
ライバル会社が値下げした場合はどうしたらいいの?
こんなお悩みを解決いたします!
本記事を読むとわかること
ゲーム理論の考え方が分かる
ナッシュ均衡について分かる
パレート最適について分かる
囚人のジレンマについて分かる
本記事の信頼性

ぎょうざ (@gyouza_maney)
この記事を書いている僕は、経営に関する資格を多数保有しており、現在は複数の会社を経営しております。
会社というのは、僕達の経済社会においてなくてはならない存在で、たくさんの業種があり、数多くの会社が存在しています。
ということは、自分の会社と同じサービスや同じ製品を販売している競合他社もいると思います。
今回の記事では、自分の会社と同じ業種の競合他社が値下げや値上げをした時に使うフレームワークであるゲーム理論について解説していきます。
競合会社が商品の値上げや値下げをした場合に、自社の利益が大きく影響を受けることになります。
この考え方をマスターして是非とも、自社の経営に活用して下さい。
それではいきましょー
ゲーム理論とは

数学者と経学者によって共同で誕生した理論
ゲーム理論は1944年に数学者であるジョン・フォン・ノイマンさんという人と経済学者のオスカー・モルゲンシュテルンさんという2人の学者さんが共同で出した本の「ゲームの理論と経済行動」から生まれた理論になります。
この考え方は現代の経済学においても活用される考え方でありますが、それ以外の学問でも幅広く使われています。

経営学、心理学、コンピュータ化学など様々な分野でもこの理論が応用されています。
ゲーム理論の名前の由来
ゲーム理論では、複数のプレーヤーが登場します。
このプレイヤーというのが、自分の会社とそれ以外の競合他社として表されます。
実際は、会社以外に個人でも活用でき、自分と他の個人として表現することができます。
会社や個人をプレーヤーとして捉えている所がこのゲーム理論として呼ばれる由来だと思います。

ゲームをしている人をプレーヤーっていうもんね♪
協力的か非協力的にプレイするかどうか
ゲーム理論では2人以上のプレイヤーの意志決定や行動を分析する理論のことを言うのですが、この行動パータンを2つに分けて考えます。
それは以下の2つになります。
❶非協力的に行動する
❷協力的に行動する
簡単に言うと、自分達だげてゲームをプレイするか、一緒に協力してゲームをプレイするかの違いになります。
この協力的に行動するかどうかで、ゲームの結果も変わってきます。
そして、このゲームの世界を企業が活動する社会に置き換えてどうなるかを考えていきます。
要は自分の会社の利益を確保する為に、自分達だけのことを考えるのか、それとも他の会社と協力していくのかを考えていき、利益が最終的にどうなるかを考えるのがゲーム理論になります。
ナッシュ均衡

非協力的な行動の際の最適な利潤
それでは実際に見ていきましょう。
まずは非協力的な行動で以下のようなケースを考えていきましょう。
あるエリアにおいて肉まん屋A社と肉まん屋B社があり、両社とも値上げをするか値下げをするかを考えている。
そこで両社ともコンサル会社に依頼にして、値上げや値下げをした場合に自分の会社の利益がどうなるかを調べてもらった。
【A社のやりとり】

ライバルの肉まん屋B社 の動向が気になるのね。
B社 の肉まんが値上げをした場合、僕の会社の利益がどうなるか教えて!

B社 が値上げをしてニクマンさんのA社も同じように値上げをするとA社の利益は100万円になります。
一方でA社の肉まんの価格を値下げすると利益は120万円になることがわかりました。

なるほど。じゃあ、B社が値下げした場合はどうなるの?

B社 が値下げをしてニクマンさんのA社が値上げをするとA社の利益は40万円になります。
一方で値下げすると利益は60万円になることがわかりました。

この場合でも値下げの方が僕の会社にとっては利益が多くなるんだね。
だったら僕の会社は値下げをした方がいいってことだね。
【B社のやりとり】

他社の肉まん屋A社の動向が気になりますわね。
A社の肉まんが値上げをした場合、私の会社の利益はどうなるか教えて下さる?

