日額×30%

就業手当は働いた日について支給されます。
但し、基本手当を受け取れる満了の残日数が限度です。
再就職手当の支給の対象にならなかった人とは基本的には1年超えて働かない人です。
移転費:就職等のための移転に対する給付
移転費はハローワークや職業紹介事業者からの紹介で就職するときや、公共職業訓練等を受講するために住所や居住場所を変更する時に支給されるものです。
移転費には6つの種類があり、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃、移転料、着後手当になります。
どれもが引っ越し(移転)にかかる費用になります。
支給額は以下の通りです。
移転費の支給額
鉄道賃・船賃・航空賃・車賃
実費相当額
移転料
移転の距離に対して93,000円~282,000円(8段階で単身の場合は半額)
着後手当
親族を随伴:76,000円(100Km以上の場合は95,000円)
単身:38,000円(100Km以上の場合は47,500円)

着後手当は移転費用に関わらず支給されます
求職活動支援費:求職活動に付随する費用に対する給付
求職活動支援費は就職のための求職活動などに対してかかった費用に対して支給されるものです。
求職活動支援費も3種類あり、ハローワークの紹介によって広範囲の地域にわたる求職活動に対して支給される広域求職活動費、ハローワークの職業指導に従って行う教育訓練の受講や活動によって支給される短期訓練受講費、求職活動を容易にするための役務の利用に対して支給する求職活動関係役務利用費の3種類があります。

役務の利用って何?

例えば、教育訓練や面接などを受けるために小さい子供を保育所などに預ける場合などが該当します。
求職活動関係役務利用費は、こういった保育所などの利用料に対して支援してくれるよ。
求職活動支援費の各支給額は以下の通りです。
求職活動支援費の支給額
広域求職活動費( 鉄道賃、船賃、航空賃、車賃 、宿泊料が対象)
鉄道賃、船賃、航空賃、車賃に対して経路や方法によって計算して支給
宿泊料は訪問する求人事業者数に応じて支給
短期訓練受講費
教育訓練の受講のために支払った費用の20%(上限10万円)
求職活動関係役務利用費
保育等サービスの利用のために支払った費用の額の80 % (1日あたり上限6,400円)
広域求職活動費は雇用保険の受給手続を行っているハローワークの所在地から訪問する求人事業所の所在地を管轄するハローワークの所在地までの距離を測り、 鉄道賃、船賃、航空賃、車賃に対する支給を受けるには200Km以上が必要で 宿泊料に関しては400Km必要になります。
3つ目の給付:教育訓練給付

教育訓練給付とは労働者の能力開発やキャリアアップのために支援する給付になります。
教育訓練給付は以下の2つがありますです。
❶教育訓練給付金
❷教育訓練支援給付金
教育訓練給付金:一般・特定・専門の教育訓練に対する給付
教育訓練給付金は厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け、その教育訓練を修了した場合にその教育訓練に対する費用に対して支給されるものです。
指定された教育訓練とは例えば、専門学校などで資格取得のために受講した講座料なども対象になります。
また教育訓練には3種類あり、一般的な教育訓練である一般教育訓練、早期のキャリア形成を目的とした教育訓練として指定される特定一般教育訓練、中長期的のキャリア形成を目的とし、専門的でかつ実践的な教育訓練として指定される専門実践教育訓練があります。

例を出すと特定一般教育訓練として税理士や社会保険労務士などの資格取得の教育訓練が該当します。
専門実践教育訓練は看護師、美容師、管理栄養士などの資格取得の教育訓練が該当します。
教育訓練給付金の支給額は以下の通りです。
教育訓練給付金の支給額
一般教育訓練
教育訓練費用の20%(上限10万円)
特定一般教育訓練
教育訓練費用の40%(上限20万円)
専門実践教育訓練
教育訓練を修了した者
教育訓練の費用の50% (年間上限40万円・全期間上限120万円【長期専門実践教育訓練の場合は160万円】)
資格を取得し1年以内に雇用された人又は訓練修了後に雇用されかつ1年以内に資格を取得した人
教育訓練費用の70%( 年間上限56万円・全期間上限168万円【長期専門実践教育訓練の場合は224万円】)
専門実践教育訓練は訓練を修了しただけの人と修了後に会社に雇用される場合(資格取得が条件)で支給額が変わってきます。
また専門実践教育訓練は訓練自体が長期化するので、年間の上限と訓練の全期間の上限が定められています。

