
景気が良くなったり、悪くなったりってどうやって判断してるの?
こんなお悩みを解決いたします!
本記事を読むとわかること
景気が良い状態と悪い状態を理解できる
景気動向指数について理解できる
CIとDIについて理解できる
先行指数、一致指数、遅行指数について理解できる
景気動向指数を読み解くことができるようになる
本記事の信頼性

ぎょうざ (@gyouza_maney)
この記事を書いている僕は、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーの資格を保有しており、現在は複数の会社を経営しております。
よく新聞やニュースなどで景気が良くなった、悪くなったなどを聞くことが多いと思います。
しかし、この景気が良くなった悪くなったの判断はどうようにして判断しているのでしょうか?
今回の記事では、景気を判断する景気動向指数について徹底解説していきたいと思います。
それではいきましょー
景気動向指数とは

景気とは社会が元気かどうかを表すもの
景気動向指数とは、簡単にいうと現在の景気の状態や将来の景気の状態を予測する時に使われる経済指標です。

そもそもケーキって何なの?
甘くて美味しいやつのこと?

それは完全にデザートのケーキだね。
景気とは僕達が生活している社会が元気かどうかを表す言葉のことだよ。
景気が良いとは社会が元気な状態であり、具体的には以下のようになります。
景気が良い状態
❶多くのモノやサービスが売れる
↓
❷会社の売上が上がり、利益が蓄積される
↓
❸従業員の給料が上がり、新しい雇用を生み出す
↓
❹会社の生産能力と国民のお金が増え、さらにモノやサービスが売れる
逆に景気が悪いとは、社会が元気のない状態であり、以下のようになります。
景気が悪い状態
❶モノやサービスが売れない
↓
❷会社の売上げ下がり、利益がなくなっていく
↓
❸従業員の給料が下がり、新しく人を採用できない
↓
❹会社の生産能力と国民のお金が減り、さらにモノやサービスが売れない
見ていただいたらわかると思いますが、景気が良い時はお金やモノが溢れており、反対に悪い時はその逆の状態になっているということです。

さらに景気やモノの価格の変化についての仕組みについて知りたい方は下記の記事をご覧下さい。
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お金の価値って一体何?インフレとデフレについて正しく理解しよう!
2つの景気動向指数で大きさや方向性を見て判断する
景気の状態を把握するには、会社の売上、働いている人の数、国民のお金の状態など様々なデーターが必要になってきます。
そのデータを色々な形でまとめて、景気が今どうなっているか、若しくはこれからどうなるかを判断するための指標が景気動向指数になります。
この景気動向指数は2つの指標があります。
❶CI(コンポジット・インデックス)
❷DI(ディフュージョン・インデックス)

CI?DI?
なんか難しそうな英語が出てきたのね。

コンポジットとは合成という意味でディフュージョンは拡散するという意味になるんだよ。
そしてインデックスとは指標という意味だから、直訳するとCIは合成の指標、DIは拡散する指標という意味になるね。
でも、直訳だとちょっと分かりにくいから言葉を変えて説明するね。
CIは景気変動の大きさやテンポといった量感(ボリューム)を把握できる指標のことで、DIは景気動向の方向性を把握できる指標のことです。
CIとDIは3つの指数に分けられる
景気動向指数であるCIとDIを見ることで経済の状態、つまり景気の状態をある程度把握し、今後の傾向を掴むこともできるのです。
そして、CIとDIを算出するにあたって、さらに30系列の景気指数をみることになるのですが、この30系列を3つのグループに振り分けていきます。
3つのグループは以下の通りです。
❶先行指数
❷一致指数
❸遅行指数
❶の先行指数は景気に先行して動く指数のグループで、❷の一致指数は景気に一致して動く指数のグループで、❸の遅行指数は景気に遅れて動く指数のグループになります。
それでは3つの指数について順番に見ていきましょう。
景気を先読みする先行指数

