こんにちわぎょうざです。
今回は少し変わった視点から、お金とモチベーションの関係について見ていこうと思います。
いきなりですが、みなさんは「お金によって人は行動するものです。」と言われて、どのように考えますか?
「お金によって行動するなんて人間としてあるまじき行為だ。」
「人は仕事のやりがいや楽しさで行動するものだ」
「いや、給料が上がらないとやる気なんて起こらない」
「報酬の大小によって、成果も行動も変わるものだ」
などさまざまな意見も聞こえてきそうです。
今回はおもしろい過去の実験や事例などもふまえてこの論点について一緒に考えていきたいと思います。
それではいきましょー

僕はニクマンをもらえるなら、いくらでもモチベーションが上がるよ

それは、ニクマンちゃんの原動力がお金ではなくニクマンだからだね。今日はこの原動力の正体を見ていくからね。
本記事を読むとわかること
お金を与えることでもたらすモチベーションの関係性について分かる
外発的動機付けと内発的動機付けの違いが分かる
人間の心理について理解し、動機付けを行わせるヒントが掴める
デシの認知的評価理論の実験例や活用方法について分かる
本記事の信頼性

ぎょうざ (@gyouza_maney)
この記事を書いている僕は、経営に関する資格を多数保有しており、現在は複数の会社を経営しております。
人は本当にお金で動くのか?

心理学者デシについて
それでは、実際に人がお金によって行動する生き物なのかどうかを見る前に、この事について研究した心理学者を紹介しようと思います。
その学者の名前は「デシ」さんです。

本名は「エドワード・L. デシ」で、アメリカでは有名な心理学者です。
このデシさんが提唱したことは
「外発的動機づけをを行うことで内発的動機づけが低減する」
ということを提唱しました。

どうゆうこと?もっとわかりやすく言ってよ!

簡単にいうと、お金などを与えて行動するように外部から働きかけると、その人のモチベーションは下がりますよ。とういうことです。

それって、給料をあげてその人のやる気をあげようとしても、無駄ってこと?
それはおかしいよ!僕ならお給料が増えるなら頑張って働くもんね。
増えたお給料で肉まんをいっぱい買えるもの。
この考え方を提唱した時、心理学会の中では衝撃の出来事でした。
なぜなら、その当時の誰もがニクマンちゃんと同じ考え方で、人は報酬の上げ下げでやる気も同じように上がったり下がったりしていくという考え方だったのです。
しかし、デシさんはその考え方を変える実験を行います。
金銭的報酬によりやる気が低下
行った実験は、何名かの大学生を対象に、その学生を1人ずつ各部屋の中に入れてパズルを解かせるという実験を行いました。
そして実験の基本ルールは以下の通りです。
実験のルール
❶制限時間が13分のパズルを4個解いてもらう
❷パズルを2個解いてもらったあとに8分間の休憩を与える
❸上記の❶と❷で1セクションとし、それを3日間(3セクション)行う
この実験の一番のポイントは❷の休憩中に被験者達がどういった行動を取るかに着目してます。
休憩中は、部屋の中に雑誌や灰皿などが置かれており何をしても構いません。


そして、この被験者達を2つのグループに分け1つのグループには、2セクション目にある条件を与えます。
それは2セクション目はパズルを解いた個数に対して、1個あたり1ドルの報酬を与えることを約束したのです。
そして、3セクション目はパズルを解いたとしても報酬はどちらのグループもなしです。
つまり1つのグループは3セクションとも報酬なしでこの実験に取り組んでもらい、もう片方のグループは2セクション目だけ報酬がもらえるという状況です。
イメージしやすいように物語の形式で報酬なしグループと報酬ありグループで学生達がどうのような行動をとるか見ていきましょう。
ちなみにこのパズルはソーマパズルといい、さまざま形をしたブロックをつなぎ合わせて、動物や飛行機などの形を作ることができるパズルでこの当時に流行していたパズルだそうです。
実験中に何を作るように指示したことと、その当時の学生の気持ちは私の想像で書かせていただきます。
今回は例として書きますのでそのあたりはご了承下さい。
報酬なしのグループ

