こんにちわ!GYOUZAです。
以前の記事で、貸借対照表の基礎知識について書かせていただいたのですが、今回はもう少し貸借対照表を詳しくみていきたいと思います。
前回の記事を読まれていない方は以前の記事を一度読んでいただいてからこの記事を読むと理解が深まりますので一度ご覧いただければと思います。
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簿記が分からない人でも大丈夫!貸借対照表を理解して会社が危険かどうか判断しよう!
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以前は資産と負債と純資産といった大きな視点で貸借対照表を見てきました。
今回はさらにもう少しミクロ的な視点で貸借対照表を見ることで、貸借対照表の理解が深まり会社の財務体質や安全性を理解できると思います。
それではいきましょー
この記事を読むと分かること
資産・負債・純資産の各科目について分かるようになる
流動資産と固定資産の違いについて分かるようになる
流動負債と固定負債の違いについて分かるようになる
流動比率の使い方が分かるようになる
株主資本について分かるようになる
資産の部

短期的な資産と長期的な資産
まずは資産の部を見ていきたいと思います。
資産はお金や建物、車両、商品、土地などが該当します。
以前は資産をひとくくりにまとめましたが、この資産の中でさらに短期的な資産と長期的な資産に分けることができます。
短期的?長期的?


短期的、長期的というのは、その資産がどれくらいの期間で現金化できるかどうかを表すことだよ。
どのくらいの期間で現金化できると聞いただけだとピンとこないと思います。
先に資産の科目をいくつかあげてそれをもとに説明していきます。
資産の科目
❶普通預金・当座預金・現金
❷売掛金
❸棚卸資産
❹建物・土地
❺投資有価証券
流動資産とは
❶の普通預金・当座預金・現金ですが、こちらはイメージしやすいと思います。普通預金と当座預金は預金の種類が違うだけで、銀行に預けているものです。
そして、会社の意志で預金から現金を引き出すことができます。
つまり、すぐに現金化ができるということです。
このすぐに現金化できることを短期的な資産といい、簿記の世界では流動資産と言われています。
ですので、預金である普通預金、当座預金、お金そのものである現金は、短期的な資産に該当し、簿記では流動資産というグループに分けられることになります。
続いて、❷の売掛金についてですが、この科目はあとからお金を支払ってもらうもののことで、会社が顧客にサービスを提供した場合には売上が計上されると思います。
しかし、この売上はすぐに現金としてもらえる場合もあれば、あとで請求書を発行して後日会社に振り込んでいただくケースもあります。
この後日にお金をもらうことが発生した場合には売掛金という資産を計上します。
そして売掛金は短期的な資産に該当し、流動資産に分類されるのです。
どうゆうこと?さっきすぐに現金化できるかどうかって言っていたのに、あとからお金をもらうんだったら流動資産にならないのじゃないの?

あとからお金をもらうので、先ほどのすぐに現金化ができるという条件に該当しないような感じがするのですが、このすぐに現金化ができるという範囲は1年以内に現金化できるかどうかで判断されます。
つまり、イメージしていただければわかるのですが、売掛金は売上が計上されてから基本的には1年以内に請求して会社に入金されます。
ですので、すぐに現金化できるという概念に該当し、流動資産に入ります。

会計の世界ではワン・イヤー・ルール(1年ルール)と呼ばれています。
❸の棚卸資産ですが、これは簡単にいうと商品の在庫のことを指します。
こちらも商品が売れれば、すぐに現金化されるので流動資産に該当します。
固定資産とは
続いて❹の建物と土地をみていきましょう。こちらの資産もイメージがしやすいと思います。
名前のとおり、会社の建物や所有している土地が該当します。
但し、今まで説明してきた資産と違うところが、現金化がしにくいという特徴を持っています。
なぜなら、建物や土地というのは長期間にわたって使用し続けるため、購入してすぐに売却したりするようなものではないからです。
これが長期的な資産と言われ、簿記の世界では固定資産と言われています。
先ほどまでの流動資産とは違い、現金化しにくいという逆の性質をもっています。
そして固定資産に該当するかどうかの判断は先ほどのワン・イヤー・ルールに沿って、1年以上現金化されないかどうかで判断されます。
最後の❺の投資有価証券ですが、有価証券とは財産の権利を表示するもので、身近のものでは株券や債券などが有価証券に該当します。
実は簿記の中では、「投資有価証券」と「有価証券」という項目に分かれます。
文字的には有価証券の前に投資がついてるかどうかの違いだから、投資有価証券はギャンブル用、有価証券は安全用ってことなんじゃない?

この違いはなにかと言いますと、有価証券を長期間保有するかどうかということです。
つまり株を購入して、短期間保有してからの売却を考えているのであれば、「有価証券」という項目になり流動資産に該当します。
一方、「投資有価証券」は長期間の保有目的で購入したものが該当します。そして、これもワン・イヤー・ルールに沿って、1年以上保有するものは固定資産として分類されます。
ここまでが、資産の部についての説明です。
もうお分かりだと思いますが、資産のうち1年未満ですぐに現金化できるものは流動資産に該当し、1年以上のものは固定資産に該当すると覚えておきましょう。

