こんにちわ!GYOUZAです。
将来大きなケガなどで長期間入院してしまったらどうしよう。
医療費が高すぎてとてもじゃないけど入院なんかできないよ。など、医療費に対して不安をお持ちな方もいるのではないでしょうか?
今回は、そんな不安を解消するために公的医療保険の高額療養費制度について解説していきたいと思います。
これから社会人になる方や、高額療養費って名前は聞いたことがあるけれどよく制度の内容が分からない人は是非ご覧ください。
それではいきましょー
入院とかしたらそんなに病院代ってかかるの?


平均で入院費用は1万円~1万5千円程度(3割負担での自己負担額)になるので、それが1ヶ月入院となると30万円から45万円程度になるということだね。
さらに保険なしの場合だと10割負担だから実質100万円から150万円もの医療費になるね。
えー!?
そんなにー!僕の肉まん代がなくなってしまうじゃないか!?


大丈夫だよ!ニクマンちゃん!
日本の公的医療保険は高額療養費制度という優秀な制度があるからそれを有効活用することでこの問題を解決できるよ。
そうなの!?
早く教えてー!!

この記事を読むと分かること
高額療養費制度について理解することができる。
国民健康保険と健康保険の高額療養費制度の違いについて分かる。
高額療養費の計算方法が分かる。
高額療養費制度の注意点や周辺制度について分かる。
高額療養費制度とは

1ヶ月の高額な医療費を抑えられる制度
それでは、さっそく高額療養費制度について見ていきましょう。
結論を先に申し上げますと、一カ月の医療費がいくら高額になろうと一定の金額以上は医療費がかからない制度です。
日本では国民のみんなが医療保険や年金制度に加入する国民皆保険制度により、安心して生活や仕事できるようになっています。
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多くの人は病院に行った際に病院代を支払うと思うのですが、国民皆保険制度により支払いは実際の病院代の3割になっていると思います。
例えば病院代が通常では10,000円の場合でも、窓口で支払うのは3000円といった感じです。
実際より安いから、それだけで助かるね。

しかし、1ヵ月に1回程度しか病院に行かないといった場合にはいいのですが、大怪我をなどをした場合には入院の必要性が出てくるし、それが長期間に及ぶと100万円以上の医療費がかかってくる場合もあります。
社会保険の目的は、先ほど申し上げた「安心して生活や仕事ができるようにする」ことなのでこれだと当然安心することができません。
ですので、1ヶ月の医療費の上限を定めた制度があるのです。
それが高額療養費制度という制度になります。
上限額の計算は後程、解説しますが、簡単なイメージとして仮に10万円が1ヶ月の医療費の上限とした場合に、100万の医療費にたいして、まず3割負担の30万円を支払います。
しかし、上限が10万円なので、10万を超えた20万円が支給されるというイメージです。
高額療養費のポイント

では、高額療養費制度の押さえておきたいポイントを先に見ておきましょう。
高額療養費のポイント
❶高額療養費制度は国民健康保険と健康保険がある
❷同じ月(1日から末日)に支払う医療費が自己負担限度額を超える必要がある
❸1つの医療機関での支払い額を世帯で合算することができる
❹医療機関ごとに計算し、同じ医療機関でも外来や入院は分けて計算する
❺限度額適用認定証等の発行で事前に支払いを抑えられる
❻貸付制度がある
❼1年間で高額療養費を受けた月が4カ月以上ある場合は限度額が減少する
それでは1つずつ見ていきましょう。
国民健康保険と健康保険の高額療養費制度の違い
❶の高額療養費制度は国民健康保険と健康保険がある点についてですが、これは保険者の種類によって分かれるだけです。
会社務めの方は健康保険の高額療養費制度になるし、自営業、パートやアルバイトで会社の健康保険に加入していない方は国民健康保険の高額療養費制度の対象になるということです。
支給内容は同じだと思っていただいて大丈夫です。
違う点としては、このあとに説明する自己負担限度額の算定の際に使う収入の基準が違う点です
高額療養費制度の注意点
❷の同じ月(1日から末日)に支払う医療費が自己負担限度額を超える必要があることについてですが、同じ月というのは各月の1日から末日までの医療費の金額で判断するので、例えば1月に医療費が20万円、2月に100万円だった場合には、1月は20万円で自己負担限度額を計算し、2月は100万円で自己負担限度額を計算するといった感じになります。
また医療費の中でも食事療養や生活療養といった、保険険外の診療、食事代、差額ベッド代などは高額療養費制度の対象外になるので分けて考える必要があります。

国保も健保も入院時食事療養費という制度があり、入院時の食事代は1日あたり460円で所得が少ない人はもっと安くなります。
そして、自己負担限度額ですが、これは人によって違うのです。
そして、健康保険と国民健康保険の基準が違います。
基準は以下の通りです。
健康保険・・・・標準報酬月額で判断する
国民健康保険・・賦課基準額で判断する
標準報酬月額?
賦課基準額?


