人事・労務

社員のモチベーションを理解して会社を成長させよう!アルダーファーのERG理論をわかりやすく解説!

2021年9月14日

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ニクマン

社員のモチベーションってどこから生まれるの?

こんなお悩みを解決いたします!

本記事を読むとわかること

人間が持っている3つの欲求のメカニズムについて理解できる

アルダーファーのERG理論について分かるようになる

マズローの欲求段階説の違いについて分かるようになる

社員のモチベーションを上げるために使えるERG理論のフレームワークが分かる

本記事の信頼性

ぎょうざ (@gyouza_maney)

この記事を書いている僕は、経営に関する資格を多数保有しており、現在は複数の会社を経営しております。

僕達人間は生活する上でたくさんの行動をしていると思います。

仕事をしたり、勉強したり、遊んだり、食べたり、この行動の根本は当然ながら人間の欲求から生まれるものになります。

そして仕事成果においてはモチベーションによって左右されることは間違いないと思います。

こうした欲求のメカニズムを学ぶことでモチベーションを上げる手がかりになるかもしれません。

今回の記事は、人間の欲求を大きく3つに分けて理論化したアルダーファーのERG理論についてわかりやすく解説していきます。

以前の記事でマズローの欲求段階説について解説しましたが、その記事を読んでからこの記事を読むとさらに理解が深まると思いますので是非一度ご覧いただけると幸いです。

というのも、アルダーファーのERG理論はマズローの欲求段階説をベースに作られた理論であるからです。

マズローの欲求段階説の記事はこちら
人間の欲求を理解して組織力とモチベーションを上げよう!マズローの欲求段階説を解説!

解説していく中で、マズローの欲求段階説との比較も行います。

この理論を生かすことで、きっと社員や部下のモチベーション向上への手助けに役立つと思います。

それではいきましょー

アルダーファーのERG理論とは

人間の欲求は3つで構成されている

ERG理論とは、人間の欲求は主に3つの要素によって構成されており、これが元となり、人間はどのようにしてモチベーションが高まっていくかを研究した理論になります。

人と組織の発展のために活用される理論になり、経営用語の1つになります。

この理論の3つの欲求は以下のとおりです。

ERG理論の3つの欲求

❶生存欲求【Existence
❷関係欲求【Relatedness
❸成長欲求【Growth

生存(Existence)、関係(Relatedness)、成長(Growth)の頭文字をとってERG理論と言われています。

そして、このERG理論を提唱した人は、アメリカの心理学者でコンサルタントであったクレイントン・アルダーファーという人です。

ですので、アルダーファーのERG理論と言われています。

この3つの欲求は質の低い欲求(低次の欲求)から質の高い欲求(高次の欲求)があり、質が低い順から生存欲求、関係欲求、成長欲求の順番になります。

ぎょうざ

イメージは下の図の感じになります。

ERG理論の図解

では、この3つの欲求について深掘りしていきましょう。

1つ目の欲求 生存欲求

1つ目の欲求は生存欲求です。

この欲求は、生きていくために必要な欲求のことを言い、水を飲みたい、眠たいなど生理的な欲求や住む場所を確保したいなど安全な欲求も含まれます。

会社で例えると、生活できるだけの給料が欲しい、過酷な労働環境や労働時間が長いブラック企業ではなくホワイト企業で働きたいと言った欲求になります。

ニクマン

やっぱり働くからには、安全、安心な環境で働きたいのねん。

2つ目の欲求 関係欲求

2つ目の欲求は関係欲求です。

関係欲求は人間関係の欲求や家族や友人、仕事仲間との繋がりといった他者との関係性を求める欲求になります。

また他人から認められたいという承認の欲求もこの関係欲求に該当します。

会社で例えると、仕事の同僚や上司、取引先と良好な関係でいたい部下から尊敬されたい上司から認められたいと言った欲求になります。

ニクマン

人間関係がいいと会社で働きやすいのねん♪

3つ目の欲求 成長欲求

3つ目の欲求は成長欲求です。

成長欲求は、個人の能力をもっと伸ばしたい、目標を達成したい、苦手なことを克服したい等といった自分の成長に着目した欲求になります。

会社で例えると、できる仕事を増やしたい営業を獲得したいプレゼン能力を向上させたいなどの欲求になります。

ニクマン

できるビジネスマンになりたいのね!

