
所得税と社会保険の扶養の違いって何なの?
こんなお悩みを解決いたします!
本記事を読むとわかること
扶養制度について理解できる
税法と社会保険の扶養要件について分かる
税法と社会保険の扶養要件の8つの違いついて分かる
社会保険加入要件拡大の改正による扶養制度のポイントについて分かる
本記事の信頼性

ぎょうざ (@gyouza_maney)
この記事を書いている僕は、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーや社労士の資格を保有しており、現在は複数の会社を経営しております。
ご家族がいらっしゃる方は、会社に入社した時に社会保険の手続きで「扶養の人はいますか?」など聞かれることがあると思います。
他にもパートをしている主婦のみなさんは、旦那さんの扶養から外れない為、働く時間をセーブしている人もいるのではないでしょうか?
今回の記事では扶養の加入要件について分かりやすく解説していきます。
実は扶養加入要件は所得税と社会保険では違うところが多く、正しく理解していない人が意外にいるかもしれません。
正しく理解していないと余分な支出をしてしまう可能性もあります。
この記事を読むことで、両者の違いについて理解することができるので最後までお付き合い下さい。
それではいきましょー
扶養とは

生活ができるように親族を養うこと
扶養要件について説明する前に、まず扶養とはどういった定義なのかを考えていきましょう。
扶養とは簡単にいうと、一定の収入以下の親族が経済的に自立している親族にやしなってもらうことを言います。

例えば、親が子供が生活できるように面倒を見るといった感じです。
そして養ってもらっている親族のことを扶養親族といいます。
この扶養親族を養っている親族(親など)は、普通に考えると扶養親族に生活をさせてあげないといけないわけですから、それなりのお金が必要になってきます。
支出を減らしお金を確保する
お金を稼ぐことができことができた場合には、それを解消することができます。
しかし、誰でもそれが可能とは言えません。
稼ぐ以外でお金を確保しようと考えた場合には、違う方法が必要になります。

誰からお金を借りたらいいんじゃない?
確かに、誰からお金を借りることによってお金を確保することはできます。
しかし、それでは将来お金を返済しなければいけないわけですし、誰でもお金を借りることはできないので、根本的な解決にはなりません。
お金を確保する違う方法は支出を減らすことです。
当たり前の話ですが、支出が減ることで手元のお金が増えます。
2つの扶養の制度
我が国では扶養親族を養っている人達に対して、支出を減らすための制度があるのです。
それが以下の2つです。
❶税金を安くする制度
❷社会保険料を安くする制度
会社などで働いている場合、給料に対して所得税や住民税がかかります。
また社会保険料を支払うことで、病気になった時には医療費が高額にならないですみます。
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しかし、これらの金額の負担は決して軽いものとは言えません。
扶養親族の収入がなければ、所得税や住民税はかかりませんが、病院は家族全員が行くので、通常であれば家族全員分の社会保険料を支払わなければなりません。
しかし、扶養親族を養っている場合には、その人の社会保険料1人分で家族全員分の保険料を払っているとみなしてくれるのです。
また、扶養している人の人数に応じて、扶養控除というものが適用され、その人の課税所得(税率をかける前の所得)を減らしてくれるのです。
扶養控除とは
控除対象扶養親族となる人がいる場合には一定の金額の所得控除が受けられ、扶養親族の年齢や要件に応じて所得税で38万円〜63万円、住民税で33万円~45万円の控除を受けられる制度のこと
つまり、扶養親族がいる人は税金や社会保険料が安くなり、扶養親族がいない人と比べて税金や社会保険料の支出が減り手取りが増えるのです。

社会保険の扶養は健康保険になります。
年金の保険料は配偶者の場合は第3号被保険者というものに該当し、年金保険料の支払いは必要ありません。
しかし、配偶者以外の扶養の親族で20歳以上60歳未満の場合は国民年金には加入しなければいけないので国民年金の保険料の支払いは必要になってきます。
税法と社会保険の扶養の違い

日本の扶養制度は「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」があり、実はこの扶養制度は別々の法律で定められており扶養の要件も違います。
今回は勘違いされやすいポイントを順番に解説していきます。
勘違いされやすいポイントは以下のとおりです。
❶被扶養者の収入の要件
❷収入の判定の期間
❸扶養しているの人の収入要件
❹扶養親族の範囲
❺同居の要件
❻配偶者の要件
❼被扶養者の年齢要件
❽収入に含めるものの要件
それでは一つずつ解説していきましょう。
違うポイント❶被扶養者の収入要件が違う

