税金

住民税ってどうやって計算されているの?所得税との計算の違いについても解説!

2021年12月13日

スポンサーリンク

ニクマン

住民税ってどうやって計算されているの?

こんなお悩みを解決いたします!

本記事を読むとわかること

住民税について理解できる

所得割と均等割の違いについて分かる

住民税の計算手順が分かる

所得税と住民税の計算の違いが分かる

本記事の信頼性

ぎょうざ (@gyouza_maney)

この記事を書いている僕は、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーの資格を保有しており、現在は複数の会社を経営しております。

会社からもらう給料明細を見ると、何やら色んなものが差し引かれていますよね。

そして多くの方が住民税というものが徴収されていると思います。

なかには、この住民税がどのようにして計算されているのか?という疑問を持った人もいると思います。

この記事では住民税の計算方法について分かりやすく解説していきます。

所得税との計算方法の違いについても比較して書いていきますので最後までお付き合い下さい。

それではいきましょー

住民税とは一体何?

都道府県と市町村の税金がある

まず、住民税というものはどういった税金なのでしょうか?

住民税は、自分自身が住んでいる町に納める税金のことで、前年の1月から12月までの所得に対してかかる税金になります。

ぎょうざ

その年の1月1日時点の居住地に納税されます。仮に1月2日に引っ越しした場合でも1月1日の住所になります。

自分達が住んでいる町ですが、これは2つの枠組みに分かれます。

それは以下の2つです。

①都道府県
②市区町村

大きな視点で見ると都道府県内に住んでいますし、小さい視点で見ると市区町村内に住んでいることになります。

この住民税は実は2つに分かれておりそれは以下の通りです。

2つの住民税

❶道府県民税(東京都は都民税)
❷市町村民税
(特別区は特別区民税)

そしてこの税金は、住んでいる都道府県や市町村の教育や福祉等の行政サービスなどに使われます。

ニクマン

自分達の税金で自分達の町を支えるってことだね

所得割と均等割の2種類がある

更に住民税は前年の所得に対して徴収される所得割一律の金額が徴収される均等割があります。

所得割はあくまでも前年の所得に対してかかるものなので、所得が多い人は住民税がたくさん徴収され、少ない人は徴収される住民税が小さくなります。

税率は基本的には都道府県が4%、市町村が6%の10%の税率が前年の所得に対してかかってきます。

均等割は都道府県で1,500円市町村で3,500円の合計で5,000円の税金がかかってきます。

但し、地域によっては所得割の10%から−0.3%から0.5%ぐらいの範囲内で少し高い税率、若しくは低い税率の地域もあります。

また均等割も東日本大震災の影響もあり、一定の期間は防災費用を確保するために地域によっては+500円〜+1,000円ぐらいの範囲内で基本の5,000円より高くなっている地域もあります。

ぎょうざ

気になった方は是非、自分の住んでいる地域の所得割と均等割を調べてみて下さい。

また所得割も均等割も一定の要件を満たす場合は、税金は非課税になります。

以下のいずれかに該当した場合は住民税は非課税になります。

生活保護を受けている
障害者、未成年者、寡婦またはひとり親で前年中の合計所得金額が135万円以下である
前年の合計所得金額が各地域で定められている金額より低い

❸に関しては住んでいる地域によって若干違い、さらに所得割と均等割でも定められている金額が違います。

ざっくり言うと独身の場合は前年の合計所得金額が45万円以下の場合は非課税になるケースが多いです。

ぎょうざ

詳しくは各自治体のHPで掲載されています。
また生計を一にしている扶養親族や配偶者がいる場合は合計所得金額の条件が緩和され数字が大きくなります。

合計所得金額とは、会社のお給料から一定の必要経費(給与所得控除)を引いた給与所得や不動産所得、年金などの雑所得などの様々な所得を合算した金額を言います。

各所得について知りたい方は下記の記事をご覧下さい。

各所得について解説している記事はこちら
所得の種類を把握をしよう!あなたはいくつ知っていますか?