資産の部は他に繰延資産というものがありますが、基本的に流動資産と固定資産を押さえておけばここでは十分なので、今回は割愛させていただきます。

負債の部

では負債の部を見ていきましょう。
負債は借金といった、将来返す必要があるもので他人資本とも呼ばれています。
資産と同じように先に、負債の科目を見ていきましょう。
負債の科目
❶短期借入金
❷買掛金
❸長期借入金
流動負債と固定負債
負債も資産と同じように、短期的な負債と長期的な負債があります。
短期的な負債を流動負債、長期的な負債を固定負債といい、資産の時と同じでワン・イヤー・ルール(1年基準)が適用されます。
負債の場合は1年以内に返済できるかどうかで流動負債か固定負債に分かれます。
❶の短期借入金についてですが、これは言葉の通り、短期間(1年以内)の内に返さなればならない借金のことで流動負債に該当します。
❷の買掛金は、商品や材料を仕入れた場合に、すぐに商品や材料代金を支払わずに後日支払う場合に買掛金として負債に計上します。
買掛金も、基本的には短期間のうちに支払うので流動資産になります。
❸の長期借入金ですが、これも大体想像できると思うのですが、短期借入金とは違い返済期間が1年以内ではない借金のことを言います。
例えば、100万円を銀行で借りて、その年から毎年10万円ずつ返済し10年かけて返済する条件で借りた時には、短期借入金として10万円計上し、90万円は長期借入金として計上します。
ですので、長期借入金は固定負債に該当します

流動負債と固定負債にわける必要性

では、なぜ流動資産と固定資産に分ける必要があるか考えてみましょう。
それは、分けないと資金繰りの計画が立てられないことが考えられます。
資金繰りの計画?

資金繰りの計画というのは、例えば銀行から借金をして、短期借入金と長期借入金と分けずに借入金という科目1本で貸借対照表に計上した時に、借金の合計金額は分かるけれど、1年でどれくらいの金額を返済しなければならないのかが貸借対照表を見てもわからなくなるからです。
つまり、1年でどのくらいの資金がなくなるかが分からなくなり、資金計画が立てづらくなります。
逆にこれが分かるとある程度、この1年で必要な資金の量が分かり、経営する際にも一つの安全指針となり、この流動負債以上の資金があれば1年は継続して会社の経営ができる。
という判断ができるということです。
流動比率
では、ここで1つ財務分析をしてみましょう。
ここまでで流動資産と流動負債について解説しました。
財務分析の中で、流動比率というものがあるのですが、これは流動資産に対する流動負債の割合を見ることで会社の短期の安全性を見ることができます。
計算式は以下の通りになります。
流動比率の計算
流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100
例えば、現金が80万円と売掛金が70万円の場合には流動資産は150万円になります。
一方で短期借入金が50万円、買掛金が50万円の場合には流動負債は100万円になります。
これを上記の式に当てはめると150%(150万÷100万×100)になります。
この場合、1年間に返さないといけない負債が100万円で1年以内に現金化できる資産が150万円あるので、会社としては資金がなくなるということはないと判断することができます。
しかし、流動比率が100%をきると1年間で負債を返済することができなくなる可能性が出てくるので、安全性が低いと判断できます。
この場合は、何とか1年以内に他の固定資産の売却や新規の長期での借入などを行って、短期のお金を集め、流動資産の割合を増やす必要性が出てくるということです。

一般的に流動比率が200%を超えると安全と言われています。
純資産の部

株主資本とは
では最後に純資産の部を見ていきましょう。
純資産の部は株主資本と呼ばれ、株主の持ち分と言われています。
株主の持ち分って何?

株主の持ち分とは、簡単に言うと自分が持っている株式の量だと思って下さい。
例えば、1人で100万を用意し、会社を作るために資本金としてその100万を会社にいれたとします。
株式会社を作った場合に、株を発行するのですが、仮に100株発行した場合は1株あたりの株価は1万円(資本金100万円÷100株)になり、ここでの株式の持ち分は1株1万円の株式が100株あるので、社長である株主の持ち分は合計の100万円になります
つまり会社の正味の価値になります。
それでは同じように先に科目を見ていきましょう。
純資産の科目
❶資本金
❷資本剰余金
❸利益剰余金
❶の資本金ですが、これは会社を設立するために初めに用意するお金のことです。
❷の資本剰余金は、資本金にしなかった余ったお金になります。
例えば、会社設立に際に200万円を用意したが、150万円だけ資本金にして残りの50万円は余剰資金として何かあった時に使えるように資本剰余金として会社に置いておきます。
また、会社で株主に対して配当金を出したいと考えていた時に普通は利益が出た上で、その利益から配当金を出すのですが、十分な利益がとれなかった場合に、お金が足りないので、余剰資金として積立ておいた資本剰余金から例外的に出すことができます。
❸の利益剰余金は、会社が毎年稼いできた利益の蓄積になります。
例えば、毎年50万円の利益がありそれが10年続いた場合は利益剰余金として500万円が会社に蓄積されていきます。
当然そうなると株主資本の全体の金額が増え、会社の価値(株価)は上昇していくみたいなイメージです。

利益が蓄積されていくことを内部留保がたまっていくとも言われています。

あとがき
いかがでしたでしょうか?
今回は貸借対照表を少し深く見ていきました。
短期間と長期間の資産や負債があることも理解できたと思います。
また、これらが分かることで会社の安全性の見方や、ちょっとした財務分析の方法についても理解できたのではないでしょうか?
貸借対照表は会社の財務の状況を把握し、経営判断をする時に役に立ちます。
そして、本当に深いものです。
まだまだ細かく、深く見ることで会社の色々なことやビジネスの特徴についても分かるようになります。
今回の内容もまだ貸借対照表の基本的なことで、科目なども今回紹介した以外にもたくさんあります。
もし、これを機に興味を持たれましたら簿記を本格的に勉強することも面白いかもしれません。
少しでもこの記事が参考になれば嬉しいです。
それではよい1日を!
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