勘違いされやすいポイントの1つ目は被扶養者が被扶養者(扶養されている人)の収入要件が違うところです。
税法の被扶養者の収入要件は以下の通りです。
税法の要件
年間の合計所得金額が48万円以下(配偶者の場合は133万円以下まで控除の対象)
一方で社会保険の収入要件は以下の通りです。
社会保険の要件
年間収入が130万円未満(60歳以上又は一定の障害者は180万円未満)
まず税法の場合は、所得という言葉は使い、社会保険の場合は収入という言葉を使っています。
収入は売上や給料の総額のことで所得は収入から必要経費を引いたものです。
必要経費は所得の種類によって違いますが、給与収入の場合は給与所得控除という必要経費があり最低でも55万円の経費があります。
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税法の方を見ると合計所得金額が48万円以下となっているので、仮に被扶養者がバイトなので給与をもらっている場合でも、103万円以下の場合には扶養親族として認められます。

合計所得金額48万円と給与所得控除55万円を足し算すると103万円なります。
また配偶者の扶養控除には配偶者控除と配偶者特別控除の2種類あり、配偶者本人の合計所得が48万円以下の場合は配偶者控除38万円の適用が受けられます。
また合計所得が48万円以上133万以下の場合は配偶者特別控除の適用受けることができ、控除の額は合計所得の金額に応じて38万円から目減りしていきます。
一方で社会保険の場合は、年収をベースに考えるので収入の部分だけに着目します。
同じように給与で考えると被扶養者の給与収入が130万円以下の場合は原則、扶養親族として認められます。
また60歳以上や一定の障害をお持ちの方は収入の要件が180万円以下になり、収入要件の金額が引き上がります。
引き上げる理由として、60歳以上だと年金をもらっている人が多く、障害者の場合は障害年金を受給できる場合が多いからです。
この年金収入の金額は収入として計算されます。
例えば、65歳の人を扶養した場合で、この被扶養者の年金収入が200万円の場合は180万円以上なので、社会保険の扶養に入ることはできないということになります。

税法の場合の年金収入は雑所得という所得になり、公的年金等控除という必要経費を引くことができます。
税法の扶養は合計所得が48万円以下なので、雑所得から公的年金等控除を差し引いたものが48万円以下の場合には扶養に入れることができます。
年金額に応じた公的年金等控除の金額は以下の表の通りです。
例えば、扶養に入れたい親族が64歳で年金のみ収入で130万円もらっているとします。
上記の表に当てはめると公的年金等控除額が60万円なので130万円から60万円を引いた70万円が合計所得になるので税法の扶養要件の合計所得48万円を超えてしまい、扶養に入ることはできません。
しかし、社会保険の扶養の年収要件は60歳以上の場合だと180万円未満なので、年金収入が130万円であっても扶養に入ることができます。
少しややこしいですが、税法と社会保険ではこういった違いがあるので覚えておきましょう。
違うポイント❷収入の判定期間が違う

勘違いされやすいポイントの2つ目は収入の判定期間が違うことです。
税法の収入判定期間は以下の通りです。
税法の要件
その年の1月1日から12月31日まで
一方で社会保険の収入判定期間は以下の通りです。
社会保険の要件
扶養に入れる時期の今後1年間
先ほど、被扶養者の収入の要件については理解できたと思います。
収入を計算する上で期間の算定が必要になります。
この期間も税法と社会保険では違いがあるのです。
税法の場合は、その年の1月1日から12月31日までなので、年末調整や確定申告の場合の所得の計算と同じです。
つまり、被扶養者の源泉徴収票で収入の確認ができ扶養の判定をすることができます。
しかし、社会保険の場合はそうではありません。
あくまでも扶養に入れたい時期から今後1年間で判断します。
例えば、夫婦共働きをしていて、お互い正社員でバリバリ働いていたおり、奥さんが専業主婦になるため、11月に会社を退職したとします。
その年の奥さんの給料は月給20万円を会社から支給されており、1月から11月までで総額220万円をもらったとしましょう。
この場合、税法の扶養で判定すると1月から12月までの所得で判定するので奥さんは扶養に入ることができません。
しかし、社会保険の扶養の場合は今後1年間の収入で判断するので、会社を退職した翌月の12月から働かない場合は、今後1年間の収入見込みは0円になるので、12月から奥さんを扶養に入れることが可能になります。
また12月から月額10万円程度のパートで働こうと考えている場合は、年間収入の見込みは120万円になり、130万円未満なので原則、扶養に入れることができます。