任しておき。A社が値上げをしてB社 も同じように値上げをするとB社の利益は50万円になるで。
一方でB社の肉まんの価格を値下げすると利益は60万円になるで。

A社が値下げをした場合はどうなるのかしら?

A社が値下げをしてB社 が値上げをするとB社 の利益は30万円になるで。
一方でB社の肉まんの価格を同じように値下げすると利益は40万円になるで。

なるほどですわ。A社の価格がどうなるかわからないから、私の会社では値下げをした方がいいってことですわね。
ここまでのやり取りを表でまとめて見ましょう。
肉まん屋A社の利益は以下のようになります。

表の見方は、肉まん屋Aの所を見て、右側の金額が書いてある4つのセルを見ます。
100万円と書いている所はA社とB社が値上げをした時のA社の利益になります。60万円の所は、A社もB社 も値下げした場合の利益になります。
先ほどの会話の流れで、今回は非協力的に行動するので、相手が値下げをするか値上げをするかが分かりません。
つまり、自分の会社が有利になるように戦略を立てます。
仮に相手のB社 が値上げをした場合でA社が値上げの戦略をとると100万円の利益、値下げの戦略をとると120万円の利益になり、A社にとっては値下げの戦略の方が有利になります。
一方でB社が値下げをした場合でA社が値上げの戦略を取ると40万円、値下げの戦略をとると60万円の利益になり、この場合もA社にとっては値下げの戦略の方が有利になります。
ですので、A社は値下げの戦略をとることが合理的な判断となります。
続いてB社の立場で利益がどうなるかを表でまとめて見ましょう。

表の見方は先ほどのA社の表と同じで、視点がB社の利益に変わるだけです。
相手のA社が値上げをした場合でB社が値上げの戦略をとると50万円の利益、値下げの戦略をとると60万円の利益になり、B社 にとっては値下げの戦略の方が有利になります。
一方でB社が値下げをした場合でA社が値上げの戦略をとると30万円、値下げの戦略をとると40万円の利益になり、この場合もB社 にとっては値下げの戦略の方が有利になります。
つまりB社にとっても合理的な判断をするなら相手の会社がどうゆう選択をするか分からないので、値下げの戦略をとることになります。
ではここで、A社の視点とB社の視点の表を合体してみましょう。

表の見方は、ほとんど同じで、違う所は2社の利益が同じセルの中に入力されているだけです。
例えば、A社が値上げB社が値下げの場合は4つのセルのうち、右上のセルを見ます。利益はA社が40万、B社 は60万になります。
そして、先ほど非協力的な行動の場合は、相手がどういう選択をするか分からない以上、A社もB社 も値下げの戦略が合理的な判断になりました。
ですので、表の一番右下の利益と所で交わることになります。すると、A社は60万円B社は40万円の利益になります。
このようにお互いが協力せずに、自分の利益だけを考え、合理的な選択をし、交わる(均衡する)ところをナッシュ均衡といいます。

パレート最適

協力的な行動でお互いが最適な利潤を確保
お気づきの方がいらっしゃるかも知れませんが、お互いが協力せずに合理的でリスクの少ない方法を選択するとお互いの利益が少ない状態になっています。
ナッシュ均衡の状態だと、お互いが合理的な判断をしたためA社は60万円、B社は40万円の利益になっています。
先ほどの表を見ていただくと、A社とB社の利益の組み合わせがA社60万円、B社40万円よりも高い組み合わせがあります。
それはA社とB社が値上げをした場合です。
その場合だと、A社は100万円の利益、B社が50万円の利益になり、ナッシュ均衡の状態よりも高い利益を確保することができます。
では、その利益を出すためにはどうするか、それはお互いが協力し合うことです。
本来であれば、A社の最大の利益はA社が値下げをして、B社が値上げをする組み合わせの120万円がA社にとっての最大の利益になります。
B社も同じようにB社が値下げをしてA社が値上げをする組み合わせの60万円がB社にとっての最大の利益になります。
しかし、それだと片方の会社の利益が極端に下がってしまいます。
一方でお互いが協力せずに合理的でリスクを取らない選択をすると、ある程度利益を確保できますが望ましい状態ではありません。
このようにお互いが、最大利益をあきらめて、妥協点を見出して利益を増加させる状態のことをパレート最適といいます。

ニクマンパンダさん!一緒に値上げするとお互いの会社の利益が多くなるから協力しませんか?

