
会社に利益があるのに倒産する場合があるって聞いたことがあるけれど、何が原因なの?
こんなお悩みを解決いたします!
本記事を読むとわかること
黒字で倒産する理由について分かる
キャッシュフロー計算書について分かる
3つの活動によるキャッシュフローについて分かる
フリーキャッシュフローの重要性が分かる
本記事の信頼性

ぎょうざ (@gyouza_maney)
この記事を書いている僕は、経営に関する資格を多数保有しており、現在は複数の会社を経営しております。
「黒字経営をしているのに倒産することがある」
こんな噂を聞いたことはないでしょうか?
会社を経営していて、帳簿の損益計算書を見ると利益が出ており、会社として健全だと思っていた矢先に、倒産してしまうというのことが実際にあります。
その原因はお金が不足しているからです。
ではなぜ利益が出ているのにお金が不足してしまうのでしょうか?
今回の記事では、お金の管理ができるキャッシュフロー計算書というものを勉強していきます。
このキャッシュフロー計算書を読めるようになることで、お金の管理ができ会社の経営に役立つはずです。
それではいきましょー
キャッシュフロー計算書の必要性

お金の流れを管理するもの
会社にお勤めの方や経営をしている人は、簿記はご存知だと思います。
そして簿記には貸借対照表と損益計算書というものがあり、これらを見ると会社がどの程度、お金や資産を持っているか、どれくらい儲かってるかが分かります。
-
-
簿記が分からない人でも大丈夫!貸借対照表を理解して会社が危険かどうか判断しよう!
-
-
起業したい人は必見!会社の利益は一つじゃない!損益計算書をわかりやすく解説
この2つの会計書類は多くの方がよく目にするし、会社を経営している人にとっては馴染みが深いものになります。
しかし、この2つの書類だと会社を経営していくには不十分だといえます。
理由は「お金の流れが分からない」からです。

どうゆうこと?
損益計算書や貸借対照表を見ればわかるんじゃないの?
損益計算書は会社の利益がどれくらいかが分かるもので、貸借対照表はお金をどのくらい持っているかが分かります。
しかし、この2つの書類ではお金の流れが正確には把握できません。
詳しくはこのあと解説しますが、このお金の流れを管理できる書面のことをキャッシュフロー計算書と言います。

キャッシュは日本語でお金、フローは流れという意味になるので、キャッシュフロー計算書とはお金の流れが分かる計算書という意味になります。
キャッシュフロー計算書が必要な2つの理由
では、なぜ損益計算書や貸借対照表だけでは、経営する上で不十分なのでしょうか?
その理由は以下の2つがあります。
❶利益が黒字であっても、お金がなく倒産してしまうリスクがある
❷お金の増減だけで経営判断してしまい、誤った判断を下すリスクがある
❶は損益計算書の判断によるリスクで❷は貸借対照表の判断によるリスクになります。
ではこのリスクについて深堀していきましょう。
【1つ目の理由】資金ショートを防ぐため

1つ目の理由で、黒字であっても倒産してしまうリスクについてですが、例えば、ある会社が商品を販売し、100万円分の売上を確保したとします。
そして商品にかかった費用が60万円だとしましょう。
この場合、利益としては40万円になりますね。
しかし、ここで注意しなければいけないのが、売上のお金はいつ会社に入ってくるかを考えなければなりません。
販売した商品を現金で購入してもらった場合は、すぐにお金が会社に入金されますが、クレジットカードでの支払いがあったり、又は企業に商品を販売した場合などは、翌月以降に入金されるケースが多いです。
ここで想像してほしいのですが、売上のお金が翌月に入るということは売上が計上された月にお金は入金されません。
そして、仮に売上が計上された月に商品の仕入れ代や借りているお金(借入金)を支払わなければならない場合にはどうなるでしょうか?
そうです。手元にお金が無いため、支払いをすることができません。
つまり、売上があっても手元にお金がなければ、支払いができず会社が倒産してしまうかもしれないということです。
これが黒字倒産の原因です。

簿記の世界では、会社の取引の内容を仕訳という会計処理を行い、売上の入金が後日入金される場合には、売掛金という勘定科目を使って処理します。
ですので、損益計算書だけを見て「利益が出ているから大丈夫!」という経営判断をしてしまうと危険だということです。
ですので、お金の流れが分かるキャッシュフロー計算書が必要になってくるということです。
【2つ目の理由】保有しているお金の増減を正確に把握するため
2つ目の理由は、お金の増減だけで経営判断してしまい誤った経営判断をしてしまうリスクがあることです。
貸借対照表では、お金や建物、土地などの資産がどれだけあるか、借金などの負債がどれだけあるかがわかります。
そして、資産から負債を引き算することで正味の財産である純資産が分かります。