標準報酬月額とは簡単言うと月のお給料の額に近いもので毎年4月~6月の給料の平均で決まります。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
賦課基準額とは、前年の所得に一定の金額(住民税基礎控除額43万円)を引いたものです。
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イメージとして健康保険は月の給料ベースで判断し、国民健康保険は年収ベースで判断すると思っていただければ大丈夫です。
そして自己負担限度額は70歳未満と70歳以上で年齢によって金額が変わります。
先に70歳未満の自己負担限度額を見てみましょう。
高額療養費制度の計算方法

70歳未満の高額療養費の自己負担限度額 | ||
保険種類 | 所得区分 | 自己負担限度額 |
健保 | 標準報酬月額:83万円以上 | 252,600円+(総医療費-842,000円)×1% |
国保 | 賦課基準額: 901万円超 | |
健保 | 標準報酬月額:53万円以上83万円未満 | 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% |
国保 | 賦課基準額: 600万円超901万円以下 | |
健保 | 標準報酬月額:28万円以上53万円未満 | 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% |
国保 | 賦課基準額: 210万円超600万円以下 | |
健保 | 標準報酬月額:28万円未満 | 57,600円 |
国保 | 賦課基準額: 210万円以下 | |
健保国保 | 市民税非課税者等 | 35,400円 |

自己負担限度額の総医療費とは病院の窓口で支払う3割負担の金額ではなく10割の金額を表します。
では、実際に上記の表に当てはめて計算してみましょう。
例えば健康保険に加入しており、標準報酬月額が30万円の人で医療費が3割負担で30万円かかったとしましょう。
上の表の健康保険の標準報酬月額が28万円以上53万円未満のところを見て自己負担限度額の金額は以下の通りになります。
高額療養費の計算
自己負担限度額
80,100円+(100万円【30万を10割負担に直した数字】-267,000)×1%=87,430円
高額療養費
30万円(窓口での支払金額)-87,430円=212,570円
自己負担限度額を計算すると87,430円になり、3割負担で30万円を支払っているので高額療養費としては212,570円が支給されるということになります。
では今度は国民健康保険のケースで見ていきましょう。
前年度の給与収入300万円とします。その場合、所得から基礎控除から43万円を引くのですが、所得は収入ではありません。
詳しくはこの記事をご覧下さい。
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所得の種類を把握をしよう!あなたはいくつ知っていますか?
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給与収入にには給与所得控除というものがあり、ここでいう所得というのは給与収入から給与所得控除を引いたものになります。

300万円の給与収入の給与所得控除は98万円になりますので、給与所得は202万円になります。
この202万円に43万円をひくので、賦課基準額としては159万円になるので上の表の国民健康保険の210万円以下のところを見ます。
自己負担限度額は計算式はなく、57,800円になりますので、仮に医療費が先ほどと同じ3割負担で30万円だった場合の高額療養費として支給される金額は242,200円になるということです。
70歳以上の高額療養費算定基準額
では今度は、70歳以上75歳未満の自己負担限度額を見ていきましょう。
70歳以上75歳未満の高額療養費の自己負担限度額 | ||||
保険種類 | 所得区分 | 自己負担限度額 | ||
外来 | 外来・入院 | |||
健保 | 一定以上の所得者 | 標準報酬月額:83万円以上 | 252,600円+(総医療費-842,000円)×1% | |
国保 | 課税所得: 690万円以上 | |||
健保 | 標準報酬月額:53万円以上83万円未満 | 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% | ||
国保 | 課税所得: 380万円以上 | |||
健保 | 標準報酬月額:28万円以上53万円未満 | 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% | ||
国保 | 課税所得: 145万円以上 | |||
健保国保 | 一般所得者 |
18,000円(年間上限14.4万円) |
57,600円 | |
健保国保 | 市民税非課税者等 | 8,000円 | 24,600円 | |
健保国保 | 判定基準所得がないもの | 15,000円 |
70歳以上75歳未満も70歳未満と同じように標準報酬月額や所得によって自己負担限度額が段階的に変わっていきます。

