こんにちわ!GYOUZAです。
以前の記事でインフレとデフレについて解説させていただきました。
まだ読まれていない方は、一度読んでいただいた上でこの記事を読むと理解が深まると思いますので、是非、読んでみて下さい。
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お金の価値って一体何?インフレとデフレについて正しく理解しよう!
今日はその考え方を基本として、購買力平価説というものを説明します。
こうばいりょくへいか???また難しそうな名前が出てきたぞ。


購買力平価は、モノの価格に注目して、自分の国のお金と外国のお金の価値の変化を説明するものです。
上記の文章だけ見ても、よくわからないと思います。なんとなく、今は自分の国のお金と外国のお金を比べるのかなっていう感じで大丈夫です。
そのために、中学の時の復習になりますが先に円高と円安について説明したいと思います。
それでは、いきましょー
こんなお悩みを解決いたします!
本記事を読むとわかること
円安と円高を正しく理解できる
購買力平価説を理解できる
インフレ率とお金の関係が分かる
将来のお金の理論価格を算出できる
本記事の信頼性

GYOUZA (@gyouza_maney)
この記事を書いている僕は、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーの資格を保有しており、現在は複数の会社を経営しております。
円高と円安をわかりやすく解説

円高とは外国のお金より日本のお金の価値が高いこと
では、さっそく円高について解説します。円高とは外国のお金に対して日本のお金の価値が高くなることです。
外国のお金は馴染みのあるアメリカドルを使って説明します。
たとえばある時点の1ドルが100円だとします。
これが数カ月後、1ドルが50円になりました。
この現象が円高です。
日本円が100円から50円になったんだよね?数字が下がっているから円安じゃないの?


実は逆なんだよ。私も学生の時にこれで悩んだ経験があります。100円から90円になったんだから円安だと思ってました。なぜ、円高になるのか具体例で説明します。
日本円が円高になるまで
❶世界にアメリカの1ドル札と日本の100円しかないとします。
↓
❷この時点で1ドルの価値と100円の価値は同じです。
↓
❸アメリカの経済が悪くなり銀行からお金を借りて新たに1ドル札を発行してもらいます。日本は経済は安定していたので100円のままです。
↓
❹そうすると、世界にアメリカの1ドル札が2枚になり2ドルが存在することになります。日本円はお金を新たに発行していないので100円のままです。
↓
❺アメリカは日本の100円をゲットしようと考えた時に、とりあえず1ドル札1枚で日本に交渉してみる
↓
❻日本はアメリカの経済が悪くなっているのを知っているため、1ドル札2枚渡さないと100円と交換できないという。
↓
❼しぶしぶアメリカは1ドル札2枚を日本に渡す。つまり、2ドル=100円の関係が成立する
↓
❽1ドルあたりに換算すると1ドル=50円になる(100円÷2)
上記の例でいきますと、昔は100円と1ドル札が同じ価値だったのに経済悪化でアメリカドルの価値が下がってしまいました。
つまり、⑧の時点で日本円の価値が上がり、アメリカドルの価値が下がったということです。
円安とは外国のお金より日本のお金の価値が低いこと
では続いて、円安について説明しましょう。
先ほどの説明を逆にすると円安になるのは想像がつくと思いますので、少しだけ例を変えて説明してみましょう。
日本円が円安になるまで
❶世界にアメリカの1ドル札と日本の100円しかないとします。
↓
❷この時点で1ドルの価値と100円の価値は同じです。
↓
❸アメリカと日本の両方の経済が悪くなりました。
↓
❹両国とも銀行からお金を借り、新たにアメリカは1ドル札を発行し心配症の日本は余分に200円を発行してもらいました。
↓
❺そうすると、世界にアメリカドルが2ドルと日本円が300円が存在することになります。
↓
❻つまり日本はお金を発行しすぎたせいで、2ドル=300円の関係が成立する。
↓
❼1ドルあたりに換算すると1ドル=150円になる(300円÷2)
いかがでしょうか?この場合は、両国とも経済が悪化し銀行からお金を借りるまでは同じだったのですが、日本が余分にお金を借りたのでドルより円の供給量が増えてしまい、結果として円の価値が下がってしまいました。
モノのインフレとデフレの関係性と同じように、市場に出回るお金の量によって価格が変化するということです。
そして、この1ドル=100円や1ドル=50円など、時期や経済情勢によってお金の取引価格は変動します。
この取引価格のことを為替レートと言います。