マズローの欲求段階説との違いとは

各欲求について理解できたと思いますので、さらに深掘りしていきましょう。

このアルダーファーのERG理論はマズローの欲求段階説をベースにして作られた理論で、修正し発展させたものです。

ぎょうざ

アルダーファーという名前は覚えにくいのでマズローの説をプラスアルファーされたと考えると名前も覚えやすいですよ。

そして2つの理論の大きく違うところが2つあります。

欲求段階説は5段階の欲求階層でERG理論は3段階である
欲求段階説は不可逆的でERG理論は可逆的である

違い① 欲求階層の数が違う

まず違いの1つ目は欲求階層の数が違うところです。

マズローの欲求段階説は欲求の階層が5つあり、以下のとおりです。

マズローの欲求段階説

生理的欲求:人間が生きていくための欲求
安全の欲求:安全・安心を求める欲求
所属と愛の欲求:集団への所属の欲求
尊重の欲求:人々から認められたい欲求
自己実現の欲求:チャレンジしたい欲求

ぎょうざ

マズローの欲求段階説も欲求の質に低次の欲求から高次の欲求があり、低い順から生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求、尊重の欲求、自己実現の欲求と続き、下から順番に欲求が満たされていきます。

これまで説明してきたERG理論の欲求を、3つから5つに細分化したと思っていただければ大丈夫です。

ERG理論の生存欲求は欲求段階説の生理的欲求と安全の欲求の階層に該当します。

しかし、欲求段階説の安全の欲求の物理的な部分に限ります。

安全の欲求は安全・安心を求める欲求なので生活の安全もあれば人間関係を悪くしたくない等の安全の欲求があります。

つまり対人関係の安全の欲求は生存欲求に入らず関係欲求になり、生活などの安全は生存欲求に該当します。

続いて、ERG理論の関係欲求は欲求段階説の安全の欲求(対人関係の部分のみ)と所属と愛の欲求、尊重の欲求(他者と比較する欲求部分)に該当します。

欲求段階説の所属と愛の欲求は、どこかの組織や集団に所属したいという欲求なので人間関係に準ずるもので関係欲求に入ります。

また、尊重の欲求は他者から認めてもらいたい欲求もあれば自分のスキルや強みを認めようとする欲求なので、前者は人と比べるので対人関係に含まれ、関係欲求になります。

後者は自分の成長につながるので成長欲求に該当します。

最後にERG理論の成長欲求ですが、これは欲求段階説の尊重の欲求(自分の価値を認める欲求のみ)と自己実現の欲求に該当します。

欲求段階説の自己実現の欲求は自分の可能性を信じ、挑戦したりすることなので、自分の成長のための行動になり、全て成長欲求の中に入ります。

ここまでの内容を図解で掲載しておきます。

マズローの欲求段階説とアルダーファーのERG理論

違い② 欲求が満たされる順番やう欲求の移り方が違う

2つめの違いは欲求段階説は不可逆的ERG理論は可逆的であることです。

ニクマン

不可逆?可逆?
意味がよくわからないよ。

ぎょうざ

簡単にいうと、 不可逆は元に戻れないこといい、可逆は元の状態に戻れることをいうんだ。

マズローの欲求段階説は生理的欲求から始まり、その欲求が満たされないと次の欲求の安全の欲求に移行できません

つまり低次な欲求から順番に欲求が高次な欲求に移っていくので、生理的欲求からいきなり自己実現の欲求に移り変わることはないとされています。

そして、この理論は上の階層の欲求が満たされないからといって下の階層を満たそうとはしないと提唱しています。

つまり、上の欲求から下の欲求へと移り変わるようなことはないということです。

これが元に戻れない不可逆的という意味になります。

しかし、アルダーファーのERG理論は欲求は不可逆ではないと提唱しています。

つまり、欲求は同時に発生することもあるし、上の欲求が満たされない場合は下の欲求を満たそうとする場合もあると唱えています。

また欲求も基本的には欲求は順番通りにいくが、人によっては順番通りにはならない場合があると唱えています。

わかりやすい例でいくと、大好きな仕事仲間がいる会社に出社するとして、ある日、睡眠不足と寝坊で朝ごはんも食べれなかった場合には生理的欲求は満たされていません。

ぎょうざ

眠たいし、お腹が減っている状態だね。

しかし、眠くてお腹が減っていても会社に行くでしょう。

そして通常通り大好きな仲間と仕事をすると思います。

この時の状況を考えると、生理的欲求(ERG理論では生存欲求)は満たされていないが、所属と愛の欲求(ERG理論では関係欲求)は満たされていることになります。

また取引先関係者との会食の場面を考えると生存欲求と関係欲求が同時に発生しているといえます。

他にも、例として自分が決めた仕事の目標をなかなか達成できないとします。

そうすると落ち込んでしまい、中には同僚や上司に相談することがあると思います。

この時の状況を考えると上位の欲求である成長欲求が満たされていないのに、下位の欲求である関係欲求をより深く満たそうとする行動をしようとしています。

また、上司に相談する行為は目標を達成するにはどうしたらいいのかを求める行動でもありますので、さらに成長欲求を満たそうとしているともいえます。

ERG理論はその階層の欲求が満たされない場合、下位の欲求を求めると同時にその階層の欲求も満たそうとする動きがあるということなので、マズローの欲求段階説より複雑ではあります。