それでは、今からこのパズルを使って犬を作ってみて下さい。制限時間は13分です。
それではスタートです。
よーし頑張るのね。このパズルを解いてやる。


はい!終了です。
では次はこのパズルで飛行機を作って下さい。
制限時間は13分です。それではスタート!
いやーこのパズルおもしろいな。2回目も楽しみだな。


はい!終了です。
私は別室で実験データーを入力してきますので、ニクマンさんはこの部屋で自由に休憩しておいてください。
この部屋には雑誌も灰皿もあるので、ご自由にお過ごし下さい。
パズルで遊んでも大丈夫ですよ。それでは8分後に戻ってきますので戻ってきたら3回目を再開します。
このパズルは本当に楽しいのね。休憩中もパズルで遊ぼっと♪


はい!休憩終了です。
それでは残りの3回目と4回目をしましょうか。
よーし3回目も4回目も楽しみなのね。

この実験を3日間行いました。
残り2日間も同じようにお題を出して2回目のあとには同じように休憩をとりましたが、ニクマンちゃんはパズルがおもしろいと感じており休憩中は1日目と同じようにパズルを使い遊んでいました。
これが、3日間報酬なしのグループの結果になりました。
続いて2日目に報酬を与えた場合を見てみましょう。
1日目は上記と同じ結果になるので、今度は報酬ありの2日目から見ていきましょう。
報酬ありのグループ

それでは2日目をはじめましょう。ではさっそくこのパズルを使って猫を作ってみて下さい。制限時間は13分です。
それではスタートです。
よーし2日目もこのパズルを解いてやる。


はい!終了です。
では次はこのパズルで車を作って下さい。
制限時間は13分です。それではスタート!
本当にこのパズルおもしろいな。2回目も楽しみだな。


はい!終了です。
ニクマンさんは今日、パズルを2個解けたので2ドルを差し上げます。
このあと3回目と4回目もパズルを解くことができたら1個あたり1ドルを差し上げましょう。
えっ!?お金がもらえるの!?


はい!休憩終了です。
それでは残りの3回目と4回目をしましょうか。
時間内にパズルが解けないとお金がもらえないから、3回目も4回目も時間内で解かないといけないな。

2日目(2セクション目)が終わり、3日目(3セクション目)を迎えることになりました。

はい!それでは3日目をはじめましょう。今日はパズルを解いても報酬はありません。
1日目と同じように、今日の2回目終了後に実験データを入力してくるので、その間自由に休憩していただいて構いません。
今日はパズルを解いてもお金はもらえないのね。
まあ、やれって言われているし今日もパズルを解くか。