為替レートは私達の日常が変化するように、その時のお金の量、国の経済状態などさまざまな理由により変化しています。
購買力平価説とは?

違う通貨であっても同じモノは同じ価格で販売される
それでは、購買力平価説について解説したいと思います。
これは、為替の長期的な動きを説明する理論で、グスタフ・カッセルさんという経済学者が唱えたものです。

結論を先に簡単に申し上げますと、各国のお金の価値はその国のモノの価格の変化によって決まり、ある時点でモノを安く買えても結局のところ価格は元にもどりますよ。ということです。
では、これも物語形式で考えていきたいと思います。
今回も極端な例で説明しますのであらかじめご了承下さい。
購買力平価説物語
むかしむかしあるところに日本とアメリカという国がありました。
両国とも同じ商品のオレンジジュースが人気で日本では1本100円で販売され、アメリカでは1ドルで販売されていました。
この時の為替レートは1ドル=100円です。
ですので、どちらで買っても同じ価値になります。
しかし、日本とアメリカが喧嘩をしてしまいました。

ご飯の時はお箸を使うのが当たり前です。
違うよ!お箸よりフォークとスプーンを使うのが当たり前だよ。


何をー!そんなこと言うなら、もうアメリカとは取引しないよ
ふん!別にいいよ!日本なんかと取引がなくても困らないしね

こうして日本とアメリカの取引がなくなりました。そして、その後アメリカは経済成長し、インフレ(モノの価値が上がり、お金の価値が下がる)が起こりました。
そうして、オレンジジュースは1本2ドルで販売されるようになりました。
一方日本は経済成長はまったくしなかったので、物価もそのままです。
つまりオレンジジュースの値段は1本100円のままです。
そしてついに日本とアメリカが仲直りをしました。

アメリカさん!ごめんなさい。ご飯の時、フォークとスプーンもあった方が食べやいよ。僕が間違っていたよ。
こちらも悪かったよ!お箸も使ってみると使いやすくていいね。今後も日本の文化を取り入れたいよ。

そして、日本とアメリカの取引が再開されました。以前は1ドル=100円の為替レートで取引をしていたので、今回も同じレートで取引をすることになりました。
しかし、ここでアメリカはあることに気付きました。
1ドルでオレンジジュース買えるんじゃね?

つまり日本で1ドルを100円に両替して、オレンジジュースを日本で購入し、それを母国で販売すると1ドルのもうけ(アメリカでは2ドルで販売しているため)を得ることができるということです。
これはチャンスだぜ!ドルを円に交換しまくるぜ!

こうしてアメリカは大量のドルを円に交換することになります。つまりドル売り円買いを行ったということです。

何か最近、アメリカがやたらドルを円に交換してくれっていうんだよな。日本円も少なくなってきたし、値段をあげよう(円高にする)
このままじゃ日本円が足りなくなる為、日本はアメリカに為替レートを1ドル=50円に変更してもらうことになります。
くっ・・。これでは日本で100円のオレンジジュースを買うためには2ドル必要だから、母国で買っても同じだよ。

めちゃくちゃ極端な例ですが、これが購買力平価が成立したということになります。
イメージできましたでしょうか?
つまり、短期的にモノを安く買えたとしても長期的に見たらモノの値段は戻るという考え方です。
相対的購買力平価で将来の為替レートが分かる
この現象は当たり前のことなのですが、実は着目するところはモノの値段が戻るという事実ではなく、各国のインフレ率(モノの値段の上昇率)の差に注目することであらかじめ将来の各国の通貨の価格を予測することができるのです。
このインフレ率の差から為替レートを求める考え方を相対的購買力平価といいます。
将来の価格が分かるということは、お金持ちになれるチャンスじゃないか!