2種類の住民税の支払い方法

続いて住民税の支払い方法ですが、支払い方法は2種類あり、以下の通りです。

2種類の支払い方法

❶特別徴収
❷普通徴収

簡単に言うと、会社の給料から天引きしてもらい代わりに支払ってもらう方法自分自身で支払う方法のどちらかです。

会社に代わりに払ってもらう方法は❶の特別徴収になり、6月の給料から翌年の5月の給料までの1年間で毎月、給料から住民税を差し引いてもらい、会社がそれを支払います。

例えば、その住民税の金額が12万円の場合は毎月1万円を12回で支払うといった感じです。

また住民税の金額を12で割った際に、割り切れない場合は住民税が給料から差し引かれる初めの6月に端数分と合わせて支払い、7月から5月までは均等の金額を払います。

ぎょうざ

例えば、住民税の金額が120,500円の場合は、6月に10,500円を支払い、7月から5月までは10,000円を支払います。
また毎年、6月から新しい住民税の額を給料から差し引かれることになります。

❷の普通徴収は自分で住民税を支払う方法で、6月に自分の住所に納付書が届き、支払い回数は一括又は4回に分けて支払うことができます。

個人事業主さんなどは普通徴収に該当することが多いと思います。

住民税の計算方法を学ぼう

それではここからは実際に住民税の計算方法について見ていきましょう。

均等割は一律の金額なので、ここでは所得割の計算方法について解説していきます。

住民税の計算手順は以下の通りです。

step
1
総所得金額の計算

step
2
所得控除の計算

step
3
課税所得の計算

step
4
課税所得に10%をかけて税額控除前の所得割を計算

step
5
税額控除を計算

step
税額控除後の所得割金額を計算

住民税の所得割の計算手順は所得税の計算手順とほとんど同じになります。

所得税の計算手順は下記の記事で詳しく書いてありますので一度ご覧になって見ていただくと更に理解が深まると思います。

所得税の計算手順はこちらの記事
【年末調整も安心】給与所得者の所得税の計算の手順と計算方法について徹底解説!

それではここから順番に見ていきましょう。

ステップ①総所得金額の計算

ステップ①は総所得金額の計算です。

総所得金額は合計所得金額から風水害などでの損失や雑損失等の繰越控除を引いた金額になります。

合計所得金額は先ほど申し上げた給与所得や不動産所得、雑所得などを合計した金額になります。

例えば、1月1日から12月31日の期間で会社からもらっている給料が300万円だとしましょう。

会社からの給料は給料収入になるので、この給料収入に対して一定の必要経費である給与所得控除を差し引きます。

給与所得控除額
給与所得控除額

300万円の給料収入の場合は、上記の表に当てはめると給与所得控除は98万円になりますので、給与所得は202万円(300万円−98万円)になります。

仮に所得が給与所得のだけの場合は合計所得金額は、202万円になります。

そして例えば風水害などでの損失や雑損失等の繰越控除が20万円あった場合は、総所得金額は182万円、何もなければ202万円のままになります。

ぎょうざ

風水害などの損失や雑損失等の繰越控除とは、災害などで被った損害を雑損控除という項目で課税所得を軽減する所得控除があるのですが、その金額が多額の場合には控除しきれないケースが発生することもあります。
その場合には、控除しきれない金額を翌年以降3年間を限度に控除できる仕組みを繰越控除と言います。

ステップ②所得控除の計算

ステップ②は所得控除の計算です。

所得控除とは、いわゆる所得を減らすことができる経費の項目のことで、扶養親族の状況などに応じて控除できる人的控除や社会保険料や生命保険料などの支払い保険料に応じて控除できるものや、高額の医療に対して控除できるものもあります。

所得控除は以下の通りになります。

所得控除一覧

・基礎控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除

・扶養控除(一般・特定・老人・同居老親族
・ひとり親控除
・寡婦控除

・勤労学生控除
・障害者控除(障害者・特別障害者・同居特別障害者

・社会保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除
・生命保険料控除
地震保険料控除
・医療費控除
・雑損控除

上記の所得控除の適用受けるためには、家族構成や保険に加入しているかどうかなどによって決まります。

つまり人によって所得控除の金額はバラバラになります。

ぎょうざ

各所得控除の詳しい内容は先ほど紹介した所得税の計算手順の記事で詳しく書いてあります。

所得税と住民税では所得控除の金額が違う

所得控除は所得税と住民税の計算で使われるものですが、実は控除の金額が違うのです。

ここでは所得税と住民税の所得控除の違いを見ていきましょう。

所得税と住民税の所得控除の比較表
所得税と住民税の所得控除の比較表

上記の表を見ていただくと各所得控除の金額が所得税の金額よりも住民税の金額の方が少ないということが分かると思います。

ここで勘のいい人は気が付かれたかもしれませんが、所得税と住民税で所得控除の差があるので、所得税が0でも住民税では税金がかかるケースがあります。

ニクマン

ほんとだ。所得税で税金が0だと安心していたのに住民税では知らぬまに税金がかかっていたということがあり得るんだね。

例えば、基礎控除は誰でも受けることができる所得控除なのですが、所得税は48万円で住民税は43万円になっています。

例えば、給料収入が103万円の場合、給与所得控除の55万円を差し引いて給与所得は48万円になり、そこから所得控除の基礎控除の48万円を差し引くので実質、課税される金額が0になり所得税はかかりません。