そして、1回目と2回目が終わり、休憩を迎えます。

はい!それでは休憩して下さい。
休憩のあと、パズルを解かないといけないから雑誌でも読んでおこう。

いかかでしょうか?
この物語は例で表しており、極端に映ったかもしれませんが、実はこの実験の実際の結果は、3日間報酬をもらわなかった学生達は、1日目の休憩時間より3日目の休憩時間の方がパズルに触る時間が伸びた傾向が見られました。
逆に2日目に報酬をもらった学生達は、3日目の休憩時間中にパズルを触る時間が極端に減った傾向が見られたのです。
つまり、報酬をもらうことでパズルを解く意欲が低下してしまったということが証明されたのです。
目的が変化することで人間の行動が変わる
では、なぜこのようなことが起こってしまったのでしょうか?
それは、目的が変わってしまったことが一番の原因なのではないかと私は思います。
この実験では、初めはパズルを解くことが楽しくてしょうがない状態でした。
ですので、休憩中にもかかわらず楽しいのでパズルを自分からやりたくなります。
一方、途中から金銭が発生したため、パズルを解く目的が楽しいから金銭をもらうためへと変化してしまったのです。
つまり、自分から楽しくて能動的にやっていたものが、金銭をもらうことで他人からやらされいる感覚になり受動的になってしまったということです。
本来楽しいはずのパズルが、他人の命令下になった途端に休憩中の行動に差が生まれてしまったのではないでしょうか。
【デシの認知的評価理論】日常生活やボランティア活動にもあてはまる
そして、これと似たような事例が私達の生活の中ではあると思います。
例えば、普段の仕事で自分からやりたいことがあって、休みの日のプライベート時間を使ってその仕事に取り組んでいる場合やボランティア活動をしている場合などです。
これは金銭の授与がなくても自分が心からやりたいと思い体が勝手に動いている状態なので行動意欲の抑制がかかりません。
しかし、これに対して金銭の授与が発生することで一気にやる気がなくなるといったケースです。
これは、お金をもらうことでお金の為に動いているのではないという気持ちが生まれたり、実験のように目的が変わってしまうことが原因と考えられます。
また、小さい子供が初めはお母さんのお手伝いをしてみたいという気持ちや、若しくはお母さんの真似をしたいという気持ちがあって、自らすすんでお手伝いをしてくれる場合があります。
それに対して、お母さんがお手伝いに対してお小遣いをあげたことによって、子供の心理状況がお手伝いをしたらお小遣いがもらえるものと目的が変わってしまい、自分からお手伝いをしなくなってしまったということもあるのではないでしょうか。
このように金銭という外発的動機付けを行うことでモチベーションという内発的動機付けが下がってしまうことがあると覚えておきましょう。

これをデシの認知的評価理論といいます。
デシ理論を活用したすごい実例

嫌がらせを阻止できる
では、最後にこのデシ理論を活用したすごい実例がありますので紹介しておきましょう。
これは、デシ理論が提唱される前の時代のお話です。
第一次世界大戦後、ユダヤ人が受け入れらない空気が強い米国南部の町で起こったお話です。
1人のユダヤ人や洋服の仕立て屋(洋服の修理)をしていましたが、ユダヤ人を理由に町の少年達から嫌がらせを受けていました。
そこでこのユダヤ人はこの嫌がらせをやめさせようとある策を考えます。
そしてその策は見事に成功し、嫌がらせを受けなくなります。

今からこの話を物語形式で説明しますので、できれば先に読みすすめる前に一度、どんなことをしたのかを考えてみて下さい。
ヒントは「デシ理論を活用した」です。
それでは、答えを見ていきましょう。
デシ理論を使ったユダヤ人の物語
むかしむかしある町に1人のユダヤ人が洋服の仕立て屋をしておりました。

さあ、今日もしっかり働いてお金を稼ぐぞ!
そこに町の少年達が現れました。
ユダヤ人のくせにあんなところで商売しているぜ。
邪魔をしてやろう。

少年達はユダヤ人の店の前まで行き、指をさしてやじるように叫びました。
やーい!ユダヤ人がいるぞ!
ユダヤ人!ユダヤ人!


やめてくれー。
そんなことされると、ここで商売ができないじゃないか。
うるせー!ユダヤ人はここで商売なんてするな!

この日は少年達のせいで商売ができず、泣く泣く家に帰りました。

うーん。困ったな。
この調子じゃ、明日も絶対に嫌がらせにくるぞ。
何か策を考えなければ。。。

そうだ!あの手がある!
何かをひらめいたユダヤ人は次の日も町で洋服の仕立て屋の仕事を開始します。
そこにまた、昨日の嫌がらせをした少年達があらわれました。
また商売をしてやがるぜ。
今日も邪魔してやる。
やーい!ユダヤ人!ユダヤ人!