つまり、貸借対照表を見ると、会社が安全であるかの判断をすることができます。
貸借対照表は、毎年決算で作成されていくのですが、期首(決算期間の初日)と期末(決算期間の最後の日)では資産の状況や負債の状況も変わってきます。
お金の量を表す現金も期首と期末では数字が変わってきます。
例えば、期首の時点の現金が1000万円で、期末の時点には1500万円になっていたとします。
数字だけ見れば500万円が増えているので、この部分だけ切り取れば現金が増えて会社は成長しているという判断をしてしまうかもしれません。
でも実際にお金が増えたのは、事業で稼いだお金ではなく、借入金で借りたお金や保有している不動産を売却して手入れたお金かもしれません。
その場合、本来であれば本業で稼いだお金ではないため、会社にとってはマイナス材料になりやすいです。
逆に期首の現金が1000万円で、期末の現金が800万円になっていたとします。
先程と同じで数字だけを見れば、200万円が減少しているので会社の状況が悪化していると判断してしまうかもしれません。
でも実際は事業で稼いだお金が300万円あり、これ以上は生産力に限界を感じたため、生産力を増やすため設備投資を500万円行った場合には、現金が200万円減少しますが、会社にとってはプラスの材料になる可能性があります。
つまり、貸借対照表の現金の数字だけで経営判断してしまうとプラスの要因なのかマイナスの要因なのかが分かりずらいので、それを補うために必要なのがキャッシュフロー計算書なのです。

なるほど!
だからお金の流れが分かるキャッシュフロー計算書がいるんだね。
キャッシュフローの3つの活動

キャッシュフロー計算書のイメージ
では、ここからは実際にキャッシュフロー計算書の中身を見ていきましょう。
先に実際にキャッシュフロー計算書がどんなものなのか下記にイメージを掲載します
これがキャッシュフロー計算書になります。

実際はもう少し項目が多かったりする場合がありますが、今回はざっくりとキャッシュフロー計算書のイメージを掴んでいただければと思います。
このキャッシュフロー計算書は大きく下記の3つのキャッシュフローに分かれます。
3つのキャッシュフロー
❶営業活動によるもの
❷投資活動によるもの
❸財務活動によるもの
各項目についてはこの後、解説していきますが3つの活動ごとに増えたお金、若しくは減ったお金が分かるようになっています。
当然ですが、最終的に残るお金は営業活動によるお金と投資活動によるお金と財務活動によるお金を合計したものになります。

例のキャッシュフロー計算書だと営業活動によるキャッシュフローの合計が60、投資活動によるキャッシュフローの合計が-30、財務活動によるキャッシュフローの合計が-10なので、最終的に残るお金は20【60+(-30)+(-10)】になります。
先ほどの例のキャッシュフロー計算書を使って、わかりやすく図解すると下記のようになります。

またキャッシューフロー計算書は貸借対照表の現金預金の期末の金額から期首の金額を差し引いたものが、キャッシュフロー計算書の最終的に残るお金の現金及び現金同等物の増加額に該当します


キャッシュフロー計算書の作成には直接法と間接法というやり方があるのですが、例は間接法で作成しています。
❶営業活動によるキャッシュフロー
では、1つずつ見ていきましょう。
まずは営業活動によるキャッシュフローですが、本業の営業活動によって生じた現金の増減を表します。
例えば、商品を仕入れるために支払った現金や商品が売れたことで手に入れた現金などが該当します。
他にも広告宣伝費や人件費の支払い、本来は営業活動ではないのですが、災害による保険金の収入や損害賠償の支払い等もこの営業キャッシュフローに含まれます。
ではこの営業キャッシュフローがプラスの場合とマイナスの場合では経営にどういった影響が生まれるのでしょうか?
プラスの場合は本業で現金を十分に稼いでいると判断することができます。
また売上の入金が遅れる場合は、売掛金が増えていくのでその場合は営業キャッシュフローのマイナス要因になりますので、そのあたりも判断することができます。
また営業活動によるキャッシュフローがプラスということは、そのお金を使って新しい設備投資などを行い、事業拡大の可能性も出てきます。
逆に営業キャッシュフローがマイナスということは、本業でお金を手に入れることができていないと判断することができるので、早急に経営改善をする必要があります。
黒字倒産の場合もこの営業活動によるキャッシュフローがマイナスであることが原因になることが多いですし、売掛金が少ないにもかかわらず、営業キャッシュフローが少ないということは、本業で売上を確保できていないと判断することができます。

マイナスの状態が続くと倒産してしまうということだね。
❷投資活動によるキャッシュフロー
続いて投資活動によるキャッシュフローです。
固定資産や株式への投資などに生じた現金の増減を表します。
例えば固定資産の購入の際に支払うお金や不動産や株式などの有価証券を売却した場合に手に入るお金の動きがこの投資活動によるキャッシュフローに該当します。
では同じように投資活動によるキャッシュフローがプラスとマイナスの場合の影響を見ていきましょう。
プラスの場合は不動産や有価証券を売却する場合にキャッシュフローとしてはプラスになります。
逆に不動産等を購入した場合や設備投資をした場合はマイナスになります。
ここで着目する点は、キャッシュフローがマイナスだからと言って経営に悪影響をもたらすとは言えないことです。