でも見込みってことは、将来どうなるかわからないんじゃないの?
実際に将来の収入の見込みが130万円未満だと思っていても、予想もしていなかったことが一時的に起こってしまい収入が高くなることもあります。
そうなることで130万円を超えてしまい、扶養から外れてしまう可能性があります。
しかし、社会保険の扶養の判定は保険者(協会けんぽ等)が判断しますので、一時的なものであれば130万円を超えたとしても扶養として認められるケースが多いです。

一時的な収入として、不動産を売却した収入や遺産で資産を手に入れた場合などがあります。
あくまでも恒常的な収入により130万円を超えた場合に扶養から外れるとしています。
ですので、130万円を超えても扶養から直ちに外れる場合ではないので一度、保険者に確認することをおすすめします。
違うポイント❸扶養者の収入要件が違う

勘違いされやすいポイントの3つ目は扶養者(扶養している人)の収入要件が違うところです。
税法の扶養者の収入要件は以下の通りです。
税法の要件
合計所得が1000万円以下(寡婦・寡夫の場合は合計所得500万円以下)
一方で社会保険の扶養者の収入要件は は以下の通りです。
社会保険の要件
被扶養者の収入の2倍以上
税法の場合、扶養者の合計所得が1000万円(給与収入の場合1195万円)を超えると配偶者の扶養控除の適用が受けられなくなります。
また、寡婦や寡夫といったひとり親の場合には寡婦控除やひとり親控除という特別な控除があるのですが、この適用を受けるためには扶養者の合計所得が500万円以下である必要があります。

500万円を超えた場合でも、基本的な扶養控除は受けることができます。
社会保険の場合は扶養者の収入が被扶養者の収入の2倍以上であることが必要です。
先ほど社会保険の被扶養者の収入要件で130万円未満(60歳以上又は一定の障害者は180万円未満)が条件になっていたと思うのですが、例えば被扶養者が120万円の収入だった場合は、扶養者の収入が被扶養者の2倍である240万以上でないと扶養に入れることができないということになります。

言い方を変えると被扶養者の年収は扶養者の2分の1未満でなければいけないと言えます。
但し、被扶養者の収入が扶養者の収入の2分の1以上であっても、130万円未満かつ扶養者の年収を上回らない場合で、扶養者により生活を養ってもらっていると保縁者に判断された場合には扶養に入ることができます。
上記の社会保険の条件は同一世帯に属している場合の条件であり、同一世帯に属していない場合には別の要件があります。
同一世帯に属しているとは、同居して家計を共にしている状態(養ってもらっている状態)であることを言います。
また、入院などで一時的に住居を共にしていない場合は、あくまでも一時的なものなので、同一世帯に属していると判断されます。
同一世帯に属していない場合は、被扶養者の収入が130万円未満(60歳以上又は一定の障害者は180万円未満)かつ、扶養者から受け取る仕送りなどの援助額より少ないことが要件になっています。
例えば、大学生のお子さんがいて1人暮らしをしている場合に、扶養者である親がお子さんに仕送りをしていると想像して下さい。
お子さんはバイトをしており100万円のアルバイト収入がありました。
しかし、仕送り額が年間90万円だった場合には、年間収入は130万円未満ですが、仕送り以上の収入があるため原則、扶養には入れないということになります。
違うポイント❹扶養親族の範囲が違う

勘違いされやすいポイントの4つ目は扶養親族の範囲が違うところです。
税法の扶養親族の範囲は以下の通りです。
税法の要件
6親等内の血族と3親等内の姻族
一方で社会保険の扶養親族の範囲は以下の通りです。
社会保険の要件
3親等内の親族(内縁の配偶者の子、父母なども含む)
税法の場合は6親等内の血族と3親等内の姻族が扶養親族の範囲ですが、まずは血族と姻族の違いを説明しましょう。
血族は納税者いわゆる扶養者の親族のことで、姻族は配偶者の親族のことを指します。
夫婦で夫が扶養者であり、配偶者が被扶養者の場合、夫の父母、祖父母、兄弟姉妹、子供などは血族に該当します。
そして姻族は配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹などが該当します。
数字が入っている親等とは、本人(ここでは夫、配偶者)から数えて何番目の親族であるかを表すものです。
例えば、両親や子供は1親等になり兄弟姉妹や祖父母は2親等になります。
文章だとわかりずらいので、一応図解を下記に掲載します。


