こんにちわ!GYOUZAです。
みなさんは学生納付特例制度という制度を御存でしょうか?
大学生になって20歳を迎えた際に多くの方がこの制度を活用していると思うのですが、実はこの制度を活用するかしないかで大きく将来の年金額が変わるかもしれません。
そして、この制度の凄さに気付いていない方が実は多いのではないかと思います。
今回は、この制度の凄さや活用方法について解説していきたいと思います。
それではいきましょー!
学生納付特例制度?
そもそもそんな制度があること自体、僕は知らないよ。


学生納付特例制度は、簡単にいうと20歳になって学生だった場合に国民年金の保険料の支払いを猶予する制度だよ。
それも含めて解説していくね。
この記事を読むと分かること
学生納付特例制度の内容が分かる
免除と猶予と滞納の違いについて分かるようになる
学生納付特例制度の重要性やメリットが分かる
学生納付特例制度とは

免除と猶予の違い
学生納付特例制度とは、申請することで国民年金の保険料の支払いを猶予できる制度です。
国民年金は20歳になると、強制的に国民年金の被保険者になり、国民年金の保険料を支払わなければなりません。
国民年金の保険料は2021年度で16,610円で、年間で見ると約20万円程度の支払いになります。
1年間で見るとすごい金額だね。そんなに払えないよー


そうだね。1年間に20万円の支払いと考えると負担が決して軽くないよね。
中には生活が苦しくて国民年金の保険料を払えない人もいると思うんだ。
そういった人達を救済するためにも国民年金には申請することで保険料が免除になったり猶予になったりする制度があるんだ。
国民年金に申請免除という制度が6つ(4つが免除2つが猶予)あります。
5つの申請免除制度
❶全額免除
❷4分の3免除
❸半額免除
❹4分の1免除
❺学生納付特例
❻納付猶予
❶~❹は免除で❺~❻は猶予の制度になります。
免除と猶予の違いは何なの?


簡単に言うと、免除は支払い義務がないことで猶予は支払うことを延期することだと思ってくれれば大丈夫だよ。
国民年金の上記の➊~➍の免除の制度は支払い義務がなく、言葉の通り全額免除は保険料の全額を、4分の3免除は保険料の4分の3を、半額免除は保険料の半額を、といった感じで全額もしくは一定の保険料の支払い義務がなくなる制度です。
また、免除の場合は保険料を支払わなくても将来年金としてもらうことができます。
今回は学生納付特例制度にスポットをあてて解説するので、免除申請の詳細は割愛させていただきますが、各免除の対象になる条件は、ざっくりその人や配偶者、世帯主の収入等で決まると思っていただければ大丈夫です。
続いて上記の⑤~⑥の猶予制度ですが、先に納付猶予について簡単に説明すると、これは平成28年7月から令和12年6月までの限定的な制度ですが、50歳未満で本人及び配偶者が一定の所得に満たない場合に保険料の支払いが猶予される制度です。
猶予は基本的には、あとで追納という制度を使い保険料を支払うことになります。
学生の時に国民年金の支払いを猶予する
では、学生納付特例制度について解説していきしょう。
こちらも猶予の制度ですが、この制度は学生等を対象した国民年金の支払いを猶予する制度です。

学生等とは、大学(大学院を含む)、短期大学、中等教育学校、高等学校、特別支援学校(高等部限定)、夜間の学生、定時制課程、通信制課程の学生達のことをいいます。
学生達は、仕事よりも勉学がメインでありますのでなかなか収入を確保するのが難しい状態です。
しかし、国民年金は20歳になると強制加入で保険料の支払いが発生してしまいます。
しかし、所得が少ない学生に保険料の支払いを要求した場合には生活を圧迫してしまう可能性があるので、この制度ができました。
この制度は本人の所得のみが対象になり以下の条件に該当する場合には学生納付特例の制度を活用することができます。
学生納付特例制度の条件
前年の所得が以下のとおり
単身の場合・・・118万円
単身以外・・・・118万円+38万円(原則)×扶養親族等の数

1月~3月分の保険料の支払い分に関しては前々年の所得で決まります。
上記の要件に該当した場合にはこの制度を活用できます。
この制度はあくまでも猶予の制度なので、後に保険料を支払わなければ年金額が増えることがありません。
国民年金の支払う時期が伸びただけで、年金額が増えないんだったら特にメリットがない気がするんだけど、、。


普通に考えればそうだね。
大丈夫!今からメリットについて説明していくね
学生納付特例のメリット

滞納と猶予の違い
学生納付特例制度のメリットを説明する前に先に押さえておいてほしいことがあります。
それは滞納と猶予の違いについてです。
そういわれれば、違いがよくわかんない。

滞納は支払う義務があるのに、支払わないことで、猶予は将来支払うことができるようになった時に支払ってもらえればいいので、現時点では支払いをしなくていいということです。
そして、滞納の場合は、何も申請せずに保険料も支払わなければ滞納になります。
一方、申請すれば猶予の学生納付特例制度が使えますが、どちらの場合も保険料を支払っていないので支払いがない限り年金額が増えることはありません。
じゃあ結局どちらも一緒ってことなの?
しかも猶予の場合、わざわざ申請して手間がかかっているのに、結果が同じなら滞納の方が楽でいいじゃないの?
何のメリットもないじゃないか!