しかし、住民税の場合は給与所得48万円は同じですが、基礎控除が43万円になりますので課税される金額が5万円になり住民税がかかってくることになるということです。

実際は、所得税と住民税の所得控除の差額に対して一定の調整控除という税額控除の適用を受けることができるのですが、初めに説明させていただいた住民税には均等割という税金がかかってきます。

ぎょうざ

調整控除についてはステップ⑤で説明します。

均等割がかからない所得というのが、独身の場合、基本的には45万円以下の場合なので、上記の例では給与所得が48万円なので住民税の支払いが生じることになります。

ですので、所得税では税金が0でも住民税では支払う必要がケースもあるということを覚えておきましょう。

ステップ③課税所得の計算

ステップ③は課税所得の計算です。

これはシンプルに総所得金額から所得控除を差し引くだけです。

例えば、給与所得が200万円、不動産所得が50万円の場合、総所得金額が250万円になり、所得控除として基礎控除が43万円、社会保険料控除が50万円、生命保険料控除が7万円の場合、所得控除の合計は100万円になり、総所得金額250万円から所得控除100万円を差し引いた150万円が課税所得になります。

ステップ④課税所得に10%をかけて税額控除前の所得割を計算

ステップ④は課税所得に対して都道府県の4%と市町村の6%を合計した10%の税率をかけます。

仮に課税所得が150万円の場合はこれに10%をかけて税額控除前の住民税の所得割を算出します。

金額は15万円になりステップ④はこれで終わりです。

ニクマン

このステップは簡単なのね♪

ステップ⑤税額控除を計算

ステップ⑥は税額控除の計算です。

税額控除とは、算出された税金の金額を直接控除できるので、所得控除に比べて節税効果が高いのが特徴です。

税額控除には以下のようなものがあります。

所得控除一覧

・配当控除
・外国税額控除

・配当割額及び株式譲渡所得割額の控除
・住宅借入金等特別税額控除
・寄附金税額控除
・調整控除

配当控除は株式の配当金等を受け取った場合に受けられる控除で、配当金に対して2.8%(1000万円超の部分は1.4%)の税額控除を受けることができます。

ぎょうざ

配当金を受給する時に他の所得と一緒に課税する総合課税か他の所得と分けて課税する分離課税の選択ができるのですが、配当控除の適用受けるには総合課税を選択しなければいけません。
また証券投資信託の配当金は1.4%(1000万円超の部分は0.7%)、外国建証券投資信託の配当金は0.7%(1000万円超の部分は0.35%)になります。

外国税額控除は、外国において生じた所得で、その国の所得税や住民税に相当する税金が課税された場合には一定の金額が控除されます。

例えば、外国株の利益に対しての所得なども該当します。

配当割額及び株式譲渡所得割額の控除は、上場株式等の配当金や上場株式等の譲渡で特定口座の源泉徴収ありで配当金を受け取った場合に5%の住民税が事前に徴収されています。

分離課税を選択した場合には、この所得に関しては申告をしなくてもいいのですが、あえて申告することで合計所得金額に含めることになり、事前に支払った5%の税金に対して控除を受けることができる制度になります。

住宅借入金等特別税額控除は住宅ローン控除と言われ、住宅ローンを組んだ場合に受けられる税額控除です。

住宅借入金等特別税額控除は所得税の計算でも税額控除として控除されるのですが、その際に控除額が大きく、税金を控除しきれない場合には、その控除しきれない額を住民税の税額控除として控除することができます。

ぎょうざ

イメージとして仮に所得税を計算すると10万円だった場合で、住宅借入金等特別税額控除が11万円の場合は、控除しきれない1万円を住民税の税額控除として差し引けるということです。

寄付金控除は、分かりやすい例でいくとふるさと納税などをした場合にこの寄付金控除を使うことができます

ふるさと納税で、自治体などに2,000円を超える寄附金を支払った場合に住民税から税額控除をすることができます。

また所得税のふるさと納税の寄付金控除は所得控除が適用されますが税額控除の適用はありません

逆に住民税のふるさと納税の寄付金控除は所得控除は適用されません税額控除の適用があります

詳しい内容は下記の記事で解説していますのでご覧下さい。

ふるさと納税の計算方法についての記事はこちら
ふるさと納税の計算方法や税金の関係性について徹底解説!ふるさと納税のおすすめ餃子も発表!