11個の先行系列
まず❶の先行指数ですが、この系列に所属している指数を見ると、実際の景気より少し先の景気を予測することができます。
つまり、数字を見て良い結果なら、これから景気が良くなると予測することができるし、逆に指数の状態が悪ければ景気が悪くなると予測することができるのです。

先のことが分かるだなんてすごいね。
先行指数は景気指数の30系列のうち、以下の11個の先行系列で構成されています。
先行系列
1.最終需要財在庫率指数
2.鉱工業用生産財在庫率指数
3.新規求人数
4.実質機械受注
5.新設住宅着工床面積
6.消費者態度指数
7.日経商品指数
8.マネーストック
9.東証株価指数
10.投資環境指数
11.中小企業売上げ見通しDI
11の先行系列についての詳細はここでは割愛しますが、例えば、3の新規求人数とは、ハローワークが取り扱う新規の求人数を指します。
つまり、会社がどれだけ人が欲しいかが分かる数字になります。
数字が高いほど、会社は人が欲しいということなので今後、景気が良くなると示唆できます。
また4の実質機械受注とは、機械の製造業者がどれくらいの注文を受けたが分かるものになります。
普通は設備機械を注文すると納品までに数か月がかかります。
ですので、注文が多いということは生産力を増やしたい状態なので、景気が良くなると現在から先駆けて分かるということになります。

この先行系列の数字を見ていくと、少し先の景気を予測することができるということです。
現在の動きを表す一致指数

10個の一致系列
続いて、❷の一致指数ですが、この指数は現在の働く人の動きや会社の生産活動の状態を表すものになります。
一致指数は景気指数の30系列のうち、以下の10個の一致系列で構成されています。
一致系列
1.生産指数
2.鉱工業用生産財出荷指数
3.耐久消費財出荷指数
4.所定外労働時間指数
5.投資財出荷指数
6.商業販売額
7.商業販売額
8.営業利益
9.有効求人倍率
10.輸出数量指数
例えば、1の生産指数とは、鉱工業の出荷数を見て現在の生産を見たり、4の所定外労働時間指数は製造業の現在の稼働時間を見ることができ、9の有効求人倍率は現在の有効求職者数(働きたい人の数)に対する有効求人数(採用したい人数)の割合をみることができます。
つまり今現在の状態を把握することができる系列になります。
景気の転換点を確認する遅行指数

9個の遅行系列
最後に❸の遅行指数ですが、この指数は生産の結果や家計の消費結果など事後的な確認目的で利用されるため、景気の判断として数ヶ月から半年ほどのタイムラグがある指数のことです
遅行指数は景気指数の30系列のうち、以下の9個の遅行系列で構成されています。
遅行系列
1.第3次産業活動指数
2.常用雇用指数
3.実質法人企業設備投資
4.家計消費支出
5.法人税収入
6.完全失業率
7.きまって支給する給与
8.消費者物価指数
9.最終需要財在庫指数
例えば、2の常用雇用指数は、期間の定めなく雇用されている人(常用雇用者)の数で、通常は景気が悪くなると臨時の労働者の人数が少なくなっていき、その後に常用雇用者が少なくなる傾向があります。
そのため景気から遅れて判断されると言えます。
また6の完全失業率は、就職活動をしているが仕事につけていない人の割合を表すものですが、こちらも景気が悪くなってもすぐには完全失業率には影響は出ません。
景気が悪くなった後の、一定の期間後に失業者が出たりするので、実際の景気から遅れて数字として表れます。
つまり数字の影響は実際の景気から遅れて表れる系列になります。

その時の数字じゃわからないってことだね。
景気動向指数の見方

速報値と改訂値が毎月発表される
ここまで先行指数、一致指数、遅行指数の30系列の指標をざっと見てきました。
この30系列を元に、CI、DIといった景気動向指数が算出されます。
そして、それを元に景気が良いか悪いかや、今後の方向性などを見ていきます。
CIとDIの景気動向指数は毎月内閣府から速報値と改訂値が発表されます。