大丈夫だよ!安心して。
猶予の場合だと各年金の受給権を獲得できるメリットがあるんだよ
受給権?前に聞いたことがあるような。。

受給権とは、年金を受け取れる権利のことで、猶予にすることでこの権利を獲得できる可能性があるのです。
では、その権利をみていきましょう。
老齢基礎年金の受給権の獲得
まず一つ目が老齢基礎年金、いわゆる国民年金の受給権についてです。
以前、付加年金の記事で老齢基礎年金の受給権のことを簡単には説明したのですが、この年金をもらうためには、原則10年間の保険料の支払いが必要です。
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参考最強の年金!知らなきゃ損する「付加年金」について解説
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原則と書かれているので、当然例外の取り扱いがあります。
それは10年の期間に保険料の免除期間が含まれることです。
そしてこの免除期間に実際は猶予ではあるのですが、学生納付特例制度の期間が入るのです。
何がいいたいかと言いますと、滞納の場合は免除期間に入らないので老齢基礎年金がもらえる受給権の算定期間に入れることができません。
例えば、4年制の大学の学生になり20歳になったので国民年金の支払義務が発生し、所得が低いので学生納付特例を使い卒業までの2年間は年金の支払をしなかったとします。
するとこの2年間は国民年金の免除期間に該当するので、大学卒業後、会社で30歳まで働いた場合には8年間は会社の厚生年金(厚生年金の中に国民年金も含まれている)に加入しているので8年間の保険料の支払いが終了しているので、学生納付特例の期間の2年を足して、10年になり老齢基礎年金の受給権を獲得することができます。
一方、めんどくさくて学生納付特例の申請をしなかった場合はこの2年間は滞納期間になるので、先ほどと同じパターンで30歳になったときは、保険料支払い期間が8年だけとなり10年に届いてないので受給権を獲得することはできなくなります。
極端な例ですが、仮に30歳に会社をやめて65歳まで保険料を滞納した場合、全社だと10年間の期間があるので65歳から年金はもらえますが、後者の滞納の場合は8年であり10年に届いていないので65歳から年金がもらえなくなるということです。
なるほどー!
だから、滞納と猶予では、年金がもらえるかどうかが決まるから、めんどくさくても申請する必要があるんだね。

障害基礎年金と遺族基礎年金の受給権の獲得
もう一つ学生納付特例制度を活用する大きなメリットがあります。
それは、万が一不慮の事態が起きてしまって体に障害を抱えてしまった場合や最悪のケースで命を落としてしまった場合に障害基礎年金や遺族基礎年金の受給権を獲得することができることです。
障害基礎年金と遺族基礎年金を簡単にいうと、被保険者が不慮の事故等で障害状態や死亡した場合に、本人や遺族に国民年金の満額以上の年金がもらえます。

国民年金の満額は約78万円ぐらいです。
この2つの年金は、保険料納付要件というものがあり、それは以下の通りです。
保険料納付要件
❶事故日の前日(障害は初診日の前日、遺族は死亡日の前日)において、その月の前々月までに滞納期間が3分の1未満であること
❷事故日の前日(障害は初診日の前日、遺族は死亡日の前日)において、その月の前々月までの1年間に滞納期間がないこと
上記の2つのどちらかに該当している場合は、この2つの年金の受給権を獲得できます。
先ほどの老齢基礎年金と同じように、学生納付特例の期間は保険料の免除期間になり滞納期間には入りません。
ですので、仮に学生生活の途中で、保険料を一切支払っていない場合で障害等を負った場合でも障害等の年金の受給権を獲得することができるのです。
逆に学生納付特例の申請していない状態で事故にあうと、それは滞納期間に該当してしまい、保険料納付要件を満たすことができず障害等の年金を獲得することができないということです。
これを聞くと学生になったら、絶対に申請をしておかないといけないね。
するとしないかでその後の人生が大きく変わってしまう可能性があるということが分かったよ。

学生納付特例の申請方法

申請場所と申請方法
ここまでで学生納付特例制度の重要さについて理解できたと思います。
では、最後に実際の申請方法や申請場所についてお伝えしたいと思います。
まず申請方法は、学生納付特例申請書という用紙に必要事項を記載し、学生証のコピーを添付して、年金事務所の窓口に提出することで申請できます。
また郵送でも可能ですので、窓口まで行くのがしんどい人は郵送がおすすめです。

学生納付特例申請書はこちらからダウンロードできます。(出典:日本年金機構HP)
また、通学している学校で学生納付特例制度の代行事務をしている所もありますので、その場合は年金事務所に行く必要はありません。
指定されているが学校はこちらになります。(出典:日本年金事務所HP)
あとがき
いかがでしたでしょうか?
学生納付特例制度を活用するかしないかで大きく人生が変わる可能性もあります。
大学生になられた方やお子さんがいてこの記事を読まれた方は、今日の内容を覚えていただければ幸いです。
20歳以上で学生になった時は、この制度の申請を忘れないようにして下さい。
また、学生納付特例の承認を得た場合は、10年以内であれば追納することも可能です。

滞納の場合は追納できないので注意が必要です。
追納することで年金額を増やせる人もいるので、その場合は追納の検討をするのもいいのではないかと思います。
10年間追納しなかった場合でも、学生納付特例の期間が滞納の期間には変わらないので、自分の状況を見て追納するかの判断をしてみてはいかがでしょうか。
この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
それではよい1日を!