【調整控除】所得税と住民税の人的控除の差に対して控除できる

調整控除は、先ほどの所得控除で解説した所得税の所得控除と住民税の所得控除の差に対して控除できる税額控除です。

正確に言うと所得控除のうち、人的控除の差の部分だけになります。

人的控除とは、人に対する所得控除のことで基礎控除・扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除・ひとり親控除・寡婦控除・障害者控除・勤労学生控除が該当します。

ぎょうざ

生命保険料控除や地震保険料控除の差に対しては調整控除の適用はありません。

調整控除の計算は以下の通りになります。

調整控除の計算

合計課税所得金額が200万円以下
以下のいずれか少ない金額 × 5%
 ❶人的控除額の差額の合計額
 ❷合計課税所得金額
合計課税所得金額が200万円超
{人的控除額の差額の合計額-(合計課税所得金額-200万円)}※ × 5%

※赤字の部分を計算して5万円未満の場合は5万円として計算

計算は合計課税所得が200万円以下かそうでないかで計算方法が変わります

例えば、配偶者がいて、合計課税所得が100万円で基礎控除の差が5万円、配偶者控除の差が5万円で人的控除の合計の差が10万円だった場合は、合計課税所得100万円と比べると人的控除の差の金額の方が少ないので、10万円に5%をかけた5,000円が調整控除になります。

一方で課税所得が250万円で人的控除の差が10万円だった場合は、人的控除の差額の10万円から合計課税所得金額の250万円から200万円を差し引いた50万円を引くと−40万になり、5万円未満の数字になるので、この場合は5万円に5%をかけた2,500円が調整控除になります。

仮に課税所得が205万円で、人的控除の差が20万円の場合は15万円【20万円−(205万円−200万円)】に5%をかけた7,500円が調整控除になります。

ステップ⑥税額控除後の所得割金額を計算

最後のステップは税額控除後の所得割金額の計算になります。

ステップ④の税額控除をする前の所得割の金額から税額控除を差し引くだけで求めることができます。

例えば、税額控除前の住民税の所得割が15万円で配当控除が2万円、寄付金控除が2万5千円、調整控除5千円の場合、税額控除は5万円になり、税額控除前の所得割15万円から税額控除合計の5万円を差し引いた10万円が最終的な住民税の所得割の金額になります。

そして、この所得割10万円と初めに説明しました均等割の金額の5千円(原則)を合わせた10万5千円を住民税として支払うことになるということです。

ぎょうざ

この金額を基本的には12等分したものが翌年の6月の給料から差し引かれることになります。

まとめ:大まかに理解するだけでもお金を守る力を鍛えられる

以上が住民税の計算手順になりますので、最後にこれまでの手順を図解で掲載しておきます。

住民税計算手順
住民税計算手順

住民税のまとめ

住民税には道府県民税市長村民税の2つがある
住民税には前年の所得に対して徴収される所得割と一律の金額の約5,000円が徴収される均等割がある
住民税の徴収方法は給料から差し引き、会社が納める特別徴収と自分で納める普通徴収がある
住民税の所得割の計算は総所得金額から所得控除を差し引いて課税所得を求める
課税所得に10%の税率をかけたものから税額控除を差し引いて所得割の金額を算出する
・所得割と均等割を合わせたものを住民税として翌年6月から納める

住民税の計算手順も所得税の計算手順も、やり方はほとんど同じです。

しかし、所得控除の差や税率が違うこともこの記事を読んで理解していただいたと思います。

社会人の方は、給料明細でほとんどの方が住民税、所得税、社会保険料が差し引かれていると思います。

これらの金額は非常に大きいものです。

社会保険料の計算の記事はこちら
4月から6月の残業は損してしまうかも、、、。社会保険料の計算をマスターしよう

しかし、自分自身が支払っている税金や社会保険料がどうゆう仕組みなのかを理解していない人もいると思います。

だからこそ、大まかに理解するだけでもお金に対する知識が向上し、自分自身のお金を守る手助けになると思います。

このサイトではこれからもこういったお金に関する知識を発信していきたいと思いますので一緒に勉強していきましょう。

少しでもこの記事が参考になれば嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

にほんブログ村 にほんブログ村へ

スポンサーリンク

  • この記事を書いた人

ぎょうざ

餃子を愛する社労士×CFP×経営者【経歴】体操競技一筋で大学卒業▶社会経験なしで経営者▶知識のなさにあせり経営やお金に関する資格を取得▶3社経営&ブロガー 【保有資格】 社労士/CFP/FP1級/簿記1級/ペット葬祭ディレクター1級/体育教諭免許/運行管理者/衛生管理者/損保募集人資格/等

-税金
-,