一定以上の所得者は医療費の一部負担金の割合が3割、それ以下の所得区分は原則2割負担です。
そして、一定以上の所得者以外の人の場合で外来(通院)と入院がある場合には、先に外来分を計算し、なお残った自己負担額と入院分を合計して算出します。
例えば、一般所得者で外来で20,000円の自己負担額を払い、そのあと入院もして80,000円の自己負担額がかかった場合の計算は以下の通りになります。
外来と入院があった場合
外来分の自己負担限度額と払い戻しの額
20,000(外来の自己負担額)-18,000(外来の自己負担限度額)=2,000円(払い戻しの額)
外来自己負担限度額と入院分を合計し、高額療養費を算出
80,000(入院の自己負担額)+18,000(外来の自己負担限度額)-57,600(外来・入院の自己負担額)=40,400円(高額療養費)
イメージできましたでしょうか?
上記のようにまず外来で計算し、限度額を超えた2,000円が一旦払い戻され、そのあとに入院分と外来の限度額の合計から今後は外来・入院の自己負担限度額を差し引いて高額療養費を算出します。
ですので、実質42,400円(2,000+40,400)が自分に返ってきます。
また国民健康保険の賦課基準額と課税所得の違いについてですが、賦課基準額は所得金額から基礎控除43万円のみを差し引いた金額ですが、課税所得は所得金額から基礎控除43万円以外に配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除などを差し引いた金額です。
ですので、同じ金額にはならないと覚えておきましょう。
世帯合算について
❸の1つの医療機関での支払い額が世帯で合算することができること、❹の医療機関ごとに計算し、同じ医療機関でも外来や入院は分けて計算するについて説明します。
高額療養費制度には世帯合算制度というものがあり、同一世帯(被保険者と被扶養者)で複数の人が同月内に医療機関で受診した場合に自己負担額を合算することができる制度のことです
家族の分も合算できるということだね。

しかし、合算するには一定のルールがあります。
合算対象のルール
70歳未満・・・下記の要件※を満たす21,000円以上の自己負担額
※①1ヵ月ごと②受診者ごと③医療機関ごと④医科・歯科ごと⑤入院・外来(通院)ごとで別々で計算し、合算すること
70歳以上75歳未満・・・全ての自己負担額
70歳未満と70歳以上75歳未満の年齢によって、合算できるルールが違っていますね。
文章で説明するより図解で見た方が分かりやすいと思いますので、見てみましょう。
まずは同世帯の人が全員、70歳未満の場合です。
図解を見ていただくと分かると思うのですが、受診者ごと、医療機関ごと、医師・歯科ごと、入院・外来ごとで別々に医療費を計算します。
そしてその中で21,000円を超えているものだけを選び、合算できるということです。
逆に21,000円未満は合算できないということです。
では続いて、70歳以上75歳未満を見ていきましょう。
70歳以上の人が世帯の中に含まれている場合は、70歳未満の人の分は先ほどと同じように別々に計算してかつ、21,000円を超えているものだけをピックアップします。
そして70歳以上の人の分は金額に関係なくすべて合算することができます。

他の注意点として、夫婦で共働きで両者とも被保険者の場合は合算できないので覚えておきましょう。
事前の支払額を少なくする制度
❺の限度額適用認定証等の発行で事前に支払いを抑えられるについてですが、高額療養費は一旦窓口に医療費の3割を支払い、自己負担限度額を超えた場合に後日請求により、限度額を超えた部分が支給されます。
しかし、一旦3割の支払いをする必要があり、その金額が高額な場合にはすぐにお金を用意できない場合が発生する可能性があります。
その問題を解決するためにできたのが、限度額適用認定証等の発行です。
この認定証を窓口に提示することで、窓口での支払いが自己負担限度額に抑えることができるのです。
なるほど♪
これだと安心なのね。どうやってこのアイテムを入手できるの?