こうやってみると以外に多くの人を扶養に入れることができるんだね。
社会保険の扶養の範囲は3親等内の親族なので税法より親族の範囲が狭くなります。
先程の図解を使って同じように掲載します。
社会保険の扶養の範囲は文字を青色にしています。
税法の範囲と比べると、範囲が狭くなっているのが分かるはずです。

違うポイント❺同居の要件が違う

勘違いされやすいポイントの5つ目は同居の要件が違うところです。
税法の同居の要件は以下の通りです。
税法の要件
原則、同居が必要(一時的な別居は可)
一方で社会保険の同居の要件は以下の通りです。
社会保険の要件
配偶者、子、孫、兄弟姉妹、直系尊属は同居要件なし(それ以外の親族は同居が必要)
税法の場合、扶養に入れるためには、被扶養者は扶養者と生計を一にしている状態が必要になります。
この生計を一にするとは、日常の生活を資を共にすることをいい、原則は同居が必要でありますが、実家を離れて生活している大学生などの子供やご高齢の両親と別居をしているが、仕送りなどをしている場合には生計を一にしている状態として認められます。
社会保険の場合は、扶養親族の範囲は3親等内の親族ですが、その内、配偶者、子、孫、兄弟姉妹、直系尊属(父母、祖父母、曾祖父母)は同居要件はありません。
しかしこれ以外の3親等以内の親族と内縁関係の配偶者の父母及び子は同居が必要になってきます。

内縁関係の配偶者の父母及び子が亡くなった場合は、さらにその亡くなった人の配偶者の父母及び子も同居を要件に被扶養者にすることができます。
違うポイント❻配偶者の要件が違う

勘違いされやすいポイントの6つ目は配偶者の要件が違うところです。
税法の配偶者の要件は以下の通りです。
税法の要件
内縁の配偶者は含まれない
一方で社会保険の配偶者の要件は以下の通りです。
社会保険の要件
内縁の配偶者も含む
税法の場合は、配偶者控除を受けるため扶養に入れるためには戸籍上の配偶者である必要があります。
つまり内縁の配偶者は戸籍上の配偶者には該当しません。
つまり配偶者控除や配偶者特別控除の適用は受けれないということです。
しかし、社会保険の配偶者は内縁の妻は配偶者として認められるので扶養に入れることができます。
細かいですが、この違いも覚えておきましょう。
違うポイント❼被扶養者の年齢要件が違う

勘違いされやすいポイントの7つ目は被扶養者の年齢要件が違うところです。
税法の被扶養者の年齢要件は以下の通りです。
税法の要件
16歳以上(12月31日時点で)
一方で社会保険の被扶養者の年齢要件は以下の通りです。
社会保険の要件
75歳未満
税法の場合は扶養控除の適用を受けるためには被扶養者の年齢がその年の12月31日時点で16歳以上であることが必要になります。

15歳以下の子供は扶養控除の対象にならないってこと?
それってなんだか不公平な気がする。

15歳以下の子供がいた場合には児童手当という給付金が毎月5000円〜15000円支給されているんだ。
だから16歳以上から扶養控除の対象になっているんだよ。
社会保険の場合は、75歳未満という年齢制限がありますが、これは75歳以上になると後期高齢者医療制度という医療制度に切り替わるためです。
そのため、扶養に入れることができる年齢は75歳未満までになるということです。
ちなみ扶養者が会社の社会保険に加入した場合、社会保険は厚生年金と健康保険に分かれるのですが、厚生年金は70歳まで健康保険は75歳までしか加入することができないので、75歳になると会社の社会保険には入れません。
この扶養者も75歳のタイミングで会社の社会保険から外れて、後期高齢者医療制度に加入することになります。

仮に75歳まで会社で働けるっことは、体力的にも精神的にも元気な証拠じゃのう。
違うポイント❽収入に含めるものの要件が違う

勘違いされやすいポイントの最後の8つ目は収入に含めるものの要件が違うところです。
税法の収入に含めるものの要件は以下の通りです。
税法の要件
非課税である手当を含まない
一方で収入に含めるものの要件は以下の通りです。
社会保険の要件
非課税である手当を含む
税法と社会保険の両者の違いは非課税であるかどうかです。
非課税である手当とは、失業保険や障害年金、遺族年金、傷病手当金、出産手当金などが該当します。
これらの手当は、病気や怪我などに起因する手当なので、税法では非課税になっています。
ですので、収入に加えないことにしています。
一方社会保険では、これらの手当であっても収入に加えることが要件になっています。
例えば、60歳未満の被扶養者の1年間の収入の内訳を見ると給与収入が100万円で失業手当が50万円だった場合に、給与収入だけだと130万円未満ですが、失業手当を足すと150万円になり、130万円以上になりますので社会保険の扶養に入れなくなるということです。