上記の例ではアメリカはインフレが起こり、日本はインフレが起こらなかったわけです。
つまりアメリカは物価が2倍(インフレ率100%)になり、日本はそのまま(インフレ率0%)です。
2国間のインフレ率の差は100%-0%で100%になります。
この差を活用することで、将来のドルに対して日本円の価値をあらかじめ予測することができます。
計算方法は以下のようになります。
計算例❶
※現在の為替レートを1ドル=100円とする
現在の自国通貨の価格÷(1+インフレ率の差)=将来の1ドルあたりの自国通貨の価格
100円÷(1+100%)=50円
インフレ率の差をあてはめることで物語の例と同じ価格になりましたね。では、もうひとつ例題を出してみましょう。
計算例❷
※現在の為替レートを1ドル=100円とする
アメリカは物価が2倍になった(インフレ率100%)
日本は物価が1.75倍になった(インフレ率75%)
インフレ率の差=100%-75%=25%
将来の1ドルあたりの自国通貨の価格
=100円÷(1+25%)=80円
先ほどは、アメリカしかインフレになりませんでしたが、2国ともインフレになった場合でも将来の価格を求めることができます。
勘が鋭いかたは気づいているかもしれませんが、2国間ともデフレの場合でも活用できます。
各国の物価の上昇率や下落率が分かり、2国間の物価変動率さえ分かれば理論上は求められるということです。
実態経済で使えるのか

現実は単純ではない
ここまでお話を聞いて、では実際の経済に上記の考え方を当てはめることができるのかという疑問が出てきます。
もし将来の価格が分かれば、FX(外国為替証拠金取引)などで大金持ちになれるのではないかと期待してしまいます。

FXとは2国間の通貨を売買することで発生する差額によって利益をねらう取引のことです。
結論は
↓
↓
↓
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そんなに単純なものではない!!
期待させてしまい申し訳ございません。
理論上は求めることはできるのですが、これには問題点があります。
それは
「いつの時点でその価格になるのかが分からない」
つまり、長期的にはその価格になるけれどそれがどれくらい先でその価格になるのかが分からないということです。
また各国のインフレ率も将来どうなるか分からないですし、さまざまな経済情勢により日々変化するため予測が困難なのです。
まとめ:お金の価格決定の原理が分かると視点が変わる
予測するのが難しいと分かって落ち込んだ人も多いと思います。
しかし、将来のお金の価格がどのようになって決まるのかという考え方は理解できたと思います。
この考え方をベースにすると、日頃のニュース等で今までと違った視点で物事を見ることができるようになります。
そして、おおまかな経済の流れが分かるようになり少しレベルアップした気持ちになります。
それでは、最後にまとめに入りましょう。
まとめ
円高は外国通貨より日本通貨の価値が高いことである
円安は外国通貨より日本通貨の価値が低いことである
2国間の通貨の購買力で為替レートがきまる
購買力平価説は、短期的に2国間でモノの値段が変わっても、長期的にみるとモノの値段は戻るという考え方
相対的購買力平価とはインフレの差から為替レートを求めることができる考え方
2国間の物価変動率が分かれば理論上将来の為替を求められるが、さまざまな経済情勢の変化等で現実的には予測が難しい
経済の仕組みが分かると、世の中の流れの大枠を掴むことができるので楽しくなるはずです。
また経済を見る上で物価変動率やGDPなどさまざま指数があります。
経済についてもう少し詳しく知りたい方は下記の記事もおすすめです。
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少しでも今回の記事が参考になれば嬉しいです。