長期専門実績教育訓練とは管理栄養士養成施設により行われる訓練で4年の修行期間が定められている教育訓練です。
教育訓練支援給付金:失業後に資格取得に専念できるように支援する給付
教育訓練支援給付金 は45歳未満で離職後1年以内に先程の専門実践教育訓練給付金を初めて受給する人がもらえる給付金になります。
仕事を辞めて資格取得に専念するような人に対しての給付金です。
支給額は以下の通りです。
教育訓練給付金の支給額
基本手当日額の80%
具体的には失業して、訓練学校の受講が終わるまでは上記の金額がずっともらえる給付制度になります。
但し、その最中に基本手当をもらっている場合は支給されません。しかし、基本手当のもらえる期間が終了した場合はその後に専門実践教育訓練を受講中の場合は教育訓練支援給付金を失業している日に対してもらうことができるということです。
この制度は令和7年3月31日までの時限措置なので、それまでに専門実践教育訓練を開始した人だけが受けれる給付金になります。
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お金の負担を減らしてスキルを習得したい人必見!教育訓練給付についてわかりやすく解説!
4つ目の給付:雇用継続給付

雇用継続給付とは、労働者が継続して働くことができるように支援する給付になります。
雇用継続給付は以下の2つがあります。
❶高年齢雇用継続給付(高年齢雇用継続基本給付金・高年齢再就職給付金)
❷介護休業給付
高年齢雇用継続給付は高齢者の雇用の継続を図るための給付で高年齢雇用継続給付金と高年齢再就職給付金の2つがあります。
高年齢雇用継続給付:①高年齢雇用継続基本給付金
高年齢雇用継続基本給付金は60歳になった日から65歳になるまでの人に対して、60歳になる前の賃金と比べて賃金が一定程度下がっている場合に支給されるものになります。
支給額は以下の通りです。
高年齢雇用継続基本給付金の支給額
支給対象月の賃金がみなし賃金月額の61%未満の場合
支給対象月の賃金×15%
支給対象月の賃金がみなし賃金月額の61%以上75%未満の場合
支給対象月の賃金×15% から一定割合が低減
支給対象月の賃金というのは60歳から65歳までの期間で月ごとに支給されている賃金のことで、みなし賃金月額は60歳に到達した日を退職した日と仮定して計算した賃金の月額になります。
例えば、60歳になる前の賃金が30万円で60歳からは15万になった場合は支給対象月の賃金は15万円でみなし賃金月額は30万円になります。
そして、この場合30万円の賃金が15万円に下がっているので50%減少したと判断され、上記の計算式にあてはめるとみなし賃金月額15万円に15%をかけるので22,500円が高年齢雇用継続給付金として支給されます。
15万円の給料が65歳まで続く場合は、65歳まで毎月22,500円が支給されることになります。
一方、賃金の減少割合が25%までの場合は75%未満にならないので高年齢雇用継続給付金は支給されません。
また支給対象月の賃金と高年齢雇用継続給付金の合計が360,584円(令和3年8月1日価格)を超えた場合は超えた金額分だけ給付金が減少されます。

高年齢雇用継続給付金 を受給するには算定基礎期間(雇用保険の加入期間)が5年以上必要です。
高年齢雇用継続給付:①高年齢再就職給付金
高年齢再就職給付金は基本手当を受け取り、60歳以降に再就職した際に基本手当の残日数が残っている場合に受け取れる給付金になります。
支給額は高年齢雇用継続給付金と基本的に同じです。
高年齢再就職給付金の支給額
再就職後の支給対象月の賃金がみなし賃金月額の61%未満の場合
支給対象月の賃金×15%
再就職後の 支給対象月の賃金がみなし賃金月額の61%以上75%未満の場合
支給対象月の賃金×15% から一定割合が低減
高年齢再就職給付金は基本手当の残日数が100日以上ないと受けとることができません。
また100日以上200日未満の場合は 高年齢再就職給付金 を受給できる期間が1年間で200日以上の場合は2年間になっています。
また65歳までが支給上限期間になり、例えば基本手当の残日数が200日以上あっても64歳に再就職した場合はそこから2年間もらえるのではなく65歳になるまでの期間になるということです。

再就職した際に再就職手当をもらった場合には高年齢再就職給付金をもらうことはできません。
介護休業給付金:介護するための休業による給付
介護休業給付の給付金は介護休業給付金の1種類しかありません。
介護休業給付金は対象家族を介護するために会社を休業した際に、賃金が低下してしまうので、それを支援するために支給されるものになります。

対象家族ってどこまでの範囲なの?