ですので、ERG理論はマズローの欲求段階説にない考え方を提唱しており、現在の経営学のモチベーションの理論の中ではこちらの方が実務に近いと思います。

ぎょうざ

ERG理論はまさにマズローの欲求段階説の改良版といえますね。

ERG理論の活用

社員のモチベーションアップに活用

最後にERG理論のフレームワークを会社の経営にあてはめていきましょう。

まず生存欲求が満たされていないケースを考えます。

生存欲求が満たされいないケース

・社員の給料が低くなりすぎていないかどうか?
・労働時間が長くなり、健康状態が損なわれていないかどうか?

上記のような問いに対して1人1人の社員をあてはめていき、該当する社員がいた場合にはそれを改善する施策を取ります。

ぎょうざ

例えば、まずは最低賃金や割増賃金が支払われていることをチェックしたり、健康診断をチェックすることも大事だと思います。

最低賃金のチェック方法はこちら
賃金のルールを理解しよう!最低賃金について解説
割増賃金のチェック方法はこちら
割増賃金について正しく理解しよう!残業・深夜・休日の割増計算方法もわかりやすく解説!

次に関係欲求が満たされていないケースを考えます

関係欲求が満たされいないケース

・仕事環境で孤立している人がいないかどうか(コミュニケーションを取れているか)?
・チームで仕事をしているかどうか?
・上司と部下の関係が良好であるかどうか?

同じように問いに対してNOであるならそれを改善していきます。

但し、関係欲求が満たされていない場合、関係欲求を改善する施策以外に、下位の欲求である生存欲求も満たす施策も考えるようします。

ぎょうざ

例えばはチーム力に応じて支給する手当を新設したりするなどが考えられます。
他にも以前の記事で紹介したキャンディー効果を活用してモチベーションをあげる方法もあります。
キャンディ効果について詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

キャンディー効果についての記事はこちら
仕事のやる気はアメを与えると上がる!?キャンディー効果について徹底解説!

最後に成長欲求が満たされていないケースを考えてみましょう。

成長欲求が満たされいないケース

・社員に一定の裁量を与えられているかどうか?
・社員が望んだ部署や業務に就けているかどうか?
・スキルアップのための教育ができているかどうか?

先ほどと同じように上記の問いに対してNOであるなら成長欲求を満たす施策と関係欲求を満たす施策を考えていきます。

ぎょうざ

例えば、スキルアップのための合同教育をして関係欲求と成長欲求を満たしたり、ジョブローテーションで色んな仕事を経験させるなどが考えられます。

このように、自分の会社でERG理論のフレーワークをあてはめて、社員のモチベーションや組織力の向上を図ることができます。

但し、社員さん1人1人に個性があるように、欲求もさまざまなのでしっかりと各個人と話し合い、施策を考える必要があります

まとめ:各個人にあった動機づけを考えよう

それではまとめに入りましょう。

ERG理論のまとめ

アルダーファーのERG理論マズローの欲求段階説を発展させたものである
ERG理論は3つの欲求で構成され、生存欲求、関係欲求、成長欲求の3つがある
生存欲求は生きるための最低限の欲求で、関係欲求は他者との関わりを求める欲求で、成長欲求は成長し続けたいという欲求である
欲求段階説との違いは、欲求の数と欲求の満たされる順番や満たされ方が違うことである
ERG理論は、可逆的に欲求が満たされ、同時に満たされることもある
ERG理論のフレームワークで社員のモチベーションの施策を考えられる

会社で働いている以上は、モチベーションの維持が本当に大切になります。

だからこそ、各社員の欲求について正しく理解し、会社として改善に取り組む必要があると思います。

そして、やはり大切なのは、各社員1人1人としっかりとコミュニケーションをり、何を求めているのかを理解することが大事だと思います。

社員さんのモチベーションが上がることで会社として生産性が上がることは間違いないと思いますので、是非ともこのフレームワークを使い会社の未来について考えていただけたらと思います。

少しでもこの記事が参考になれば嬉しいです。

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  • この記事を書いた人

ぎょうざ

餃子を愛する社労士×CFP×経営者【経歴】体操競技一筋で大学卒業▶社会経験なしで経営者▶知識のなさにあせり経営やお金に関する資格を取得▶3社経営&ブロガー 【保有資格】 社労士/CFP/FP1級/簿記1級/ペット葬祭ディレクター1級/体育教諭免許/運行管理者/衛生管理者/損保募集人資格/等

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