事前に加入している公的医療保険に申請することでこの認定証を入手することができるよ。
また限度額適用認定証等とは、限度額適用認定証と限度額適用・標準負担額減額認定証の2種類があります。
両者の違いは、名前だけで使用用途は同じです。
住民税非課税世帯の場合は限度額適用・標準負担額減額認定証が発行されるようになっています。
また今では、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に伴って、マイナンバーカードを窓口で提示することにより事前申請なしで限度額に抑えることができる医療機関が増えていっています。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
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マイナンバーカードが健康保険証に!社労士&FPがメリットと問題点を解説します
続きを見る
高額医療費貸付制度
❻の貸付制度があるについてですが、この制度は高額医療費貸付制度と呼ばれ、無利子で高額療養費の支給見込額の一部の貸付を受けることができます。
限度額適用認定証等の入手に時間がかかってしまう場合にこの制度を活用する時に役に立ちます。
貸付金額は高額療養費の支給見込額の8割程度まで貸し付けを受けることができます。
高額療養費多数回該当
最後に❼の1年間で高額療養費を受けた月が4カ月以上ある場合は限度額が減少するについてですが、1年間に3回以上高額療養費の支給を受けた場合に、4回目から多数回該当となり、通常の自己負担限度より少ない金額に軽減される制度です。
この多数回該当の制度も70歳未満と70歳以上75歳未満で金額が変わるので先に表で見てみましょう。
70歳未満の高額療養費多数回該当の自己負担限度額 | ||
保険種類 | 所得区分 | 自己負担限度額 |
健保 | 標準報酬月額:83万円以上 | 140,100円 |
国保 | 賦課基準額: 901万円超 | |
健保 | 標準報酬月額:53万円以上83万円未満 | 93,000円 |
国保 | 賦課基準額: 600万円超901万円以下 | |
健保 | 標準報酬月額:28万円以上53万円未満 | 44,400円 |
国保 | 賦課基準額: 210万円超600万円以下 | |
健保 | 標準報酬月額:28万円未満 | |
国保 | 賦課基準額: 210万円以下 | |
健保国保 | 市民税非課税者等 | 24,600円 |
70歳以上75歳未満の高額療養費多数回該当の自己負担限度額 | ||||
保険種類 | 所得区分 | 自己負担限度額 | ||
健保 | 一定以上の所得者 | 標準報酬月額:83万円以上 | 140,100円 | |
国保 | 課税所得 : 690万円以上 | |||
健保 | 標準報酬月額:53万円以上83万円未満 | 93,000円 | ||
国保 | 課税所得 : 380万円以上 | |||
健保 | 標準報酬月額:28万円以上53万円未満 | 44,000円 | ||
国保 | 課税所得 : 145万円以上 | |||
健保国保 | 一般所得者 | 44,000円 |
先ほど、見てきた自己負担限度額と比べると金額が少なくなっていると思います。
そして、70歳以上75歳未満は、表が先ほどと比べてコンパクトになっていると思うのですが、それは外来療養のみによる高額療養費の支給月は、多数回該当の月数に算入されないというルールがあるからです。
では具体例を出してみましょう。
先ほどの例で解説した70歳未満で健康保険の被保険者で標準報酬月額が30万円の人で医療費が3割負担で30万円がかかったとしましょう。
今度は1年間で同額の支払いが1月と3月と5月と7月の4回あったとします。
その場合の自己負担額限度額と高額療養費は下記の通りになります。
高額療養費の計算
自己負担限度額
1月(1回目)
80,100円+(100万円【30万を10割負担に直した数字】-267,000)×1%=87,430円
3月(2回目)
80,100円+(100万円【30万を10割負担に直した数字】-267,000)×1%=87,430円
5月(3回目)
80,100円+(100万円【30万を10割負担に直した数字】-267,000)×1%=87,430円
7月(4回目)
44,000円
高額療養費
1月(1回目)
30万円(窓口での支払金額)-87,430円=212,570円
3月(2回目)
30万円(窓口での支払金額)-87,430円=212,570円
5月(3回目)
30万円(窓口での支払金額)-87,430円=212,570円
7月(4回目)
30万円(窓口での支払金額)-44,400円=255,600円
見ていただければわかると思いますが、4回目の自己負担限度額が減っていると思います。
注意点として、高額療養費が支給されていない月は回数のカウントはしません。
上記の例で3回目の5月の窓口の支払い額が30万ではなく5万円だった場合は高額療養費は支給されませんので、回数のカウントは2回目のままになります。
ですので、7月が30万の支払いだった場合は、それは3回目の支払いとカウントされ、7月以降の他の月に高額な支払い(上記の例だと多数回該当の44,400円を超える額)があった場合に初めて4回目と判断されます。
カウントと高額療養費の計算のイメージを最後に図解で表しておきます。

他の注意点として、健康保険から国民健康保険に切り替わった場合には、保険者が変わるため多数回該当がリセットされます。
そのためまた1からカウントされることになるので覚えておきましょう。
あとがき
いかがでしたでしょうか?
今回は、高額療養費制度について解説しました。
高額療養費という名前を知っているけれど、詳しい内容までは知らなかった人も多かったのではないでしょうか?
医療費は私達の生活の中で深くかかわってくるものなので、高額療養費制度について理解しておく必要があります。
万が一入院や長期間の療養が必要な時はこの制度をしっかり使うようにしましょう。
また、今後の日本は、医療費が高騰する可能性がおおいにあります。
その際には、自己負担限度額が変更になるかもしれませんので、定期的にニュース等でチェックをしておく必要があります。
少しでもこの記事が役にたてば嬉しいです。
それではよい1日を!
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