そうですわね。互いに協力することで、肉まん業界も盛り上げるから手を組みましょう。

囚人のジレンマ

合理的な選択が最大の利益にならない状態
本来であれば、お互いに合理的な選択をした場合に利益が最大になるのが望ましい状態と言えます。
つまりナッシュ均衡の状態が最大の利益になっていることが望ましいということです。
しかし、今回の例のようにお互いが最適だと思った選択だと利益が少なくなってしまうケースがあります。
このように、パレート最適とナッシュ均衡の組み合わせが異なる状況を経済学の世界では囚人のジレンマと言います。

お互いが好ましい選択をしていると思っていたことが、全体で見たらあまり良くない状態であったということです。
なぜ名前が囚人のジレンマなのか?
ここまでの説明がゲーム理論の大まかな内容になります。
想像していただけると分かると思うのですが、ビジネスの交渉の世界では、こういったケースは意外にあると思います。
しかし、このゲーム理論の考え方はビジネス以外の日常生活でも使われるケースがあります。
先ほど囚人のジレンマについて説明しました。
なぜ、囚人という名前がついているのかを気になった人もいると思うので、最後にこの説明をしたいと思います。
例えば、以下の状況があったと仮定します。
ある犯罪が発生し、2人の容疑者が捕まりました。ここでは、この2人を囚人Aと囚人Bとしましょう。
囚人Aと囚人Bは別々の牢屋に入れられ、接触ができません。
検察の証拠が完全ではなく、2人の選択によって刑の重さが以下のように変わるとします。
❶お互いが自白をした場合は懲役10年
❷お互いが黙秘をした場合は懲役3年
❸片方が自白をして片方が黙秘の場合に自白をした方は無罪、黙秘の場合は懲役20年
この場合は❸の囚人のうちの1人が自白をして、もう1人が黙秘を続けてくれることが、自白をした囚人からすると一番理想的です。
そして❷のお互いが黙秘をする選択をすると懲役は3年であり、妥当な選択であるように見えます。
しかし、問題なのは相手と接触ができないことです。
つまり、黙秘を続けていても相手が裏切る可能性が十分に考えられます。
そうなると、懲役が20年になり、囚人にとって最悪な状況になるかもしれません。
ですので、心理的に考えると最悪のケースを逃れるために❶のお互いが自白をする選択をしてしまいます。
本来であれば、黙秘を続けることがお互いにとって最適な状態であるにも関わらずその選択ができない状態になっていることになります。
この状態がまさに囚人のジレンマになります。
まとめ:多くの想定を考えて合理的な判断を
それでは最後にまとめに入りましょう。
ゲーム理論のまとめ
・ゲーム理論は経済学だけでなく多くの学問で応用されている
・ゲーム理論の行動は非協力的な行動と協力的な行動の2つのパターンがある
・ナッシュ均衡とは自分の利益だけを考え、合理的な選択をした場合に均衡する状態
・パレート最適とは最大利益をあきらめて、妥協点を見出して利益を増加させる状態
・囚人のジレンマとはナッシュ均衡とパレート最適が異なる状態
今回説明したゲーム理論は、経営の場面でも日常の場面でも使うことができると思います。
重要なことはいかに多くの想定を考えて、合理的な判断を下せるかが大事だと思います。
自分の利益だけを優先すると、かえって悪い状況になるかもしれません。
状況に応じて、協力できる所は協力していく考えも必要になります。
そのためにも普段からこういった思考を鍛えていく必要があるかもしれません。
今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。