対象家族は配偶者(内縁の夫や妻も含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫までが対象だよ。
支給額は以下の通りです。
介護休業給付金の支給額
休業開始時賃金日額×支給日数×67%
休業開始時賃金日額とは介護休業を開始した日の前日を退職した日と仮定して計算した賃金の日額になります。
例えば介護休業を始める日の賃金の日額が1万円だった場合は1万円が休業開始時賃金になります。
支給日数は介護休業した日になり、介護休業給付金は30日単位で支給されます。
仮に休業開始時賃金日額が1万円で支給日数が30日の場合は1万×30日×67%で20万1千円が介護休業給付金になります。
そして最大で対象家族1人につき通算93日分まで支給を受けることができます。
また介護休業中に会社から賃金が支払われると介護休業給付金が減額されます。
休業前の賃金の80%以上支払われると介護休業給付金は支払われません。
13%未満の賃金の場合は減額されず介護休業給付金のすべて支払われますが、13%以上80%未満の場合は、休業開始前の賃金の80%からその支給率を差し引いた率が減額されます。

例えば50%の賃金を会社から支給されいる場合は介護休業給付金の支給率は67%から37%(67%-【80%-50%】)になります。
5つ目の給付:育児休業給付

育児休業給付金:育児するための休業による給付
育児休業給付とは、労働者が安心して育児を養育することができるように支援する給付になります。
育児休業給付の給付金は育児休業給付金の1種類しかありません。
育児休業給付金は出産後、原則1歳未満の子を育てるために、会社を休業した場合に支給されるものになります。
支給額は以下の通りです。
育児休業給付金の支給額
休業開始から180日目まで
休業開始時賃金日額×支給日数×67%
休業開始から181日目以降
休業開始時賃金日額×支給日数×50%
休業開始時賃金や支給日数の考え方は先ほどの介護休業給付金と同じ考え方です。
但し、もらえる期間が最大93日ではなく原則、子が1歳になる日の前日までになります。

保育園に入れないなど、一定の条件を満たすと最大2年間までは延長することができます。
また介護休業給付金と同じように、休業中に会社から賃金が支払われると減額されます。
介護休業給付金と違う所は休業を開始して181日目から支給率が67%から50%に変わるので減額の調整もそこから変わります。
180日目までは13%未満の賃金の支給があった場合は減額されませんが、181日目からは30%未満の賃金の支給までは減額されません。
まとめ:雇用保険の給付を理解して活用しよう
それではまとめに入りたいと思います。
雇用保険の給付のまとめ
・雇用保険の目的は雇用と生活の安定である。
・雇用保険の種類は大きく5つあり、①求職者給付 ②就職促進給付③教育訓練給付④雇用継続給付⑤育児休業給付 がある
・求職者給付は❶基本手当 ❷技能習得手当❸寄宿手当❹傷病手当❺高年齢求職者給付金❻特例一時金❼日雇労働求職者給付金がある
・就職促進給付は❶就業促進手当(再就職手当・就業促進定着手当・常用就職支度手当・ 就業手当 )❷移転費❸求職活動支援費がある
・教育訓練給付は❶教育訓練給付金❷教育訓練支援給付金がある
・雇用継続給付は❶高年齢雇用継続給付(高年齢雇用継続基本給付金・高年齢再就職給付金)❷介護休業給付(介護休業給付金)がある
・育児休業給付は育児休業給付金がある
今回は雇用保険の給付や手当について網羅的に解説していきました。
かなりの数があり、驚いた方もいらっしゃったのではないでしょうか?
しかし、雇用保険に加入している以上、今回説明した内容の給付を受ける権利があることを認識しておく必要があります。
雇用保険は申請ベースの保険なので、申請しないと受給することができません。
つまり知らないと、これらの給付を受けることができないということです。
ですので、今回の内容を大まかにでも押さえることが大切だと思います。
大まかに知っているだけでも、何かあった時にこれらの給付を活用できると思います。
今回は受給要件や細かい内容については解説していませんが、さらに詳しい内容はこのサイトでこれからも発信していきたいと思います。
この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。