税法では通勤手当も1ヶ月の片道の通勤距離に応じて非課税の枠(約4千円〜約3万千円)が設けられているですが、その非課税の枠内であれば税法では収入に含まれませんが、社会保険の場合だと含まれます。
その他社会保険の扶養における注意点

税法と社会保険の扶養要件の違いについて解説してきましたが、ある程度理解していただけたと思います。
最後に今後の社会保険の加入要件の拡大に伴い、注意してもらいたいことがありますので、その点について説明させていただきます。
社会保険の扶養の要件が企業の規模によって変わってくる
これまでの説明では、社会保険の被扶養者の年収要件は原則130万円未満である必要があると説明してきました。
しかし、その被扶養者が一定の規模以上の会社で働いている場合には社会保険の扶養には入ることができず、その会社で独自に社会保険に加入しなければいけません。
一定の規模以上とは2021年10月現在で従業員の数が常時501人以上の会社です。
従業員の数が常時501人以上の会社でお勤めの人は以下の要件に全て該当した場合には社会保険の加入が必要になります。
❶1週間の労働時間が20時間以上
❷1年以上の雇用期間が見込まれる
❸給与の月額が8万8千円以上
❹学生ではないこと
上記の要件に全て該当した場合には、社会保険の加入が原則必要になってきます。
❸に着目してほしいのですが、月額が8万8千円ということは年間で換算すると約106万円になります。
つまり130万円未満であっても上記に該当した場合には加入の必要性があるということです。

逆にいうと、規模の小さい会社の場合は上記に該当していても加入の必要がないということです。
規模の小さい会社の場合は原則、週に30時間(正規労働者の4分の3以上の労働時間)以上働いていた場合には加入義務があります。
しかし、今の最低賃金から考えても週に30時間働いていた場合には、年間で130万円を超える可能性は非常に高いと思います。
そしてこの加入要件ですが、今後改正で変更されることが決まっています。
大きく変わる点は会社の人数規模です。
まず2022年10月から従業員の人数規模が常時501人以上から101人以上に変更されます。
また雇用期間が1年以上から2ヶ月以上に変更になります。
そして2024年10月から従業員の人数規模が101人以上から51人以上に変更されることになります。
これらの改正点についてはしっかりと押さえておく必要があります。

2024年10月からは常時50人以下の場合の会社以外は加入要件が変更されるので要注意です。
まとめ:税法と社会保険の違いを理解する
それではまとめに入りましょう。
扶養要件のまとめ
・扶養の制度は2つあり、税金を安くする制度、社会保険料を安く制度である
・税法と社会保険の扶養制度の勘違いされやすいポイントが8つある
・被扶養者収入要件:税法は合計所得48万円以下、社会保険は年収130万円以下
・収入判定期間:税法はその年の1月から12月まで、社会保険は今後1年
・扶養者収入要件:税法は合計所得1000万円以下、社会保険は被扶養者の収入の2倍以上
・扶養親族の範囲:税法は6親等内の血族と3親等内の姻族、社会保険は3親等内の親族
・同居要件:税法は原則同居、社会保険は配偶者、子、孫、兄弟姉妹、直系尊属は同居要件なし
・配偶者要件:税法は内縁の配偶者は除外、社会保険は内縁の配偶者を含む
・被扶養者年齢要件:税法は16歳以上、社会保険は75歳未満
・収入加算要件:税法は非課税手当を含まない、社会保険は非課税手当は含む
・社会保険加入要件の改正により、会社の人数規模によって年収が130万円未満でも社会保険に加入しなくてはいけない
税法と社会保険で、扶養要件の違いがここまであるとは思わなかった人も多かったのではないでしょうか?
中身を見ていくと税法では扶養に入れるけれど、社会保険では入れないケースもあるし、逆に社会保険では扶養に入れるけれど税法では入れないケースもあったと思います。
そして、この扶養に入れるか入れないかで、生活で必要なお金に対する影響もかなり大きくなると思いますので、扶養の加入判断としてこの記事を活用していただけると幸いです。
少しでもこの記事が参考になれば嬉しいです。