昨日と同じように少年達は、ユダヤ人の商売の邪魔をしました。
そこで、ユダヤ人は少年達にあることを言います。

私のことを「ユダヤ人」と呼ぶ少年には10枚の硬貨を与えよう。
なんだって!?ユダヤ人と呼ぶだけでお金をもらえるだって!?
ヤッホー!
じゃあ、遠慮なく言わせてもらうぜ!
ユダヤ人!ユダヤ人!


よし!ユダヤ人と言ってくれたから、約束通り君たちに10枚の硬貨を与えよう。
やったぜ!こんな楽にお金を稼げることはないぜ!

そして大喜びした少年達は、次の日もやってきて叫び始めました。
やーい!ユダヤ人!ユダヤ人


今日はお金が少なくてな。
君たちには5枚の硬貨しかあげれないよ。
昨日より少ないけど、まあお金をもらえているし我慢するか。

そして次の日も少年達は店の前までやってきて叫び始めます。
やーい!ユダヤ人!ユダヤ人!


お金がほとんどないんだよ。
今日は1枚の硬貨をあげるのが精一杯だよ。
なんだって!?それじゃ2日前と比べて10分の1の報酬しかないじゃないか!
ふざけるな!ユダヤ人と叫んでも意味がないじゃないか!


すまないね。でもないものはないんだよ。
ふん!もういいよ!

気分を悪くした少年たちは次の日からこなくなりました。

大成功!これで気兼ねなく商売ができるぞ!
お分かりいただけましたでしょうか?
当初はユダヤ人に嫌がらせをすることを目的に「ユダヤ人」と叫んでいた行動が、金銭の授与があった為に、「ユダヤ人」と叫ぶ行為が嫌がらせからお金をもらうものへと変わってしまったのです。
そして、金銭が減ることでユダヤ人と叫ぶ行為の意欲がだんだんなくなってしまったのです。
当初は、金銭がなくても嫌がらせ自体がおもしろかったので、自ら進んで行動していたものが、金銭の授与によりおもしろかった行為が金銭をもらう行為に変換されてしまし、自らすすんでする行動にブレーキがかかってしまったのです。
これはまさしくデシが提唱していたことにあてはまります。
お金でゲームをやめさせる

そしてこの話は、例えば子供にゲームをやめさせたい時などにも応用できるのではないかと実は私は思っています。
推奨はしませんが、ゲームはおもしろいからやるという目的から金銭をもらうものに目的を変えることでゲームをやめさせることができるかもしれません。
つまりゲームをするたびにお金を渡し、次の日から徐々にお金を減らしていくのです。
ゲーム以外でも、やめさせたいことがあった場合にはこのデシの理論を活用することでやめさせることができるかもしれません。
ちなみに、この記事を読んで子供に試してみたけれど、実際にゲームをやめなかった場合でも私は責任を負いませんのでご了承下さい。
あくまでも自己責任でお試し下さい。(笑)
まとめ:感情は多くの要因で変化するからこそ目的を意識する
それでは最後にまとめに入りましょう。
デシ理論のまとめ
デシは外発的動機づけでモチベーションが下がると提唱
実験では報酬を受け取ったグループはやる気が低下
実験では報酬がないグループの方がやる気がみえた
お金などを与えると目的が変わるのでやる気がなくなる
デシ理論で目的を変更させることで嫌がらせを防止できる
今回のお話は、経営者の皆さんは社員さんに対して、上司は部下に対して、子供さんがいる人は、子供さんに対してのモチベーションについて考えるきっかけになったのではないでしょうか?
私自身も普段は会社を経営しているので、社員さんのモチベーションを保つために日々いろいろ考えて悩んでいます。
人間というは感情がついてきます。
そして、その感情はさまざな要因により変化していきます。
その感情をコントロールするのは至難の業でありますが、奥が深く、感情をしっかり理解できるようになることで人間関係もよくなり今後の生活も大きく変わると思います。
今回は主に金銭の授与によるモチベーションについて解説しましたが、このモチベーションに対する理論は他にもありますので、興味のある方は見てみて下さい。
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この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
それではよい1日を!