速報値は採用系列のうち速報性が高い系列だけを用いて算出され、調査月の翌々月の上旬頃に発表されます。
また、改訂値は速報では、発表されていない採用系列も用いて算出され、 調査月の翌々月の下旬頃に発表されます。
100を基準にCIを見る
それではまず、CIの見方について解説します。
先ほど申し上げたとおり、CIは景気の 大きさやテンポといった量感(ボリューム)を把握できる指標 になり、基準となる年からどうなったかを見ます。
基準年を100として、その月々のデーターを見て、100より大きい数字なら景気が拡張していると判断し、逆に100より小さい場合は景気が後退していると判断します。
基準年は2015年として一致指数の変化の大きさで景気が拡張しているか後退しているかを見ます。
せっかくなので、2021年の6月のCIのデーターを一部抜粋して見てみましょう。

上記の数字をみると一致指数の速報値が94.0、改訂値が94.5になっているのが分かりますね。
この場合は100より小さいので、この月だけで見ると2015年より景気が後退していると判断することができます。
また改訂値が速報値よりも0.5ポイント大きいので上方修正されたということがわかります。
さらにこれまでの一致指数の推移をグラフで見てみましょう。

2018年1月からの推移になりますが、グラフをみていただくとコロナの影響により2020年の2月頃から急激にCIの数字が落ちています。
そこから反転して、100まではいきませんが徐々に景気が回復していっていると判断することができます。
これが簡単なCIの見方になります。

今回掲載しているのCIのデーターはほんの一部です。
実際は先行指数や遅行指数などのデーターやグラフも公表されていますので気になる方は内閣府のHPから是非見てみて下さい。
50%を基準にDIを見る
続いてDIの見方ですが、DIは景気の方向性を見ることができます。
つまり、景気が上に向いている(景気が良くなる方向)か下に向いている(景気が悪くなる方向)かを判断することができます。
DIは3ヶ月前の数値とその月々のデータを見て、50%より大きい数字なら景気が上を向いていると判断し、逆に50%より小さい場合は景気が下を向いていると判断します。
こちらも2021年6月のデーターを一部抜粋して実際に見てみましょう。

上記は先行指数を元ににした、DIの数字ですが、2021年6月の一番下の段を見てもらうと、66.7という数字があると思います。
つまり66.7%ということなので、50%よりも大きいので景気を上を向いていると言えます。
しかし、前月の5月を見ると80.0%なので、先月よりは下を向いていると判断することができます。
グラフで表すと下記のような感じになります。

グラフでみると1980年からのDIの動きが分かるので、その時々で景気の方向性を掴むことができます。
まとめ:CIとDIを組み合わせて景気がどうかを判断する
いかがでしたでしょうか?
基本的な景気動向指数の見方や判断方法が分かったと思います。
それではまとめに入りましょう。
景気動向指数のまとめ
景気とは社会が元気か元気じゃないかを表すもの
景気動向指数とはCIとDIを使い景気の大きさや方向性をみるもの
CIとDIを算出するには30系列の景気指数をみる
11個の先行系列と10個の一致系列と9個の遅行系列がある
CIは100を基準として景気の拡張しているか後退しているかを見る
DIは50%を基準として景気が上を向いているか下を向いているかを見る
景気動向指数は毎月発表されるなので、重要性は高いと言えます。
国は景気の動向を早急に掴み、景気を改善するための政策等を考えていかなければなりません。
僕達国民も、景気の動向により日々の生活に影響を与えることになるので日頃から景気の動向については把握しておく必要があるのではないかと思います。
一つの指標で判断するのではなく、CIとDIを組み合わせてさまざまな角度から多面的な視点で経済を見なければいけません。
今回の内容を基本として押さえていただくと経済の指標を見ることができると思います。
少しでもこの記事が参考になれば嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。