お金がなくなるわけだから、悪い影響なんじゃないの?
投資活動によるキャッシュフローの場合、設備投資などの固定資産を購入するということは、今の事業を拡大しようとしていると考えている可能性が高いです。
つまり、経営に積極的であると見ることができます。
逆に固定資産を売却するとキャッシュフローはプラスになりますが、経営状態が悪く現金に困っていると解釈することもできます。
ですので、営業活動によるキャッシュフローのプラスの性質とは違うということを覚えておきましょう。
❸財務活動のキャッシュフロー
最後に財務活動によるキャッシュフローを見ていきましょう。
財務活動によるキャッシュフローは資金の調達や借入金の返済等により生じた現金の増減を表します。
例えば、事業を拡大したい場合にお金が必要になり、銀行からお金の借り入れを行ったり、株式を発行してお金を調達したり、株主に対しての配当金を支払ったりする時のお金の動きがこの財務活動によるキャッシュフローに該当します。
キャッシュフローがプラスの場合は資金調達がうまくいっていると判断することもできますし、逆に借金が増えていると判断することもできます。
マイナスの場合は借入金を返済して借金を減らしている。若しくは配当金の支払いをしていると判断することができます。
この財務活動によるキャッシュフローだけで経営に良いかどうかの判断はできませんが、例えば、事業の導入期や成長期の時は資金調達が要になるのでこのキャッシュフローがプラスになることが望ましいですが、衰退期の時にプラスの場合は危険だといえます。
つまり事業のステージによって視点や判断もは変わってくると言えます。
-
-
商品も人間と同じように成長する!PLCを理解して大事に育てよう!
フリーキャッシュフローの重要性

会社が自由に使えるお金
ここまでで営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローについての大まかな内容については理解できたと思います。
ではこれらがどうゆう状態であれば、健全であると言えるのでしょうか?
実際に事業の状況や成長ステージによって、見るべきポイントは変わり、良し悪しの判断が難しいですが、基本的に会社が健全であるかの判断材料として押さえていただきたいことがあります。
それはフリーキャッシュフローがプラスであるということです。

フリーキャッシュフロー?
フリキャッシュフローは以下の式で表されます。
フリーキャッシュフロー=営業活動のキャッシュフロー+投資活動のキャッシュフロー
フリーキャッシュフローとは財務活動によるキャッシュフローを除き、営業活動によるキャッシュフローと投資活動によるキャッシュフローの合計になります。
例えば、営業活動によるキャッシュフローが500万円、投資活動によるキャッシュフローが−300万の場合はフリーキャッシュフローは200万円になります。
なぜこのフリーキャッシュフローが、会社が健全であるかの判断材料になるかというと、フリーキャッシュフローは、会社が自由に使えるお金と言えるからです。
営業キャッシュフローは本業で稼いだお金であり、投資活動のキャッシュフローは設備投資などのお金なので、これらの合計が仮にマイナスだった場合、本業で稼いだお金以上に投資をしているということになります。
つまり余裕資金がないということになりますので、経営状態が健全とは言えません。
実際に足りない部分は銀行からお金を借りて財務活動のキャッシュフローで賄うこともできますが、その場合だと本業以外のお金を使っているのでこれも安全とは言えません。
ですので、このキャッシュフロー計算書を見る上でフリーキャッシュフローの数字は非常に重要になってきますので覚えておいて下さい。

将来を見込んで、営業活動のキャッシュより投資活動のキャッシュが多い会社もありますので、フリーキャッシュフローがマイナスだからと言って、一概に悪いとは言えませんが、ある程度の健全性の指標にはなると思います。
まとめ:お金の流れを掴むことで改善点が見つかる
それではまとめに入りましょう。
まとめ
キャッシュフロー計算書を理解することでお金の流れが掴める
キャッシュフロー計算書が必要な理由は資金ショートの防止とお金の増減を把握するため
キャッシュフローの種類は営業活動によるもの、投資活動によるもの、財務活動によるもの3つ
営業活動によるキャッシュフローは本業で得たお金でプラスであることが望ましい
投資活動によるキャッシュフローは設備投資などで使うお金なのでマイナスであっても悪影響とは言えない
財務活動によるキャッシュフローは資金調達などのお金なので、時期によって判断内容も変化する
フリーキャッシュフローがプラスであることが望ましく、営業活動によるキャッシュフローと投資活動によるキャッシュフローの合計である
今回はキャッシュフロー計算書の基礎的な部分を解説しました。
細かいところまで理解しようとすると、時間もかかりますし簿記を習得する必要があります。
しかし、営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローの大枠を掴むだけでも経営判断やお金の流れがどうなっているかを理解することができると思います。
今回の内容を押さえるだけでもお金の流れが掴むことができ、黒字倒産や資金ショートの改善に繋がると思います。
しかし、キャッシュフロー計算書だけでは経営の判断としては不十分であるのも事実です。
そのためにも貸借対照表や損益計算書も合わせてみることが大事だと思います。
会社を成長させるためにも、会社の状態を把握し、多角的な視点で分析していく必要があります。
これからも会社の経営分析に関する記事を書いていきますので一緒に勉強していきましょう。
この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。